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TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS / YES [イエス]

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海洋地形学の物語 / イエス
 DISC1
  1.神の啓示 - The Revealing Science of God (Dance of the Dawn) (20:27)
  2.追憶 - The Remembering (High the Memory) (20:38)
  3.古代文明 - The Ancient (Giants under the Sun) (18:34)
 DISC2
  1.儀式 - Ritual (Nous sommes du soleil) (21:35)
  2.ダンス・オブ・ザ・ドーン(スタジオ・ラン・スルー) ボーナス・トラック
  3.ジャイアンツ・アンダー・ザ・サン(スタジオ・ラン・スルー)


 名作『危機』(72年)のあと、ライヴ・アルバム『イエスソングス』(73年)をはさんでリリースされた6枚目のスタジオ・アルバム(73年)。アナログ時代は2枚組で、それぞれの面に1曲で計4曲という大作。

 『こわれもの』『危機』で独特のドラミングを聴かせたブル・ブルーフォード(かつて日本では「ビル・ブラッフォード」と表記されていたが、本人の要望により現在ほとんどのメディアでは「ビル・ブルーフォード」表記に変更されている)が脱退し、かわってジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドのメンバーだったアラン・ホワイト(ジョンの『イマジン』やジョジ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』にも参加している)が加入した最初の作品。「ランドアバウト」「危機」など複雑で変拍子やポリリズムを駆使したビルと異なり、セッション・ミュージシャン出身のアラン・ホワイトのドラミングはこれといった特徴に欠けるのは事実だが、堅実な演奏は安定感があり、「儀式」ではドラム・ソロも披露している。

 「危機」のように全員一丸となったアンサンブルは影を潜め、個人プレイの寄せ木細工といった感じで、特にハウのギターとウェイクマンのキーボードが目立つ。ウェイクマンのシンセは美しいメロディーを奏で、鳴り響くメロトロンは幻想的な雰囲気を演出している。一方ハウも弾きまくっているのだが、バトルという感じではなく落ち着いて聴くことができる。「古代文明」の後半で、ハウが演奏するトラディショナルなアコースティック・ギター(「ランドアバウト」のイントロ風)とアンダーソンのヴォーカルは英国トラッド風でなかなかよい感じだ。
 アンサンブルの後退は「緊張感に欠ける」「冗長」という評価につながってしまったが、ゆったりとした雰囲気は聴いていて心地よく、壮大な叙事詩的作品に仕上がっている。リスナーのイマジネーションを刺激してくれることが私にとってプログレの魅力であるが、その意味でこの作品は傑作である。リマスター盤には2曲のボーナス・トラックが収録されている。


海洋地形学の物語 アトランティック70周年記念(紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: CD



Tales from Topographic Oceans(3CD+Blu-ray)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Panegyric
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: Blu-ray Audio



海洋地形学の物語 <7インチ・サイズ紙ジャケット&SACDハイブリッド盤>

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: CD



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A LIFE WITHIN A DAY / SQUACKETT [イエス]

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 ロバート・フリップがいればキング・クリムゾンであるが、イエスの場合は『こわれものの』『危機』のメンバーが3~4人ほど集まれば、そのユニットは「ほぼイエス」である。実際アンダーソン・ブラッドフォード・ウェイクマン・ハウ(ABWH)を「ほぼイエス」と思った人は少なくないはず。しかし一方で「イエス」を名乗るからには、クリストファー・スクワイアがいなくては画竜点睛を欠くのもまた事実。クリスがイエス以外での活動をほとんど行ってこなかったことも、「イエス=クリスのバンド」というイメージを強くしている気がする。

そのクリスが元ジェネシスのスティーヴ・ハケットとともに結成したユニット「スクアケット(SQUACKETT)」唯一の作品が2012年にリリースされた「ライフ・ウィズイン・ア・デイ」である。クリスは2016年に白血病で亡くなったが、彼の長いキャリアの中でイエス(およびその前身バンドで再結成もされたザ・シン)以外の本格的な別ユニットとしては唯一の作品だと言える。

