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John Barleycorn Must Die / Traffic [スティーヴ・ウィンウッド]

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 トラフィック4枚目のアルバム(1970年)。ブラインド・フェイスが空中分解した後、スティーヴはジンジャー・ベイカーズ・エアフォースへの参加をへてソロ・アルバムの制作にはいった。このセッションに元トラフィックのクリス・ウッドとジム・キャパルディが参加し、新生トラフィックとして再スタートを切ることになる。アメリカ的なジャズ風の曲もあるが、白眉はアルバム・タイトルにもなっているトラッド・ナンバー「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」である。フェアポート・コンヴェンションにスティーライ・スパン、ペンタングルという3大バンドをはじめ、様々なミュージシャンが取り上げている超有名なトラッド・ナンバー(ラウド番号は164)で、最近だと企画プロジェクトのThe Imagined Villageで、ポール・ウェラーがマーティン・カーシーと交互にヴォーカルを担当するという夢の共演が実演している。トラフィックのヴァージョンは、抑え気味のスティーヴのヴォーカルとクリスのもの悲しいフルートが印象的。これまではアメリカンなサウンドに少しだけ英国フォークが使われてきたトラフィックだが、このアルバムはアメリカ的なサウンドと英国的なサウンドがほどよく調和した作品に仕上がっている。ボーナス・トラックのライヴ2曲(1970年11月のフィルモア・ウェスト)のうち10分を超えるラストの「グラッド」はリラックスしたインプロヴィゼイションが心地よいジャジーなナンバー。ブラインド・フェイス~ジンジャー・ベイカーズ・エアフォースでの経験がもたらしたプレイ。アルバムのオープニングがスタジオ・ヴァージョンで、2つの「グラッド」を聴くと、スティーヴのキーボードと並んでクリスのサックスがファンキーでカッコよく、このアルバムにおけるクリス・ウッドの果たした役割の大きさを実感する。

Traffic-John Barleycorn ......Must Die


Steve Winwood // Traffic - John Barleycorn (Must Die)


The Imagined Village John Barleycorn





ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ+4

ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ+4

  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: CD



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スティーヴ・ウィンウッド在籍時のスペンサー・デイヴィス・グループ [スティーヴ・ウィンウッド]

 スティーヴ・ウィンウッドがスペンサー・デイヴィス・グループに在籍していたのは1964~66年の3年間。私が生まれたのが1966年なので、少々感慨深いものがあるが、彼は1948年生まれなので、SDG在籍時は16~18歳の頃である。今で言えば高校生だという事実には驚くほかないが、その間にリリースされたのアルバムは3枚、シングルは9枚である。1990年代に入手できたSDGのCDはベスト盤くらいしかなく、その全貌を捉えることはなかなか難しかった。しかし今ではフォンタナ時代の3枚すべてCD化されており、シングル曲もすべてボーナストラックとして収録されているので、若きスティーヴィーの魅力を十分に堪能できる。

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『ゼア・ファーストLP』
 01. マイ・ベイブ
 02. えくぼ(ディンプルズ)
 03. サーチン
 04. エヴリ・リトル・ビット・ハーツ
 05. アイム・ブルー(ゴング・ゴング・ソング)
 06. シッティン・アンド・シンキン
 07. アイ・キャント・スタンド・イット
 08. ヒア・ライト・ナウ
 09. ジャンプ・バック
 10. イッツ・ゴナ・ワーク・アウト・ファイン
 11. ミッドナイト・トレイン
 12. イット・ハーツ・ミー・ソー
[ボーナス・トラック]
 13. シー・プット・ザ・ハート・オン・ミー
 14. アイム・ゲティング・ベター
 15. アイル・ドラウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ
 16. グッドバイ・スティーヴィー
 17. マイ・ベイブ (USヴァージョン)
 18. サーチン (USヴァージョン)
 19. エヴリ・リトル・ビット・ハーツ (USヴァージョン)
 20. ミッドナイト・トレイン (USヴァージョン)
 21. インセンス

