1979年の日本ツアーの音源 『EUROPEAN SON』 [ジャパン]
1979年初来日時のジャパンは、日本以外では無名だったもののいきなりの武道館公演であり、しかも追加公演まではいっている。この追加公演となった3月5日の武道館が、彼らの日本で初めてのステージだった。
『ミュージック・ライフ』の増刊号からとった写真をジャケットにしたCD『EUROPIAN SON』には、3月5日の武道館公演の10曲が収録されている。「いきなりの武道館で、ジャパンのメンバーはみなテンパってた」という話を聴いたことがあるが、そういう感じには聞こえない。音も意外に良くて、ちょっとビックリ。聴きモノはその頃まだ未発表曲だった「ヨーロピアン・サン」で、リリースされたエレ・ポップ的なヴァージョンとは異なり、なかなかパンキッシュな演奏。デヴィッド・シルヴィアンは「ニュー・シングル」と紹介しているが、ニュー・シングルは「ライフ・イン・トウキョウ」になる。 「郊外ベルリン」のイントロに、ピアノだけをバックにした1分少々の短いバラードがついているが、後のデヴィッド・シルヴィアンのソロ曲を感じさせる。
残りの4曲のうち「孤独な安らぎ」「ヨーロピアン・サン」はNHKのテレビに出演したときの音源で、「ヨーロピアン・サン」の間奏部分におけるミックとリチャードのプレイがなかなかクール。
残り2曲「セカンド・ザット・エモーション」と「クワイエット・ライフ」は、翌1980年3月の来日時のNHKテレビ音源。当時のテレビ録りとしてはかなりの高音で、熱心なファンが苦労して録音したものと思われる。
『ミュージック・ライフ』の増刊号からとった写真をジャケットにしたCD『EUROPIAN SON』には、3月5日の武道館公演の10曲が収録されている。「いきなりの武道館で、ジャパンのメンバーはみなテンパってた」という話を聴いたことがあるが、そういう感じには聞こえない。音も意外に良くて、ちょっとビックリ。聴きモノはその頃まだ未発表曲だった「ヨーロピアン・サン」で、リリースされたエレ・ポップ的なヴァージョンとは異なり、なかなかパンキッシュな演奏。デヴィッド・シルヴィアンは「ニュー・シングル」と紹介しているが、ニュー・シングルは「ライフ・イン・トウキョウ」になる。 「郊外ベルリン」のイントロに、ピアノだけをバックにした1分少々の短いバラードがついているが、後のデヴィッド・シルヴィアンのソロ曲を感じさせる。
残りの4曲のうち「孤独な安らぎ」「ヨーロピアン・サン」はNHKのテレビに出演したときの音源で、「ヨーロピアン・サン」の間奏部分におけるミックとリチャードのプレイがなかなかクール。
残り2曲「セカンド・ザット・エモーション」と「クワイエット・ライフ」は、翌1980年3月の来日時のNHKテレビ音源。当時のテレビ録りとしてはかなりの高音で、熱心なファンが苦労して録音したものと思われる。
BOYS KEEP SWINGING / JAPAN 1981 7th Feb. [ジャパン]
最近はブートレッグもアマゾンやタワーレコード、HMVなどで流通していて、しかも日本盤仕様と銘打って著名な音楽ライターによるライナーノートまで付属していてちょっと驚く。 90年代にはイタリア製ハーフオフィシャル盤に日本製の帯をつけて駅の売店やカメラ屋でワゴンに入れて売られていた「キオスクCD」の時代とは隔世の感がある。
昨年2020年に1982年の武道館公演(元ネタはNHK-FMで放送されたもの)がリリースされたが、今年は1981年のBBC音源がリリースされた。『BOYS KEEP SWINGING』というタイトルで、1981年2月7日、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴが収録されている。もちろんCD-R系のブートではおなじみの音源ではあるが、プレス盤となればついつい食指が動く。最近タワーレコードやアマゾンでも取り扱っている「Alive The Live」というシリーズにも、両音源ともに含まれている模様。[https://tower.jp/site/label/alivethelive]
『孤独な影』(1980年10月)のリリース直後で、さらには日本ツアーの一週間前ということでメンバーも気合がはいっていたのか、なかなかよいステージだと思う(81年モノでは『錻力の太鼓』リリース後の同年12月に行われた「Visions of China Tour」がセットリスト的にはベストだと思うが)。アレンジが異なる「ヨーロピアン・サン」はなかなかクール。音源が残っている1979年来日時の「ヨーロピアン・サン」と比べると、その変化に驚かされる。実際のセットリスト[https://www.setlist.fm/setlist/japan/1981/hammersmith-odeon-london-england-63cf6e2b.html]をみてみると、「苦悩の旋律」「孤独な安らぎ」、それにアンコール・ナンバーは収録されていないが、Discogsのトランスクリプション・ディスクをみると、オンエアされた曲はすべて収録されている模様[https://www.discogs.com/ja/release/5486490-Japan-In-Concert-249]。
