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IMMIGRANT / GENE LOVES JEZEBEL [ジーン・ラヴズ・ジザベル]

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IMMIGRANT / GENE LOVES JEZEBEL
 01. Always A Flame
 02. Shame
 03. Stephen
 04. The Immigrant
 05. Cow
 06. Worth Waiting For
 07. The Rhino Plasty
 08. Deep South Wale
 09. Coal Porter


85年にリリースされたGLJの2枚目。彼らの最高傑作である。ポップすぎず、適度にメロディアスという匙加減が絶妙。名プロデューサー、ジョン・レッキーのエコーを効かせた独特の音空間づくりも成功している。ギター主体のロック・バンドでありながら、中性的で不思議な魅力を持ったヴォーカルで聴かせる歌モノが多い点も評価ポイント。シングル・カットされた「Cow」はそうしたGLJの魅力がもっともよくあらわれた曲で、印象的なギターフレーズと力強いリズム、そして妖艶なヴォーカルが渾然一体となったメロディアスな佳曲。また「Stephen」「Deep South Wale」、そしてラストの「Coal Porter」といった曲では、当時の4ADにもつながる耽美な浮遊感も。80年代のUK New Wave を代表する1枚だ。


COW


COW(マイケル・アシュトンによるアコースティック・ライヴ)


 2005年には、ベガーズ・バンケットから2枚組のスペシャル・エディションがリリースされ、ディスク2には11曲が収録されている。01・02は「Desire」の12インチ(SIT41T)、03~05は「Cow」の12インチ(SIT36T)、06~08は「Shame」の12インチ(SIT35T)にそれぞれ収録されていたテイクである。ただし、SIT41T収録の「Flame」は「Extended Version」ではないため、その意味で02は初出である。01のオリジナルは次作『DISCOVER』(86年)に収録されているが、SIT41Tは85年にSITUATION2からリリースされており、レコーディングは『IMMIGRANT』と同時期だったのかもしれない。コマーシャルな曲ゆえ、アルバムとしては『DISCOVER』(こちらはベガーズ・バンケットからのリリース)に入っている方がなじむ。01のプロデューサーのクレジットはマイケル、02はコックニー・レベルのスティーヴ・ハーレイ。09・10は84年5月12収録のジョン・ピール・ショウから。11は初出。

【デラックス・エディションのDISC2】
 01. Desire (Extended Remix)
 02. Flame (Extended Version)
 03. The Cow (Extended Version)
 04. One Someone
 05. You Weaken Her (Cow)
 06. Shame (Whole Heart Howl)
 07. Thin Things
 08. Gorgeous
 09. Waves (BBC Session)
 10. Five Below (BBC Session)
 11. Always A Flame (Alternate Version)

 また、2013年発売の『5ALBUMS』の『IMMIGRANT』には7曲のボーナストラックが収録されているが、すべてスペシャル・エディションに収録されている(『スペシャル・エディション』の「Gorgeous」には「Original Version」という表記がないが、同じテイクである)。

【5ALBUMSのボーナス・トラック】
 10. Flame (Extended Version)
 11. One Someone
 12. You Weaken Her (Cow)
 13. Shame(Whole Heart Howl)
 14. Thin Things
 15. Gorgeous (Original Version)
16. Desire (Extended Version)





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THE 1980 FLOOR SHOW / DAVID BOWIE [デヴィッド・ボウイ]

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 「The 1980 Floor Show」は、1973年11月16日に米NBCで放送されたボウイの特番で、NBCの音楽番組『The Midnight Special』の一つとして制作された。奇妙な番組タイトルは、ボウイの曲「1984」の言葉遊び(nineteen eighty four→nineteen eighty floor)である。放送一カ月前の10月18日から20日にかけて、ロンドンのマーキー・クラブで収録された。同年7月にザ・スパイダース・フロム・マーズの解散宣言を行っているが、この時のバックは、ギターがミック・ロンソンで、ベースはトレヴァー・ボルダー。ドラムはウッディ・ウッドマンジーではないものの、名手エンズレー・ダンバーなのでむしろこっちの方が興味深い。『ジギー・スターダスト:ザ・モーション・ピクチャー』にも出演していたマイク・ガーソンがキーボード。ボウイ以外の出演者は以下の通り。

