Jeopardy / The Sound ザ・サウンドのファースト・アルバム [ザ・サウンド]
ザ・サウンドは初期2枚のアルバムをコロヴァからリリースしたこともあり、当時はエコー&ザ・バニーメンと比較されることもあったが、人気はエコバニ遠く及ばなかった。バンド解散後にはフロントマンのエイドリアン・ボーランドが列車に飛び込んで自殺するということもあり、今では「不遇な悲劇のバンド」の文脈で語られることが多い。しかし音楽のクオリティ面ではエコバニに勝るとも劣らず、UKニュー・ウェーヴ/ポスト・パンクの至宝(と僕は思っている)である。
1980年にリリースされたファースト・アルバム『Jeopardy』は、ジョイ・ディヴィジョンからの影響が強く感じられる音づくり。確かにオリジナリティという点では物足りないが、イアン・カーティスに比べるとエモショーナルなエイドリアン・ボーランドのヴォーカルと、緩急織り交ぜた巧みなアレンジとが相まって、デビュー作とは思えない完成度である。2枚目『フロム・ザ・ライオンズ・マウス』、3枚目『オール・フォール・ダウン』といった傑作の布石として、その後の活躍を予感させる秀作。"We will wait for the night , We will wait "という内ジャケに印刷されたフレーズが、しっくりくる。
The sound - I can't escape myself
The Sound - Unwritten Law
Night Versus Day
Jeopardy/from the Lion's Mouth
- アーティスト: Sound
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2014/05/13
- メディア: CD
PROPAGANDA / THE SOUND [ザ・サウンド]
ザ・サウンド『プロパガンダ』
1. No Salvation
2. Deep Breath
3. Cost Of Living
4. Quarter Past Two
5. Night Versus Day
6. Physical World
7. Statik
8. Music Business
9. Propaganda
10. Words Fail Me
11. One More Escape
12. Missiles
ザ・サウンドは80年にレコード・レビューしたイギリスのの4人組で、 メンバーは、 ADRIAN BORLAND(V,G)、COLVIN MAYERS(KEY,G)、GRAHAM BAILEY(B)、MICHAEL DUDLEY(D) (このうちリーダー格のADRIANと、COLVINは故人)。87年の解散までにライヴ゙盤を含めて7枚のアルバムをリリースしたが、中でも2nd『FROM THE LION'S MOUSE』(81年)と3rd 『ALL FALL DOWN』(82年)は高い完成度を誇る秀作アルバム。ADRIANのヴォーカルは80年代のいわゆるポスト・パンク系グループの中でも群を抜いて素晴らしく、一部では高い評価を得ていたものの、地味なルックスのためか日本ではエコバニほどの人気を得ることはできなかった。
『PROPAGANDA』は、1st『JEOPARDY』(80年)より前、79年にレコーディングされていた作品で、 真の1stアルバムともといえる作品。1999年にイギリスのレーベル、RENASCENTからリリースされ、初めて日の目を見た。後に重要な役割を果たすキーボードがほとんど使われておらず、ギターとベースが全面に出ており、疾走感あふれるアグレッシヴな演奏とダークなメロディからは、ジョイ・ディヴィジョンからの影響が強く感じられる。とりわけエイドリアンの叙情的なヴォーカルはすでに輝いており、全体的に荒削りではあるものの、 後の成長を予感させる作品。