 65年7月にリリースされた1stアルバム。1stシングル「えくぼ」をはじめ、64年にリリースされた3枚のシングルを中心にした編集。「えくぼ」のB面「シッティン・アンド・シンキン」(6曲目)、2ndシングル「アイ・キャント・スタンド・イット」(7曲目)とそのB面「ミッドナイト・トレイン」(11曲目)、そして3rdシングル「エヴリ・リトル・ビット・ハーツ」とそのB面「イット・ハーツ・ミー・ソー」(12曲目)。いずれもカヴァーだが、「エヴリ・リトル・ビット・ハーツ」の情感あふれるバラードが最も素晴らしい。USヴァージョンにはストリングスがはいってるが、これはやや過剰な気がする。この「エヴリ・リトル・ビット・ハーツ」はスモール・フェイセスもカヴァーしているのだが、私が持っているスモール・フェイセスのCDはほとんどが初期盤のため、この曲のスタジオ・ヴァージョンを聴くことができない。『オータム・ストーン』に収録されているライヴ・ヴァージョンしか聴いたことがないが、切々と歌い上げる故スティーヴ・マリオットのヴォーカルには胸を打たれる。ブリティッシュ・ロックを代表するヴォーカリスト、両スティーヴのヴォーカルを聞き比べるのも一興。
 カヴァー中心のアルバムだが、「ヒア・ライト・ナウ」「イット・ハーツ・ミー・ソー」はスティーヴ単独のオリジナル(「シッティン・アンド・シンキン」はメンバーの共作)。面白いのは5曲目の「アイム・ブルー」で、いささかエキセントリックなヴォーカルは、「マイ・ボーイ・ロリポップ」(小泉今日子もカバーしていた)をヒットさせたジャマイカ出身のミリー・スモール。ミリーもSDGも、ともにクリス・ブラックウェル(アイランド・レコードの創立者)がマネージメントを担当していた関係。ボーナストラック9曲のうち、13/14/15/16の4曲は、65年にリリースされた4曲入りEP「You Put The Hurt On Me」(Fontana 465 282 TE)に収録されていたテイク。USヴァージョンの4曲は、67年にアメリカのUAがリリースした編集盤『I'm A Man』に収録されてていたヴァージョン。ラストの「インセンス」はSDGの曲ではなく、65年にリリースされたジ・アングロスTHE ANGLOSというユニットの曲である。SDGの変名ユニットだとか、プロデューサーのジミー・ミラーがアメリカでレコーディングしてきたバック・トラックにスティーヴ・ウィンウッドがヴォーカルをイギリスでオーヴァー・ダビングしたものだとか様々な伝説があるが、その真偽は現在の所確認されていない(スティーヴは、スティーヴ・アングロという変名でセッションに参加していることもある)。したがって、この曲のヴォーカルがスティーヴだという確証はない。スティーヴィーのヴォーカルだと言われればそう聞こえるが、違うと言われれば違うように聞こえる。


『セカンド・アルバム』
 01. ルック・アウェイ
 02. キープ・オン・ラニング
 03. ジス・ハマー
 04. 我が心のジョージア(ジョージア・オン・マイ・マインド)
 05. プリーズ・ドゥ・サムシング
 06. レット・ミー・ダウン・イージー
 07. ストロング・ラヴ
 08. アイ・ウォッシュト・マイ・ハンズ・イン・マディ・ウォーター
 09. シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー
 10. ユー・マスト・ビリーヴ・ミー
 11. ヘイ・ダーリン
 12. ウォッチ・ユア・ステップ
[ボーナス・トラック]
 13. スティーヴィーズ・ブルース
 14. トランポリン
 15. バック・イン・マイ・ライフ・アゲイン
 16. カンザス・シティ
 17. オー・プリティ・ウーマン
 18. デト・ヴァー・イン・シェーネベルク
 19. スティーヴィーズ・グルーヴ
 20. スティーヴィーズ・ブルース(USヴァージョン)