昨年2020年に1982年の武道館公演(元ネタはNHK-FMで放送されたもの)がリリースされたが、今年は1981年のBBC音源がリリースされた。『BOYS KEEP SWINGING』というタイトルで、1981年2月7日、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴが収録されている。もちろんCD-R系のブートではおなじみの音源ではあるが、プレス盤となればついつい食指が動く。最近タワーレコードやアマゾンでも取り扱っている「Alive The Live」というシリーズにも、両音源ともに含まれている模様。[https://tower.jp/site/label/alivethelive]
『孤独な影』(1980年10月)のリリース直後で、さらには日本ツアーの一週間前ということでメンバーも気合がはいっていたのか、なかなかよいステージだと思う(81年モノでは『錻力の太鼓』リリース後の同年12月に行われた「Visions of China Tour」がセットリスト的にはベストだと思うが)。アレンジが異なる「ヨーロピアン・サン」はなかなかクール。音源が残っている1979年来日時の「ヨーロピアン・サン」と比べると、その変化に驚かされる。実際のセットリスト[https://www.setlist.fm/setlist/japan/1981/hammersmith-odeon-london-england-63cf6e2b.html]をみてみると、「苦悩の旋律」「孤独な安らぎ」、それにアンコール・ナンバーは収録されていないが、Discogsのトランスクリプション・ディスクをみると、オンエアされた曲はすべて収録されている模様[https://www.discogs.com/ja/release/5486490-Japan-In-Concert-249]。
LIFE IN TOKYO / JAPAN [ジャパン]
1979年3月の初来日公演終了後、JAPAN一行はイギリスに戻らずにそのままアメリカに渡っている。日本滞在中の経験を歌った新曲「ライフ・イン・トウキョウ」のレコーディングのためだが、この曲のプロデュースと共作はジョルジオ・モロダー。今でこそ超大物プロデューサーのモロダーだが、79年の時点だと思いつくのはドナ・サマーの「アイ・フィール・ラヴ」(ジミー・ソマーヴィルがマーク・アーモンドとのデュエットでカヴァーした)くらい。「Wish you were black」と歌い、後にスモーキー・ロビンソンやマーヴィン・ゲイの曲をカヴァーするほどブラック・ミュージック・フリークの彼ら、「エレポップ・ブラック・ミュージック」を演りたかったのだろうが、後のモロダーの活躍を思うと、先見の明ありといったところか。シンセにはオリエンタル指向も感じられ、バンドの転機ともなったシングルと言ってよい。
この曲は次のアルバム『クワイエット・ライフ』には未収であったが、翌80年にメジャーのヴァージンからリリースされた4枚目『孤独な影』が好評だったことなどから、ハンザは2度にわたって再発した。再発のたびにリミックスされ、当時流行だった12インチヴァージョンもつくられたことからヴァージョン違いが多く、マニア泣かせの曲でもある。以前あった「Assembrage」という海外のJAPANファンサイトでは、”「ライフ・イン・トウキョウ」には11のヴァージョンがある”と紹介されていた。
日本盤2枚組CD『シングルズ』には8種の「ライフ・イン・トウキョウ」が収録されており、同曲のヴァージョン違いを確認する基本アイテムである。これに収録されているヴァージョンは以下の通り。
①ショート・ヴァージョン 3:31
②パート2 3:17
③ニュー・エデイット 3:31
④スペシャル・リミックス 4:03
⑤テーマ 3:55
⑥12" エクステンディッド・リミックス 7:08
⑦エクステンディッド・リミックス 7:05
⑧12" テーマ 3:55
①が1979年にリリースされたオリジナルの7インチで、ビクター音楽産業から発売された7インチ(VIP-2745)はこのヴァージョン。②はそのB面。③はDISC1の11曲目だが、ライナー等には「ニュー・エデイット」という表記はなく、正直①「ショート・ヴァージョン」との違いは分からない。iTunesに読ませると「NEW EDIT」というクレジットが出てくるが、おそらくは80年にリリースされた再発盤に使われたヴァージョンだと思う。④は81年の再発盤。新しくベースとシンセがミックスされており、①③との違いはっきりとわかる。ということで、基本となるヴァージョンは①と④としてよいと思う。