ア・ライフ・ウィズイン・アデイ / スクアケット
  1. ア・ライフ・ウィズィン・ア・デイ
  2. トール・シップス
  3. ディヴァィデッド・セルフ
  4. 異邦人
  5. シー・オブ・スマイルズ~微笑の海
  6. 夏の名残
  7. ストームチェイサー~嵐を追う者
  8. キャント・ストップ・ザ・レイン
  9. パーフェクト・ラヴ・ソング

 基本、歌モノの作品。「ディヴァィデッド・セルフ」や「シー・オブ・スマイルズ~微笑の海」などエイジアからGTRに至る80年代プログレの雰囲気も感じられるが、全体としてコマシャールの一歩手前で踏みとどまっている感じがクリスらしい。クリスもスティーヴもそれなりにヴォーカルをとることが出来る人なので、メロディー重視の歌モノにしようというコンセプトがあったのだろう。特にイエス時代から印象的だったコーラスワークが心地よく、全体的に泣きのギターが目立つスティーヴ色が強いサウンドの、よいアクセントになっている。2曲目「トール・シップス」のベースとギターの絡みなどは、ギターの名手とベースの名手による双頭バンドの面目躍如と言ったところで、さらに抑えたヴォーカルとも相まって、おそらくこれがスクアケットの方向性だったのだろうと感じさせる曲だ。ツェッペリンの「天国への階段」的雰囲気を持つ「異邦人」もいい。ドラマティックな「ストームチェイサー~嵐を追う者」から、力が抜けたジャジーな感じの「キャント・ストップ・ザ・レイン」への対照的な流れも面白い。この後、最終イエスの『ヘヴン&アース』(2014)がクリスの遺作となるが、このスクアケット唯一の作品が彼の最後の輝きで、遺作と呼ぶにふさわしい作品のように思われる。








Life Within a Day

Life Within a Day

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Mvd Visual
  • 発売日: 2012/06/19
  • メディア: CD



ア・ライフ・ウィズイン・ア・デイ (直輸入盤・帯・ライナー付き)

ア・ライフ・ウィズイン・ア・デイ (直輸入盤・帯・ライナー付き)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: DUレーベル (原盤:英/Esoteric Antenna)
  • 発売日: 2012/06/13
  • メディア: CD



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90125 / YES [イエス]

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 イエス『ロンリー・ハート』
  1. ロンリー・ハート
  2. ホールド・オン
  3. イット・キャン・ハプン
  4. 変革
  5. シネマ
  6. リーヴ・イット
  7. アワ・ソング
  8. シティ・オブ・ラヴ
  9. ハーツ
  (ボーナス・トラック)
  10. リーヴ・イット(シングル・リミックス)
  11. メイク・イット・イージー
  12. イット・キャン・ハプン(シネマ・ヴァージョン)
  13. イッツ・オーヴァー
  14. ロンリー・ハート(エクステンデッド・リミックス)
  15. リーヴ・イット(ア・カペラ・ヴァージョン)

 前作『ドラマ』(1980年)のリリース後、イエスは解散を発表しました。『ドラマ』ではただひとりのオリジナル・メンバーとなってしまったクリス・スクワイア。彼が解散後、新たにパートナーに選んだのは、トレヴァー・ラビンでした。トレヴァーは1954年南アフリカ共和国生まれ。当時の南アフリカは、悪名高きアパルトヘイト(人種隔離政策)国家であったことから国際社会から排除されていたため、彼の名前には必ずと言っていいほど「南アフリカ出身」という説明がついていました。

 1983年、復活イエスの第一弾としてリリースされたこの作品は、シングル「ロンリー・ハート」がイエス初の全米No.1となるなど、彼ら最大のヒット作となりました。プロデュースは、前作『ドラマ』で僚友ジェフ・ダウンズとともに参加していた元バグルスのトレヴァー・ホーン。エレクトロニクスを多用し、モダンでポップな面が強調された作風は、昔からのファンを大いに驚かせたものでした。とはいうものの、「イット・キャン・ハプン」のスペイシーな感覚や、トレヴァー・ラビンとジョン・アンダーソン2人のヴォーカルをフィーチャーした「リーヴ・イット」徐々に盛り上がるアンサンブルには「イエスらしさ」を私は感じましたが。とりわけ、印象的なイントロで始まる「変革」での、イエスならではの緻密な構成とハードなドライヴ感は、まさに「新生イエス」を感じさせます。