 「ストロング・ラヴ」「キープ・オン・ラニング」の2枚のシングルをメインとした、1966年1月リリースの2ndアルバム。「ストロング・ラヴ」のB面「ハイ・タイム・ベイビー」は、次の3rdアルバムに収められている。聞き物は、もちろん全英No.1となった「キープ・オン・ラニング」だが、「我が心のジョージア」も素晴らしい。また「バック・イン・マイ・ライフ・アゲイン」もいい曲だが、これは「キープ・オン・ラニング」の作者ジャッキー・エドワーズとジミー・ミラーの共作。ジャッキーはジャマイカ出身だが、SDGの演奏にはあまりレゲエ感がなく、スマートなドライヴ感が魅力的だ。「スティーヴィーズ・ブルース」(次のアルバム『オータム'66』に収められているシングル曲「サムボディ・ヘルプ・ミー」のB面)は、ツェッペリンもカヴァーした「ユー・シュック・ミー」っぽい60年代英国ブルースの香り漂うブルージーな好ナンバー。


『オータム '66』
 01. 愛の終わる日まで(トゥゲザー・ティル・ジ・エンド・オブ・タイム)
 02. テイク・ジス・ハート・オフ・ミー
 03. ノーボディ・ノウズ・ユー・ホエン・ユア・ダウン・アンド・アウト
 04. ミッドナイト・スペシャル
 05. 男が女を愛する時(ホエン・ア・マン・ラヴズ・ア・ウーマン)
 06. ホエン・アイ・カム・ホーム
 07. ミーン・ウーマン・ブルース
 08. ダスト・マイ・ブルース
 09. オン・ザ・グリーン・ライト
 10. ネイバー・ネイバー
 11. ハイ・タイム・ベイビー
 12. サムボディ・ヘルプ・ミー
[ボーナス・トラック]
 13. 愛しておくれ(ギミ・サム・ラヴィン)
 14. Fのブルース(ブルース・イン・エフ)
 15. アイム・ア・マン
 16. 満ちたりない気持ち(アイ・キャント・ゲット・イナフ・オブ・イット)
 17. ワルツ・フォー・ルムンバ(ワルツ・フォー・カロライン)
 18. サムボディ・ヘルプ・ミー (USヴァージョン)
 19. 愛しておくれ(ギミ・サム・ラヴィン) (USヴァージョン)
 20. アイム・ア・マン (ステレオ・ヴァージョン)

 タイトル通り、1966年の秋にリリースされた3枚目、スティーヴ・ウィンウッド在籍ラストのアルバム。「サムボディ・ヘルプ・ミー」(B面「スティーヴィーズ・ブルース」)と「ホエン・アイ・カム・ホーム」(B面「トランポリン」)の2枚のシングルが収められているが、B面曲は2曲とも『セカンド・アルバム』のボーナス・トラックという変則的な編集になっている。これは「愛しておくれ(ギミ・サム・ラヴィン)」(B面「Fのブルース」)と「アイム・ア・マン」(B面「満ちたりない気持ち」)という2枚のシングルを収録したため、収録曲数を合わせるためだろう。「愛しておくれ(ギミ・サム・ラヴィン)」、「アイム・ア・マン」という2大名曲プラス「男が女を愛する時」の名唱が聴けるということで、3枚の中では最も聴き応えがある。「男が女を愛する時」を聴いていると、自分が高校の教師をしているせいか、「これがホントに高校生の歌唱力か?」と思ってしまう。




ゼア・ファースト・LP+9(紙ジャケット仕様)

ゼア・ファースト・LP+9(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: CD



セカンド・アルバム+8(紙ジャケット仕様)

セカンド・アルバム+8(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD



オータム’66+8(紙ジャケット仕様)

オータム’66+8(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: CD



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TRAFFIC / TRAFFIC [スティーヴ・ウィンウッド]

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『トラフィック』
1. ユー・キャン・オール・ジョイン・イン
2. パーリー・クイーン
3. ドント・ビー・サッド
4. フー・ノー・ホワット・トゥモロウ・ブリング
5. フィーリン・オールライト
6. ヴァガボンド・ヴァージン
7. 40,000ヘッドメン
8. クライン・トゥ・ビー・ハード
9. ノー・タイム・トゥ・リヴ
10. ミーンズ・トゥ・アン・エンド
〈ボーナス・トラック〉
11. 繁みの中の欲望
12. アム・アイ・ホワット・アイ・ウォズ
13. ウィザリング・ツリー
14. メディケイテッド・グー
15. シャンハイ・ヌードル・ファクトリー

