SSブログ

PACIFIC STREET / THE PALE FOUNTAINS [リヴァプールのアーティスト]

DSCF2940.JPG


 英語版のWikipediaでThe Pale Fountainsの項目を調べると、「The group remains particularly popular in France and Japan. 」とある。なるほど、叙情的+繊細+メロディアス と三拍子そろったこのアルバムは、日本人好みなのかもしれない。では逆に言うと、イギリスではあまり知られていないのか?と思い数人のイギリス人に尋ねてみたところ、ザ・スミスはいまだ人気があるが、ペイル・ファウンテンズは知らない、と。うーん、そうだったのか。
 ペイル・ファウンテンズは1980年にリヴァプールで結成され、82年にクレプスキュール傘下のレーベル、オペレイション・トワイライトからシングル「(There's Always) Something On My Mind 」デビューした。その後メジャーのヴァージンに移籍し、「Thank You」(82年)、「Palm Of My Hand」(83年)の2枚のシングルをリリースし、84年に発表したのがこの1stアルバム。日本では、ギターポップ/ネオアコ(ネオ・アコ-スティック)を代表する名盤の1枚という評価が定まっているが、60年代風のメロディアスな曲調や、トランペットやフルート、女声コーラスなどをフィーチャーした流麗なアレンジなど幅広い音楽性が楽しめる名作である。
 1曲目の「Reach」はキラー・チューンで、この1曲だけで僕は彼らのファンになった。「青春はいちどだけ」という邦題は、50歳を越えた今、なかなか気恥ずかしい気持ちがなきにしもあらずだが、この曲を聴くと本当に若かった頃を思い出す。流麗なメロディーとセンチメンタルなトランペットが印象的で、海辺の学校に勤務していた頃、出張の時はこのアルバムのカセットがお供だった。マイケル・ヘッドの瑞々しいヴォーカルを聴きながら海辺の国道を運転するのが、けっこう楽しみでもあった。オープニングのこの曲から4曲目までは本当にいい曲が並んでおり、いまだに時々聴きたくなるアルバムである。



 本国でのCD化に際し、「Palm Of My Hand」「Love's A Beautiful Place」「Meadow Of Love」「Thank You」の4曲がボーナス・トラックとして収録されたが、その後99年にこのアルバムが日本初CD化されたときには、10曲のボーナストラックが収録された。輸入盤CDのボーナストラックは、アルバムリリース前にヴァージンから発表していた2枚のシングル「Thank You」「Palm Of My Hand」のそれぞれA面B面の計4曲だが、残念ながらこのうち「Love's A Beautiful Place」(「Palm Of My Hand」のB面)が日本盤CDには収録されていない。「Palm Of My Hand」「Love's A Beautiful Place」の2曲は、元アソシエイツのメンバーで、コクトー・トゥインズのシングルをプロデュースしたアラン・ランキンと、ヘヴン17やアソシエイツを手がけたグレッグ・ウォルシュがプロデューサーとしてクレジットされている。輸入盤CDに収録されていた7曲目「(Don't Let Your Love) Start A War(スタート・ア・ウォー)」は 、なぜか7インチ・ヴァージョン(日本盤CD17曲目)で収録されていたが、日本盤CDはオリジナルアナログと同じヴァージョン。日本盤の12曲目「Thank You」と18曲目「Just A Girl」のプロデューサーは、EBTGを手がけたロビン・ミラーで、「Just A Girl」はデビューシングル「(There's Always) Something On My Mind」のB面曲だが、ボーナス・トラックはオリジナルとは異なる再録ヴァージョンである(オリジナルはセルフ・プロデュース)。

 収録されている曲の数々とまったくイメージが合致しない印象的なジャケット写真は、イタリア人写真家マリオ・デ・ビアージ(Mario De Biasi 1923ー2013)よる作品。1956年に起こったハンガリー動乱の際に、首都ブタペストで撮影されたものである。写真週刊誌『Epoca』専属のフォトグラファーとしてハンガリーに赴いた彼は、この写真を含むハンガリー動乱の報道写真で有名となった。服装と装備から見て、写真の若い兵士はハンガリー国軍の兵士で、軍事介入してくるソ連軍を市民とともに迎え撃つ準備をしていたのだろう。この後、彼は生き延びたのだろうか。
 http://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/photo-exhibition/2011/20110927.html
 http://www.artsblog.it/galleria/palazzo-magnani-reggio-emilia-budapest-1956





nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。