ショート・ヴァージョン
では12インチ・シングル・ヴァージョンはどうだろう。日本語版Wikipediaの「ライフ・イン・トウキョウ」のページには、79年の「Long version」(AHAD 540)・81年の「Extended Version」(HANSA 12-4)・82年の「Extended Remix」(HANSA 12-17)の3つのヴァージョンが紹介されている。『シングルズ』にはこのうち「Long version」と「Extended Remix」の2つが収録されており、Wikipediaの「Long version」が『シングルズ』の「12" エクステンディッド・リミックス」に相当する。『シングルズ』では、①のロング・ヴァージョンが⑥で、④のロング・ヴァージョンが⑦に相当する。
12" エクステンディッド・リミックス
『シングルズ』収録以外のヴァージョン(つまり「シングル・リリースではない」ヴァージョン)としては、日本盤『アセンブラージュ』に収録された6分19秒の「アセンブラージュ・ヴァージョン」があり、このヴァージョンが収録されているのは以下のアイテム。
・日本盤アナログ『アセンブラージュ』
・イギリスカセットテープ版『アセンブラージュ』
・イギリス盤CD『In Vogue』
・イギリス盤CD『THE COLLECTION』
ただし『In Vogue』収録のヴァージョンは、マスタリングのエラーでモノラルになっている。この『In Vogue』、「ヨーロピアン・サン」は本来右チャンネルから聞こえるべきシンセのフレーズがまったく聞こえなくて、もっとひどい。数多いJAPANのコンピは、『THE COLLECTION』がいちばんよいと思う。なお『SOUVENIR FROM JAPAN』というアリオラ・ハンザ時代のコンピレーションには、4分02秒の「ライフ・イン・トウキョウ」が収録されているが、これは「アセンブラージュ・ヴァージョン」のエデイットだと思われる。
Life in Tokyo - Japan ("Assemblage" cassette only Special Remix)
この曲は次のアルバム『クワイエット・ライフ』には未収であったが、翌80年にメジャーのヴァージンからリリースされた4枚目『孤独な影』が好評だったことなどから、ハンザは2度にわたって再発した。再発のたびにリミックスされ、当時流行だった12インチヴァージョンもつくられたことからヴァージョン違いが多く、マニア泣かせの曲でもある。以前あった「Assembrage」という海外のJAPANファンサイトでは、”「ライフ・イン・トウキョウ」には11のヴァージョンがある”と紹介されていた。
日本盤2枚組CD『シングルズ』には8種の「ライフ・イン・トウキョウ」が収録されており、同曲のヴァージョン違いを確認する基本アイテムである。これに収録されているヴァージョンは以下の通り。
①ショート・ヴァージョン 3:31
②パート2 3:17
③ニュー・エデイット 3:31
④スペシャル・リミックス 4:03
⑤テーマ 3:55
⑥12" エクステンディッド・リミックス 7:08
⑦エクステンディッド・リミックス 7:05
⑧12" テーマ 3:55
①が1979年にリリースされたオリジナルの7インチで、ビクター音楽産業から発売された7インチ(VIP-2745)はこのヴァージョン。②はそのB面。③はDISC1の11曲目だが、ライナー等には「ニュー・エデイット」という表記はなく、正直①「ショート・ヴァージョン」との違いは分からない。iTunesに読ませると「NEW EDIT」というクレジットが出てくるが、おそらくは80年にリリースされた再発盤に使われたヴァージョンだと思う。④は81年の再発盤。新しくベースとシンセがミックスされており、①③との違いはっきりとわかる。ということで、基本となるヴァージョンは①と④としてよいと思う。
ショート・ヴァージョン
では12インチ・シングル・ヴァージョンはどうだろう。日本語版Wikipediaの「ライフ・イン・トウキョウ」のページには、79年の「Long version」(AHAD 540)・81年の「Extended Version」(HANSA 12-4)・82年の「Extended Remix」(HANSA 12-17)の3つのヴァージョンが紹介されている。『シングルズ』にはこのうち「Long version」と「Extended Remix」の2つが収録されており、Wikipediaの「Long version」が『シングルズ』の「12" エクステンディッド・リミックス」に相当する。『シングルズ』では、①のロング・ヴァージョンが⑥で、④のロング・ヴァージョンが⑦に相当する。
