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DAVID BOWIE AT THE BEEB ~ ボウイのBBC音源 [デヴィッド・ボウイ]

 BBCの放送音源は「安心して聴ける」という指標でもあり、演奏音質ともにハイクオリティのマテリアルが多い。ビートルズやツェッペリンのように、後年オフィシャルとしてリリースされることも多いのもそのためである。インターネットなどない時代、ラジオはもっとも効果的なプロモーション手段だったのだろう。BBCの番組は他国に販売されることも多く、日本では80年代を中心にNHK-FMでよく放送されていた。渋谷陽一氏や伊藤政則氏が紹介するピンク・フロイドやジェスロ・タル、はたまたグリフォンといったバンドのライヴに「世の中にはこんな音楽があるのか」と、中学~高校生の頃は驚いたものである。こうしたライヴはレコード(トランスクリプション・ディスク)の形で提供されていたため音質がよいのも当然で、これらをソースにしたCDも入手できる....というのを知ったのは社会人となってからのことである。

 ボウイのBBC音源がオフィシャルでリリースされたのは2000年。当然音質はよく、お宝アイテムであった。が、しかしボウイのBBC出演は多く、CD2枚に収めることは不可能である。当然オミットされた曲も少なくなく、結果として「オフォシャルには収録されなかったBBCモノ」という新たなコレクターズアイテムを生んでしまったのも否定できない。

 ボウイのBBC音源で初めてCDとして出回ったのは、1989年にリリースされたとされる『AT THE BEEB 1969-1972』(Archive Productions:AP 89004)である。リリースしたArchive Productionsはツェッペリンの77年クリーヴランド公演『DESTROYER』(LZ 69801)や『SOMETHING ELES』(AP 89002)等を出したレーベルで、ジャケットに「Made In W. Germany」と印刷されていたせいか、たいへん高価であった(コレクターズ専門誌『GOLD WAX』No.5の広告には、4600円とある)。確かに『DESTROYER』のジャケットには「Made In W. Germany」とあるものの、『SOMETHING ELES』のジャケットには「Made In Italy SIAE」とあることから、実際にはイタリア製だったのだろう。『DESTROYER』と『SOMETHING ELES』は別業者がプレスしたという可能性もあるが、『AT THE BEEB 1969-1972』と『SOMETHING ELES』は番号から判断するに同じ業者によるプレスだと思われる。

 Archive Productionsの『AT THE BEEB 1969-1972』とまったく同じ内容なのがTSP(The Swingin' Pig)からリリースされた『WHITE LIGHT / WHITE HEAT』(TSP CD 053)である。リリース元のTSP(The Swingin' Pig)は、かのビートルズ『ULTRA RARE TRACKS』シリーズをリリースしたレベールで、ヨーロッパを拠点にハーフオフィシャルながら良質アイテムを数多くリリースしていたレーベルである。WIkipediaドイツ語版に記事があり、またJim Berkenstat著(セバスチャン夏樹訳)『Black Market Beatles』(バロック出版)でもビートルズ絡みで紹介されている。ヨーロッパで訴訟となったこともあり現在は活動していないが、安価な良質アイテムを多数リリリースしていたこともあり、このレーベルのファンも多かった[http://www.theswinginpig.net/index.php]。当時の値段は『AT THE BEEB』の約半分くらいで、私もこちらを買った。『WHITE LIGHT / WHITE HEAT』の盤面には1990年のリリースとあるため、『AT THE BEEP 1969-1972』の方が1年早くリリースされたと言えそうだが、どっちがコピーかなどは不明である。『White Light / White Heat』収録テイクのほとんどは公式盤に収録されているが、「Unwashed And Somewhat Slightly Dazed」は別テイクで、エレクトリック・ギターが入ったバンド形態で演奏される『White Light / White Heat』収録版の方が公式版よりもよい。また選曲と構成もよいため、私の場合はオフィシャルよりも聴く回数は多い。『AT THE BEEB』・ 『WHITE LIGHT / WHITE HEAT』の内容は以下の通り。

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 01. White Light / White Heat
 02. Let Me Sleep Beside You
 03. Unwashed And Somewhat Slightly Dazed
 04. Wild Eyed Boy From Freecloud
 05. Bombers
 06. Looking For A Friend
 07. Almost Grown
 08. Kooks
 09. The Supermen
 10. Ziggy Stardust
 11. Five Years
 12. Starman
 13. Rock'n'Roll Suicide
 14. Hang On To Yourself
 15. Waiting For The Man

 ・1969年10月20日放送「Dave Lee Travis Show」:02/03
 ・1970年 4月 6日放送「Sounds Of The 70s:Andy Ferris」:04
 ・1971年 6月20日放送「In Concert:John Peel」:05/06/07/08
 ・1971年10月 4日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」:09
 ・1972年 2月 7日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」:10/11/14/15
 ・1972年 5月23日放送「Sounds Of The 70s:John Peel」:01/12/
 ・1972年 6月19日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」:13