68年リリースのセカンド・アルバム。一時グループを離れていたデイヴ・メイスンがカムバックして発表された作品です。プロデュースはおなじみのジミー・ ミラーですが、エンジニアとしてグリン・ジョーンズ(ビートルズその他)とエディ・クレイマー(レッド・ツェッペリン、KISSなど)がクレジットされて います。
時代を投影したサイケな前作と異なり、フォーキーでブラック・ミュージクの要素が強い作品。彼らの原点回帰とも言える作品でしょう。好みにもよるでしょう けど、私はこちらの2枚目の方が好み。火花散る、といった感じではありませんが、スティーヴととデイヴの持ち味がいい形で相乗効果を出していると思いま す。どちらかというと、アナログではB面に当たる6以降の曲のほうが、ブリティッシュっぽくてよい感じです。特にクリスのフルートとソプラノ・サックスが 素晴らしい。叙情的なフルートがジェスロ・タルを彷彿とさせる「ヴァガボンド・ヴァージン」「40,000ヘッドメン」、泣きのサックスが印象的な大作 「ノー・タイム・トゥ・リヴ」など、彼の活躍ももっと注目されてもいいはず。
ボーナス・トラックではメイソンが再び脱退した後にシングルとしてリリースされた「メディケイテッド・グー」が聞き物。ロック的アプローチの強いこの曲 は、ウィンウッドがほとんどの楽器を演奏しており、彼の才能が遺憾なく発揮された曲。情感あふれるギターが素晴らしいです。
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HEAVEN IS IN YOUR MIND / TRAFFIC [スティーヴ・ウィンウッド]

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  1.ペーパー・サン
  2.ディーラー
  3.カラード・レイン
  4.ホール・イン・マイ・シュー
  5.ノー・フェイス,ノー・ネーム,ノー・ナンバー
  6.ヘヴン・イズ・イン・ユア・マインド
  7.ハウス・フォー・エヴリワン
  8.バークシャー・ポピーズ
  9.ギヴィング・トゥ・ユー
  10.スマイリング・フェイジズ
  11.ディア・ミスター・ファンタジー
  12.ウィーアー・ア・フェイド,ユー・ミスト・ディス
 〈ボーナス・トラック〉
  13.アッタリー・シンプル
  14.ホープ・アイ・ネヴァー・ファインド・ミー・ゼア
  15.茂みの中の欲望
  16.アム・アイ・ホワット・アイ・ウォズ

 トラフィックのアメリカにおけるデビュー・アルバムで、本国イギリスにおけるデビュー・アルバム『ミスター・ファンタジー』に遅れること1カ月の68年1月にUAよりリリース。当時デイヴ・メイスンが脱退していたため、ジャケット写真はメイスン以外の3人のものと差し替えられ、曲目もメイスン作で彼がヴォーカルも担当した「アタリー・シンプル」「ホープ・アイ・ネヴァー・ファインド・ミー・ゼア」の2曲がはずされ、「ペーパー・サン」「ホール・イン・マイ・シュー」の2曲のシングル・ヒット曲と「ホール・イン・マイ・シュー」のカップリング曲「スマイリング・フェイジズ」と「ウィーアー・ア・フェイド,ユー・ミスト・ディス」を加えた構成。メイスン作(ヴォーカルも彼)とはいえ、ヒット曲「ホール・イン・マイ・シュー」ははずせなかったようです。ヒット曲が2曲含まれているため、英国盤よりもポップで聞きやすい感じがします。
 現行CDは本作がステレオ・ミックス、『ミスター・ファンタジー』がモノ・ミックスの仕様となっていますが、2000年にリリースされた『ミスター・ファンタジー』(番号はPHCW2701)は、英国仕様ステレオ・ミックスにこの『ヘヴン・イズ・イン・ユア・マインド』のモノ・ミックス12曲を加えた 22曲入り。現行の『ミスター・ファンタジー』は、モノ・ミックスでのオリジナル10曲にシングル「ペーパー・サン」とそのB面「ギヴィング・トゥ・ユー」、「ホール・イン・マイ・シュー」とそのB面「スマイリング・フェイジズ」、そして「茂みの中の欲望」の5曲がモノ・ミックスで収録されています。僕は現行のUKモノ・ミックス仕様の『ミスター・ファンタジー』を持っていないため聴き比べができませんが、UKモノとUSモノとで違いはあるのでしょうか?
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Mr.Fantasy / TRAFFIC [スティーヴ・ウィンウッド]