 この『90125』で音楽的なイニシアティヴを握っていたのはトレヴァー・ラビンです。いわゆる「プログレ・ハード」風味を大胆に取り入れています。このことは、解散後に彼が自分の名義でリリースしたイエス時代のデモ集『90124』を聴くとよく分かります。

 トレヴァー・ラビン『90124』
  1. ホールド・オン
  2. 変革
  3. ムーヴィング・イン
  4. ウッド・ユー・フィール・マイ・ラヴ?
  5. ホエア・ウィル・ユー・ビー
  6. ロンリー・ハート
  7. ウォールズ
  8. プロムナード
  9. ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ
  10. ミラクル・オブ・ライフ
  11. シネマ

 『90124』と『90125』との間には、アレンジや雰囲気など同じ曲でもかなりの違いがあります。当初「シネマ」と命名されたプロジェクトに、ジョン・アンダーソンが加わって「イエス復活」となったことは有名な話ですが、トレヴァー・ラビンの音楽性にジョン・・アンダーソンの個性を加え、両者をエレクトロニクスで融合させという点で、トレヴァー・ホーンの功績は大きいと言えるでしょう。プログレ・ハードに「踊れる」というファクターをプラスしたことで、さらに音楽性の幅が広がっています。イエスらしい細部までこだわった緻密な構成を持ちながら、新しい要素を取り入れていくという「不易と流行」を体現した点にこの作品のすばらしさ(そしてイエスというバンドの息の長さ)はあると思います。


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 シングル・カットされた「ロンリー・ハート」と「リーヴ・イット」は、当時流行した12インチでもリリースされました。
「ロンリー・ハート」の12インチヴァージョンは、CDにボーナス・トラックとして収録されていますが、「リーヴ・イット」の「Hello, Goodbye Mix」はCD未収なのが残念です。また、 『90125』の現行盤に収録されているボーナス・トラックのうち、「メイク・イット・イージー」「イット・キャン・ハプン(シネマ・ヴァージョン)」の2曲はボックス『イエス・イヤーズ』に収録されていますが、同じころ「ロンリー・ハート」はリミックスされました。
 『Owner Of A Lonely Heart』 (B8712CD)
1. Original Version
2. Wonderous Mix
3. 2 Close to the Edge Mix
4. Not Fragile Mix
 それぞれ、かつてのイエスの名曲のタイトルにインスパイアされたネーミングになっています。




90124

90124

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ミュージック・シーン
  • 発売日: 2010/09/25
  • メディア: CD



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FRAGILE / YES [イエス]

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『こわれもの』イエス
   1. ラウンドアバウト
   2. キャンズ・アンド・ブラームス(ブラームス=交響曲第4番ホ短調第3楽章)
   3. 天国への架け橋
   4. 南の空
   5. 無益の5%
   6. 遥かなる想い出
   7. ザ・フィッシュ
   8. ムード・フォー・ア・デイ
   9. 燃える朝やけ