 2000年にオフィシャルリリースされたのが2枚組『BOWIE AT THE BEEB』(2000年のライヴ盤が付属した3枚組もあり)で、基本はこの公式盤である。内容は以下の通り。ディスク2の2曲目「Oh! You Pretty Things」は日本盤のみの収録で、その後2016年にリリースされたアナログ盤4枚組に「目玉テイク」として収録された。日本盤ライナーではDISC2の14と15が09~13と同じ収録日になっているが、そうではなく16・17と同じ日の収録である。

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[DISC1]
 【1968年5月26日放送「Top Gear」】
  01. In The Heat Of The Morning
  02. London Bye Ta Ta
  03. Karma Man
  04. Silly Boy Blue
 【1969年10月26日放送「The Dave Lee Travis Show」】
  05. Let Me Sleep Beside You
  06. Janine
 【1970年2月8日放送「The Sunday Show」】
  07. Amsterdam
  08. God Knows I'm Good
  09. The Width Of A Circle
  10. Unwashed And Somewhat Slightly Dazed
  11. Cygnet Committee
  12. Memory Of A Free Festival
 【1970年4月6日放送「Sounds Of The 70s:Andy Ferris」】
  13. Wild Eyed Boy From Freecloud
 【1970年6月20日放送「In Concert:John Peel」】
  14. Bombers
  15. Looking For A Friend
  16. Almost Grown
  17. Kooks
  18. It Ain't Easy
[DISC2]
 【1971年10月 4日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  01. The Supermen
  02. Oh! You Pretty Things
  03. Eight Line Poem
 【1972年 2月07日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  04. Hang On To Yourself
  05. Ziggy Stardust
  06. Queen Bitch
  07. I'm Waiting For The Man
  08. Five Years
 【1972年 5月23日放送「Sounds Of The 70s:John Peel」】
  09. White Light / White Heat
  10. Moonage Daydream
  11. Hang On To Yourself
  12. Suffragette City
  13. Ziggy Stardust
 【1972年6月5日放送「The Johnnie Walker Lunchtime Show」】
  14. Starman
  15. Space Oddity
  16. Changes
  17. Oh! You Pretty Things
 【1972年 6月19日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  18. Andy Warhol
  19. Lady Stardust
  20. Rock 'n' Roll Suicide

 
 公式盤とほぼ同時期に登場したのが、『The Rise And Rise Of Ziggy Stardust Volume 1ー4』(SHOUT TO THE TOP 086/087/088/089)。これは2枚組×2の計4枚セットで構成されたセットで、中には当時のラジオを録音したものがソースと思われる音質もあり、また放送・収録された時系列に並んでいないという欠点もあるが、この4枚があればボウイのBBC音源はほぼコンプ出来るというスグレモノである。★は公式盤に未収のテイク。

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The Rise And Rise Of Ziggy Stardust Volume 1 And 2
[DISC1]
 【1967年12月24日放送「Top Gear」】
  01. Love You Till Tuesday ★
  02. When I Live My Dream ★
  03. Little Bombardier ★
  04. Silly Boy Blue ★
  05. In The Heat Of The Morning ★
 【1968年5月26日放送「Top Gear」】
  06. When I'm Five ★
 【1970年2月8日放送「The Sunday Show」】
  07. Amsterdam
  08. God Knows I'm Good
  09. Buzz The Fuzz ★
  10. Karma Man ★
  11. London Bye Ta-Ta  ★
  12. An Occasional Dream ★
  13. The Width Of A Circle
  14. Janine ★
  15. The Wild Eyed Boy From Freecloud ★
  16. Unwashed And Somewhat Slightly Dazed
  17. Fill Your Heart ★
  18. The Prettiest Star ★
  19. Cygnet Committee

・1968年5月26日放送の「Top Gear」では5曲が収録された。本作収録の「When I'm Five」と公式盤の4曲を併せてコンプリートとなる。
・1970年2月8日放送の「The Sunday Show」では全14曲が放送された。本作収録の13曲と公式盤の「Memory Of A Free Festival」を併せてコンプリートとなる。演奏されたものの放送されなかった「I’m Waiting For The Man」が収録されておらず、音質もいまひとつのため、当時のエアチェックテープが元ソースだと思われる。

[DISC2]
 【1969年10月26日放送「The Dave Lee Travis Show」】
  01. Unwashed And Somewhat Slightly Dazed ★
  02. Let Me Sleep Beside You
  03. Janine
 【1970年4月6日放送「Sounds Of The 70s:Andy Ferris」】
  04. Waiting For The Man ★
  05. The Width Of A Circle ★
  06. The Wild Eyed Boy From Freecloud
  07. The Supermen ★
 【1970年6月20日放送「In Concert:John Peel」】
  08. Queen Bitch ★
  09. Bombers
  10. The Supermen ★
  11. Looking For A Friend
  12. Almost Grown Vocals – Geoffrey Alexander
  13. Kooks
  14. Song For Bob Dylan Vocals – George Underwood ★
  15. Andy Warhol Vocals – Dana Gillespie ★
  16. It Ain't Easy