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『ミスター・ファンタジー』トラフィック
   1. ヘヴン・イズ・イン・ユア・マインド
   2. バークシャー・ポピーズ
   3. ハウス・フォー・エヴリワン
   4. ノー・フェイス,ノー・ネーム,ノー・ナンバー
   5. ディア・ミスター・ファンタジー
   6. ディーラー
   7. アタリー・シンプル
   8. カラード・レイン
   9. ホープ・アイ・ネヴァー・ファインド・ミー・ゼア
   10. ギヴィング・トゥ・ユー
 18歳にして「最高の白人ブルース・シンガー」と称されたスティーヴであったが、これからアメリカでも大ブレイクかという時期に兄マフとともにスペンサー・デイヴィス・グループを脱退してしまう。そして新しく結成したのがトラフィック。スティーヴ以外のメンバーは、デイヴ・メイスン(g)、ジム・キャパルディ(ds/p)、クリス・ウッド(fl/sax)。このメンバーは、スペンサー・ディヴィス・グループ時代の「ワルツ・フォー・ルムンバ」(映画『ヒア・ゴー・ラウンド・ザ・マルベリー・ブッシュ』のサントラ)にも参加していた。
 この1stアルバムは、67年にリリースされた作品だが、67年と言えばかの『サージェント・ペパーズ』がリリースされた年でもある。世はまさにサイケデリック。このトラフィックのアルバムも時代を反映したつくりとなっており、それまでのR&Bから全然違うベクトルを持っている。ジャケットからしてサイケ(色調がなんとなく『カラフル・クリーム』――これも1967年のリリースだが――に似ている?トラックバック先を見てね)し、不思議なMr.ファンタジーをあしらった写真もその流れだろう(クリス・ウッドのデザイン)。音が左右に移動していく「ヘヴン・イズ・イン・ユア・マインド」とか、シタールを使ったラーガ・ロックの「アタリー・シンプル」、「ディア・ミスター・ファンタジー」の歌詞など、モロに「トリップ感覚」に満ちた曲。「ヘヴン~」以外にも「ハウス・フォー・エヴリワン」でのブレイクなど、エフェクト類を駆使した凝った音づくりになっており、当時としては最新のレコーディング技術を駆使したと思われる。そこでエンジニアを見てみると、クレジットされているのはエディー・クレイマーであった。彼は80年代にメタル系のアーティストを手がけたことでも知られるが、ツェッペリンのエンジニアとしてその名が知られている。有名なブート『Listen to This, Eddie』の「エディー」は、ヴァン・ヘイレンのエドワードではなく、このエディー・クレイマーを指しているという説もある。
 ジャケ・音づくり・曲とすべてにサイケディックなトータル性をもたせたのは、このアルバムのコンセプトで、それはグループ全体の方向性でもあったと考えてよさそうなものだが、なかなかこれが難しい。というのも、このアルバムを象徴すると言っても過言ではない「ハウス・フォー・エヴリワン」「アタリー・シンプル」「ホープ・アイ・ネヴァー・ファインド・ミー・ゼア」の3曲は、このアルバムのリリース後に一時脱退するメイスンの単独作品である。う~む、とするとこの作品においてメイソンの果たした役割は、スティーヴ以上であり、それが原因で内部対立が起きた可能性がありますな。こういった「やりたいことが違う人たち」が、兎にも角にもまとまったのはプロデューサーのジミー・ミラーの手腕なのかもしれない。ジミー・ミラーは、翌68年にリリースされるストーンズの傑作『ベガーズ・バンケット』を手がけるが、この作品と同じくオリンピック・スタジオがレコーディングに使用され、デイヴ・メイソンが「ストリート・ファイティング・マン」で存在感のあるシタールを弾いている。この作品が後世に与えた影響も、侮れないかも。
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