 ・マリアンヌ・フェイスフル
 ・トロッグス
 ・カルメン
 ・アマンダ・レア
 
 マリアンヌ・フェイスフルの声は、60年代の可憐さが失われてハスキーになっているが、アンニュイな美しいルックスと相まってイイ感じだ。トロッグスは、「恋はワイルド・シング」(映画『メジャーリーグ』でチャーリー・シーンが登場するときに流れた曲)のカバーで全米1位となったことがあるイギリスのバンド。この番組でも同曲を演奏している。カルメンは「フラメンコ・ロック」と言われたスパニュッシュな英米混成バンドで、ベースのジョン・グラスコックは後にジェスロ・タルのメンバーとなった。MC担当のアマンダ・レアは、ロキシー・ミュージックの2枚目『フォー・ユア・プレジャー』(73年)のジャケットのカッコいい女性。一時は「アマンダは男性だ」という噂があったようで、『レコード・コレクターズ』93年4月号のロキシー特集では、『フォー・ユア・プレジャー』のジャケットについて「女装したアマンダ・レア」という記述がある。サルヴァドール・ダリの愛人だったこともあるらしい。

 本番・リハーサルともに高音質のCDがあるが、音が悪くても映像の方がずっと楽しめる。私が持っている映像版DVDは、HELDENの1枚モノ『THE 1980 FLOOR SHOW』(DEN -122)と、ヤフオクで360円だったチープなDVD-R2枚組。チープながら2枚組の方はリハ映像が長く収録されており、また「THE DICK CAVETT SHOW 1974」なども収録されているので、2枚組の方が楽しめる。HELDENの1枚モノはリハ60分+本番50分で計110分、2枚モノは2枚あわせて383分の収録。『beatleg』No.153(2013年4月号)によれば、2006年に10時間以上のビデオがオークションに出品されたということで、そのすべてを収録したDVDの5枚組や6枚組がある。
・DVD5枚組の内容
https://www.discogs.com/David-Bowie-Rehearsals-For-The-1980-Floor-Show/release/2851922
・DVD6枚組の内容
 https://www.discogs.com/David-Bowie-The-1980-Floor-Show-Uncut-Version/release/8043209

 6枚組の方がコンプリートか.....というとそうでもなくて、「The 1980 Floor Show」以外のプログラムが収録されていたりしているので基本的にはあまり変わらないように思われる。

Sorrow

アマンダ・レアとの絡みが楽しめる。最後にくっついている二人の会話「Who are you?」は放送されておらず、リハーサル映像をつなげている。

I Got You Babe

「1980 Floor Show」のラストを飾るデュエット(本番ではなくリハーサル映像)。マリアンヌ・フェイスフルは幼い頃修道院で生活していたという。

Everything`s Alright

ロックの殿堂入りしたドラマー、エインズレー・ダンバーのプレイ




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アビイ・ロード 50周年記念 スーパー・デラックス・エディション [ビートルズ]

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CD 2: セッションズ
 01.アイ・ウォント・ユー(トライデント・レコーディング・セッション&リダクション・ミックス)
 02.グッドバイ (ホーム・デモ)
 03.サムシング (スタジオ・デモ)
 04.ジョンとヨーコのバラード (テイク7)
 05.オールド・ブラウン・シュー (テイク2)
 06.オー!ダーリン (テイク4)
 07.オクトパス・ガーデン (テイク9)
 08.ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー (テイク36)
 09.ハー・マジェスティ (テイク1‐3)
 10.ゴールデン・スランバー/キャリー・ザット・ウェイト (テイク1‐3)
 11.ヒア・カムズ・ザ・サン (テイク9)
 12.マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー (テイク12)

CD 3: セッションズ
 01. カム・トゥゲザー (テイク5)
 02. ジ・エンド (テイク3)
 03. カム・アンド・ゲット・イット (スタジオ・デモ)
 04. サン・キング (テイク20)
 05. ミーン・ミスター・マスタード (テイク20)
 06. ポリシーン・パン (テイク27)
 07. シー・ケイム・イン・スルー・バスルーム・ウィンドウ (テイク27)
 08. ビコーズ (テイク1 – インストゥルメンタル)
 09. ザ・ロング・ワン (トライアル・エディット&ミックス)
 10. サムシング (テイク39 – インストゥルメンタル- ストリングス・オンリー)
 11. ゴールデン・スランバー/キャリー・ザット・ウェイト (テイク17 – インストゥルメンタル – ストリングス&ブライス・オンリー)