・1969年10月26日放送「The Dave Lee Travis Show」では全3曲が演奏された。本作のみでコンプリート。公式盤には未収録だった「Unwashed And Somewhat Slightly Dazed」は、TSPの『WHITE LIGHT / WHITE HEAT』にも収録されていたテイクで、素晴らしい演奏である。
・1970年4月6日放送「Sounds Of The 70s:Andy Ferris」では全4曲が演奏され、このうち「The Wild Eyed Boy From Freecloud」のみが公式盤に収録された。本作のみでコンプリート。7曲目の「The Supermen」は放送されなかった。音はこもり気味だがベースラインがハッキリ聞こえて、いい感じである。
・8-16は「John Peel's Sunday Concert - 5 July 71」となっているが、正しくは71年6月3日収録・6月20日放送である。公式盤には5曲が収録されていたが、本作のみでコンプリート。


The Rise And Rise Of Ziggy Stardust Volume 3 And 4
[DISC1]
 【1971年10月 4日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  01. The Superman
  02. Oh! You Pretty Things / Eight Line Poem
  03. Kooks ★
  04. Fill Your Heart ★
  05. Amsterdam ★
  06. Andy Warhol ★
 【1972年 2月7日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  07. Hang On To Yourself
  08. Ziggy Stardust
  09. I'm Waiting For The Man
  10. Queen Bitch
  11. Five Years
 【1972年 1月28日放送「Sounds Of The 70s:John Peel」】
  12. Ziggy Stardust ★
  13. Queen Bitch ★
  14. Waiting For The Man ★
  15. Lady Stardust ★

・1971年10月 4日放送の「Sounds Of The 70s:Bob Harris」は全7曲(うち2曲はメドレー)が収録され、本作のみでコンプリート。
・1972年 2月07日放送の「Sounds Of The 70s:Bob Harris」は全5曲が演奏され、公式盤にもすべて収録されている(なぜか曲順が一部入れ替わっている)が、音感が全く違う。おそらくリマスタリング前のテイクと思われるが、「Hang On To Yourself」の凶暴なギターのドライヴ感と唸りを上げるベースは、公式盤よりもこちらの方がよいのでは....思えるほど。バックはロンソン、ボルダー、ウッディ・ウッドマンジーのスパイダーズ・フロム・マース。『ジギー・スターダスト』(72年6月16日)のリリース直前の収録(1月18日)であり、バンドとしての勢いが感じられる演奏。収録日の72年1月18日は、手元の資料によれば英国シェフィールドでのライヴ。忙しいスケジュールだが、いい演奏である。
・12-15は、1972年1月11日に収録された全4曲コンプリート。07ー11の一週間前に収録されたテイクだが、音はよくない。バックのメンバーも同じで、この日は英国ハイ・ウィカムでのステージ。やはり忙しい。

[DISC2]
 【1972年 5月23日放送「Sounds Of The 70s:John Peel」】
  01. White Light, White Heat
  02. Moonage Daydream
  03. Hang On To Yourself
  04. Suffragette City
  05. Ziggy Stardust
 【1972年6月5日放送「Johnny Walker Lunch Time Show 」】
  06. Starman
  07. Space Oddity
  08. Changes
  09. Oh! You Pretty Things
 【1972年 6月19日放送「Sounds Of The 70s:Bob Harris」】
  10. Andy Warhol
  11. Lady Stardust
  12. White Light, White Heat ★
  13. Rock 'N' Roll Suicide
 【Bookended By DJ Talking With Rick Wakeman 21 Sep 1972】
  14. John I'm Only Dancing
  15. Lady Stardust
  16. Star


・ディスク2に収録されているテイクは、ほとんどが公式盤にも収録されているが、これもまた音感が公式盤とはまったく異なる。端正なオフィシャルもよいが、攻撃的なミック・ロンソンのギターのカッコよさを堪能できるリマスタリング前のナマの響きもまたよい。ディスク2収録の各セッションにはピアノ(ミック・グラハム)が加わっており、公式盤に比べるとピアノが若干オフ気味のテイクもある。『ジギー』リリース前後の約1カ月という短い間に録音された3つのスタジオ・ライヴの記録であり、まさしくキラキラ時代のボウイの記録。1-5は「Top Gear 16 May 1972」とクレジットされているが、番組は「Top Gear」ではなく「Sounds Of The 70s:John Peel」である。いずれもイギリス・ツアーの合間を縫って収録された演奏だが、ボウイのエネルギーが伝わってくる演奏で、素晴らしい。








BBCセッションズ

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  • アーティスト: デヴィッド・ボウイ
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/09/27
  • メディア: CD
BBCセッションズ(通常版)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2001/01/17
  • メディア: CD
1968-72-Bowie at the Beeb: Limited Edition

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  • 発売日: 2000/09/26
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Bowie At The Beeb: The Best of the BBC Radio Sessions 68-72 by DAVID BOWIE

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin Records
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Bowie At The Beeb [12 inch Analog]

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