12" エクステンディッド・リミックス
『シングルズ』収録以外のヴァージョン(つまり「シングル・リリースではない」ヴァージョン)としては、日本盤『アセンブラージュ』に収録された6分19秒の「アセンブラージュ・ヴァージョン」があり、このヴァージョンが収録されているのは以下のアイテム。
・日本盤アナログ『アセンブラージュ』
・イギリスカセットテープ版『アセンブラージュ』
・イギリス盤CD『In Vogue』
・イギリス盤CD『THE COLLECTION』
ただし『In Vogue』収録のヴァージョンは、マスタリングのエラーでモノラルになっている。この『In Vogue』、「ヨーロピアン・サン」は本来右チャンネルから聞こえるべきシンセのフレーズがまったく聞こえなくて、もっとひどい。数多いJAPANのコンピは、『THE COLLECTION』がいちばんよいと思う。なお『SOUVENIR FROM JAPAN』というアリオラ・ハンザ時代のコンピレーションには、4分02秒の「ライフ・イン・トウキョウ」が収録されているが、これは「アセンブラージュ・ヴァージョン」のエデイットだと思われる。
Life in Tokyo - Japan ("Assemblage" cassette only Special Remix)
1982年12月8日 日本武道館公演 [ジャパン]
1982年に日本での解散ツアーを行ったJAPANは、東京で4回のライヴを行った。その4回のうち、12月8日が唯一の武道館公演である(9日・10日 中野サンプラザ、12日 東京厚生年金会館)。この日は土屋昌巳・矢野顕子・坂本龍一・高橋幸宏の4人がサポートメンバーとして参加しており、「Bamboo Music」では矢野顕子の、 「Taking Islands In Africa」では高橋幸宏のヴォーカルをそれぞれ聴くことが出来る。NHKがFMで放送したことから、高音質の優良SB音源が多数出回っており、ほぼ同時期(11月のロンドン)のステージを収録したオフィシャル・ライヴ盤『オイル・オン・キャンヴァス』と聴き比べても面白い(『オイル・オン・キャンヴァス』には土屋昌巳も参加している)。一番音質がいいのは、『BUDOKAN 1982』だろう。かなり良好なテープが元ソースだと思われる。これはDJトークがカットされているが、トークがカットされず残っているCD-R盤『JAPAN SPECIAL BUDOKAN 1982』(『NAKANO SUNPLAZA 1982 1ST NIGHT』Wardour-382のギフトCDR)も優良な音源。
Disc 1
01. Burning Bridges ★
02. Sons Of Pioneers
03. Alien ★
04. Gentlemen Take Polaroids
05. Swing
06. Cantonese Boy
07. Visions Of China
08. Nightporter
09. Ghosts
Disc 2
01. Still Life In Mobile Homes
02. Methods Of Dance
03. Quiet Life
04. European Son ★
05. The Art Of Parties
06. David Sylvian Introduction
07. Bamboo Music ★
08. Taking Islands In Africa ★
09. Life In Tokyo ★
10. Canton
11. Good Night ★
『BUDOKAN 1982』メーカーインフォ
https://www.giginjapan.com/japan-82-budokan/
私が最初に買った「1982 武道館」は、『Visions of China』(2C 154)という3枚組のアナログブートで、NHK-FMで放送された坂本龍一の番組「サウンドストリート」に、デヴィッド゙とスティーヴがゲスト出演したときの模様も収録されている[http://www.chokai.ne.jp/mimori/830111.html]。このアナログ起こしCDが『JAPAN in JAPAN』という2枚組のCD。音はそんなに良くないうえ、別に収録時間が足りないわけでもないのに「Ghost」がカットされるという謎の編集。おそらくCD1と2を分けるときに1曲飛ばしてしまったのではないだろうか。今となっては買う価値はまったくないが、ブートCD創成期の雰囲気全開で面白い。ジャケットにレーベル表記はないが、「you」というレーベル名がCDにプリントされており。また裏面中心近くの円周には「Produced In Taiwan」という刻印がある。そもそも、このCDの正式なタイトルは不明である。表ジャケットには「JAPAN in JAPAN」とあるものの、裏ジャケと盤面には「LAST LIVE SHOW」、背中には「Farewell Last Live Show」とある。