 『サード・アルバム』に続いて71年にリリースされた4作目。この作品から、オルガン一辺倒だったトニー・ケイに代わり、セッション・ミュージシャンとしても高いテクニックを誇る元ストロウブスのリック・ウェイクマンが加入したわけですが、誰がどう見ても大正解。とりあえずイエスの最強メンバーはこのABWH+リーダーのスクワイアというのは衆目の一致するところでしょうな。さらにこの作品からロジャー・ディーンがジャケット・デザインを担当し始めるの点にも注目。
 『こわれもの』の面白い点は、メンバー個々のソロ作に近い作品を入れてそれぞれの音楽的個性を明確にした上で、バンドとしてトータルな作品に仕上げているという点です。ウェイクマンの「キャンズ・アンド・ブラームス」はキーボード類を駆使した壮大な作品で、ワンマン・オーケストラとでも言える作品なワケですが、個人的にはストレートすぎてあまり面白くない。ブラッフォードの「無益の5%」は少々アヴァンギャルドが強すぎ。アンダーソンがヴォーカルをオーヴァー・ダビングで重ねた「天国への架け橋」が面白い。特にこの曲では、ドアが閉まって靴音が遠ざかるというSEで曲が終わるというのが効果的。なんとなく手法といい曲といいビートルズを連想するんですけどね。クリス・スクワイアの「ザ・フィッシュ」も力強いベースがイマジネーションを刺激する、プログレらしさを持った曲。
 最大の聞き物は、メンバー一体となったオープニングの「ランドアバウト」。アコギとシンセの掛け合いで始まるオープニングから、ベースとドラムの強力なリズム、そして伸びやかなヴォーカルが加わって徐々に分厚い音をつくりあげる構成は実に素晴らしい。おまけに全員が並はずれたテクニシャンなわけだから悪かろうはずがない。エンディングの素晴らしいコーラス・ワークまで一気に聴かせる名曲でございます。ラストの「燃える朝やけ」も悪くないんだけど、この曲がトップになっている『クラシック・イエス』が愛聴盤だったので、この曲が一番最後に収録されている点には、なんか違和感を感じてしまうのですね~。

2003年にライノがリマスターしてリイシューされた時には、上記9曲に加えて、「アメリカ」「ランドアバウト(アーリー・ラフ・ミックス)」の2曲がボーナス・トラックとして収録されています。
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THE YES ALBUM / YES [イエス]

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『サード・アルバム』イエス
  1.ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス
  2.クラップ
  3.スターシップ・トゥルーパー
    a.ライフ・シーカー
    b.ディシルージョン
    c.ワーム
  4.アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル
    a.ユア・ムーヴ
    b.オール・グッド・ピープル
  5.ア・ヴェンチャー
  6.パペチュアル・チェンジ

 ギターがピーター・バンクスからスティーヴ・ハウに代わった第2期イエスが発表した3枚目(71年)。アコースティックな要素を強く持ったハウの加入は、イエスがシンフォニック・ロックへの志向を強めるのに大きな役割を果たしたと言えます。「スターシップ・トゥルーパー」の宇宙空間を突き進むかのような、スペイシーでイマジネーションを刺激する音空間、「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」での強力で正確なアンサンブルは、次作への橋渡しとなった曲として特に興味深い曲です。一方でシンフォニックな大作志向の強まりは、シンセやメロトロンを使わずオルガンに固執したトニー・ケイの脱退を促したのも頷けます。ハウがアコギを独演するライヴ「クラップ」は彼の独壇場で、アコースティックな曲調の中にも火花が飛び散るような熱演である様子が伝わってきますね。イエスはやはりヨーロピアンの華麗な世界を体現するバンドです。
 一般には『こわれもの』や『危機』がイエスの最高傑作と言われています。私もそれを認めるにやぶさかではありませんが、「好き」という基準では、『こわれもの』よりもこの作品の方が上です(別にメンバーがそう言っているから、というワケではありませんよ)。おそらく私が最初に買ったイエスのアルバムが、ベスト盤『クラシック・イエス』だったからだと思います。当時の小遣いではイエスのオリジナル作品まで手が回らず、2000円という廉価(当時LP1枚は2800円もした)でしかもボーナス・シングルまでついていた『クラシック・イエス』を買ったわけです。その中でも印象に残った曲が「スターシップ・トゥルーパー」とライヴの「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」。特に後者は格好良く、最後にジョン・アンダーソンがメンバー紹介をし(「リチャード・ウェイクマン」「クリストファー・スクワイア」と丁寧な紹介)、それに合わせてメンバーがそれぞれの楽器をかき鳴らす箇所も大好きでした。

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