 マーク・ルウィソ-ン著『ビートルズ・レコーディング・セッション』(シンコー・ミュージック)の1969年4月14日(月)の項には「ジョンとヨーコのバラード」について「第4テイクに入る前には、ジョンがドラマーのポールに「テンポを少し上げてくれ、リンゴ!」と言い、ポールがギタリストのジョンに「OK、ジョージ!」と答える微笑ましい場面も。」という記述がある。今回収録されている第7テイクにはそのやりとりがつけくわえられており、二人の言葉の間には笑い声も聞こえる。マーク・ルウィソーンも書いているが、「グループ末期のメンバーは仲が悪かった」という通説を覆すようなやりとりで、大変興味深い。

 一番の聞き物は、CD3に収録されている「ザ・ロング・ワン (トライアル・エディット&ミックス」。このセットに収録されている様々な曲を編集で1つにつなげたテイクだが、ルウィソーン本の1969年7月30日を読みながら、オリジナルと聞き比べてみるとなかなか楽しい。
 (1)オリジナル盤ではラストの「ハー・マジェスティー」が、このミックスでは「ミーン・ミスター・マスタード」と「ポリシーン・パン」の間に位置している。
 (2)「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」と「サン・キング」のクロスフェイドのつなぎがオルガンで、オリジナル版のSE(カウベルや虫の声:ルウィソーン本によれば8月5日にポールが付け加えた)が入っていない。
 (3)「ゴールデン・スランバー/キャリー・ザット・ウェイト」「ジ・エンド」にストリングス(8月15日)が入っていない。「ジ・エンド」のオーケストラについて、ルウィソーン本の8月15日の項に「ほんの数秒のため」「念の入った入ったオーケストラ・オーバーダブ」という興味深い記述がある。オリジナル版では「Is equal to the love you make」の「love」にかかって入るオーケストラのことだろう。「ジ・エンド」にはヴォーカルも素晴らしいギターソロも短いピアノ(8月18日)も入っていない。

 「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」のリリース版はヴォーカルから始まるが、テイク12はドラムからはいる前奏がついたテイク。最初にポールが入り方を指示しているのが面白い。ルウィソーン本によればテイク12のレコーディングは7月9日で、あの素晴らしいムーグがオーバーダビングされたのは8月6日。したがってムーグはまだ入っていない。8月5日の項によると、ポールはリボン・コントローラー(キース・エマーソンがステージで振り回していた)でムーグを演奏したらしい。前奏にムーグをオーバーダブしたテイクもあり、これを収録して欲しかった。

 色々と興味深い『アビイ・ロード』音源だが、結局は「聴くならやはり公式オリジナル・アルバム」という点に落ち着く。「オクトパス・ガーデン (テイク9)」で歌詞の入りを間違えるリンゴ 、「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー (テイク12)」で歌詞を忘れて鼻歌でごまかすポールなど、聞き所は多い。が、それは「オリジナル盤を相当に聞き込んだ人にとって」という条件がつく。インストのストリングスだけのテイクなど、ある程度ビートルズ音源を聴聞き込んできた私でさえも「一度聴いたら十分」的なマテリアルにすぎないし、ムーグ抜きの「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー 」、ヴォーカルとギターソロなしの「ジ・エンド」、そしてムーグとコーラス、手拍子なしの「ヒア・カムズ・ザ・サン」なんかを聴いて喜ぶのは相当なマニアだけだろう。収録されているボツテイクを聴いて、改めてオリジナル盤を聴いてみるとその凄さが再認識できる。そういうセットである。



アビイ・ロード【50周年記念スーパー・デラックス・エディション】(完全生産限定盤)(3SHM-CD+Blu-ray Audio付)

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  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2019/09/27
  • メディア: CD



Abbey Road -Deluxe-

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  • 出版社/メーカー: Universal
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