Visions of China
Disc 1 Side A 1.Overture 2.Burning Bridges 3.Sons Of Pioneers 4.Alien Side B 1.Gentlemen Take Polaroids 2.Swing 3.Cantonese Boy 4.Visions Of China | DIsc 2 Side A 1.Nightporter 2.Ghosts 3.Still Life In Mobile Homes Side B 1.Methods Of Dance 2.Quiet Life 3.European Son | Disc 3 Side A 1.The Art Of Parties 2.Bamboo Music 3.Taking Islands In Africa 4.Life In Tokyo 5.Canton SIde B 1.Goodnight 2.'Sound Street' Radio Program |
THE WAKING HOUR / DALI'S CAR [ジャパン]
THE WAKING HOUR / DALI'S CAR
01. Dalis Car
02. His Box
03. Cornwall Stone
04. Artemis
05. Create And Melt
06. Moonlife
07. The Judgement Is The Mirror
元JAPANのベーシストのミック・カーン(2011年に52歳で死去)と、元バウハウスのヴォーカリストのピーター・マーフィーの2人が結成したユニット、ダリズ・カーが1988にリリースしたアルバム。商業的にはヒットしなかったが、ミックのグニョグニョと蠢くフレットレス・ベースに、ピーターのヴォーカルが絡んだユニークでオリジナリティに溢れた作品。ダリズ・カーは私が敬愛する二人のアーティストが組んだユニットであり、出てくる音がどんな曲であれ受け入れるつもりであったが、正直期待以上の作品であった。
私が最初にミックのフレットレス・ベースに注目したのは、JAPANの「エイント・ザット・ペキュリアー」で、エスニック寄りのアフロ・ファンクなテイストがとても印象的な曲だった。一方のピーター・マーフィーといえば、「ブルガリアン・ヴォイス」を4ADのアイヴォに紹介したエピソードからも知られるように、「西アジアに近いヨーロッパ」の要素を持っている。トランシルヴァニアの森に棲むドラキュラ。この二人の美学が、(決して混じり合うことはないが)よく感じられる作品だ。バックの演奏はほとんど歌メロを演奏しておらず、ベーシック・トラックにピーターがヴォーカルを被せている感じ。
ジャケットのアートワークは、20世紀前半に活躍したアメリカの挿絵画家・イラストレーターであるマックスフィールド・パリッシュ(1870~1966年)の作品「Daybreak」 (1922)。彼の作品は「パリッシュ・ブルー」とも称される澄んだ独特の青色で知られるが、特に3曲目「Cornwall Stone」から感じられる雰囲気にマッチしているように思われる。
Ain't That Peculiar / JAPAN
ブルガリアン・ヴォイス(4AD)
The Judgement Is The Mirror / DALI'S CAR
ミック・カーンは 2011年1月4日に亡くなるが、彼は自分が癌に冒されていることを死の前年に公表していた。彼は亡くなる直前の2010年秋、ピーターと再度スタジオに入って数曲のレコーディングを行い、それらの曲は彼の死後全5曲のミニ・アルバム『IN GLAD ALONENESS』としてリリースされた。まさにスワン・ソングである。
01. King Cloud
02. Sound Cloud
03. Artemis Rise
04. Subhanallah
05. If You Go Away
ミックスとドラムを元JAPANのスティーヴ・ジャンセンが行っており、彼は「If You Go Away」(シャンソン「行かないで」のカヴァー)のアレンジも担当している。オリエンタルな「Sound Cloud」、『THE WAKING HOUR』に収録されていた「Artemis」のヴォーカル入りヴァージョン「Artemis Rise」など、前作の流れを踏襲した音作り。ラストの「If You Go Away」はミックへのレクイエムのようで、感動的だ。