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アイドルワイルド / エヴリシング・バット・ザ・ガール [エヴリシング・バット・ザ・ガール]

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Idelwild / Everything But The Girl
 01. Love is Here Where I Live
 02. These Early Days
 03. I Always Was Your Girl
 04. Oxford Street
 05. The Night I Heard Caruso Sing
 06. Goodbye Sunday
 07. Shadow On A Harvest Moon
 08. Blue Moon Rose
 09. Tears All Over Town
 10. Lonesome For A Place I Know
 11. Apron Strings

 夏の夜に聴きたくなるアソシエイツとエヴリシング・バット・ザ・ガール。『アイドルワイルド』は1988年にリリースされたEBTG4枚目のアルバムで、「Blue Moon Rose」などAOR的な雰囲気もあって聴きやすい一枚であり、この作品をフェイヴァリットにあげるファンも多い。前作での大々的なストリングスはなくなった一方、「I Always Was Your Girl」や「Tears All Over Town」など当時ベン・ワットが強い関心を持っていたドラム・マシーンがフィーチャーされている。「Lonesome For A Place I Know」「Apron Strings」など、「爽やかで憂鬱」なEBTG節炸裂の曲もいいが、白眉はピアノをバックにベン・ワットがリード・ヴォーカルをとる「The Night I Heard Caruso Sing」。シンプルながらもロマンティックな佳曲で、ちょっとだけ入るサックスもいいアクセントになっている。



The Night I Heard Caruso Sing



I Always Was Your Girl



Apron Strings


 このアルバムがレコーディングされた時期(1987年)のことをトレイシー・ソーンの自伝『安アパートのディスコクイーン』で拾ってみると、彼女がさまざまに悩みつつあったことが伝わってくる。アルバム4枚目という目に見えない重圧感に加え、ザ・スミスの解散や仲が良かったゴー・ビトウィーンズが故郷のオーストラリアに帰ってしまったこと、それに形骸化していたインディーシーンにも興味を失っていたようだ(フリッパーズ・ギターの「Goodbye, Our Pastels Badges」に影響を与えたと思われる、Talulah Gosh の「The Day She Lost Her Pastels Badge」に言及している)。配給元のWEAとの関係も思わしくなく、バンド側がシングルにしたかった「I Always Was Your Girl」に対し、結局シングルは「These Early Days」になってしまったことなど、会社側の要求に妥協してしまったことへの悔恨も読み取れる。さらにはツアー中に直面した様々なアクシデントなど、このアルバムのリリース前後は良くないことが多かったようだ。

 ところが、そうしたモヤモヤをすべて吹っ飛ばすような事件がおこる。シングル「I Don't Want To Talk About It(もう話したくない)」の大ヒットだ。『アイドルワイルド』の翌年にシングルとしてリリースされたこの曲はナショナル・チャートで3位となり、EBTG初のトップ10ヒットとなった。僕が持っている日本盤CD(VAP 85029-32)には収録されていないが、再発盤の1曲目はこの曲になっていた。当時EBTGは「落ち目」とみなされつつあったようで、トレイシーは『安アパートのディスコクイーン』で、このヒットにまつわる喧騒を面白おかしく振り返っている。


I Don't Want To Talk About It





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BABY, THE STARS SHINE BRIGHT / EVERYTHING BUT THE GIRL [エヴリシング・バット・ザ・ガール]

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 01. Come On Home
 02. Don't Leave Me Behind
 03. A Country Mile
 04. Cross My Heart
 05. Don't Let The Teardrops Rust Your Shining Heart
 06. Careless
 07. Sugar Finney
 08. Come Hell Or High Water
 09. Fighting Talk
 10. Little Hitler


 EBTGの3枚目(1986)はアビイ・ロード・スタジオでレコーディングされ、プロデューサーはマイク・ヘッジズ。しかし実際はメンバーとの共同プロデュースであり、ストリングスのアレンジもすべてベン・ワットがやったとのこと。これまでのジャズ~フォークから、後の打ち込みのドラムンベースまで、彼の音楽的な才能が伝わってくる傑作。アルバムのタイトルは、ゴスロリファッションのブランド名に使われた。

 フル・オーケストラが導入されたことで、1枚目・2枚目に比べると、明るくゴージャスなサウンドになった。20年以上前に何かの雑誌で、「"単なるネオアコの狭い枠を越えて"という物言いが気に入らない、ネオアコとは最初から"狭い枠"なんてものをを打ち壊したあり方だった」という内容の文章を読んだ記憶がある。確か宮子和眞さんが書いたものだったと思うが、「単なるネオアコの狭い枠を越えて」というのは、このEBTGの3枚目のレビューに多く見られたように思う。

 初期EBTG~チェリー・レッドのファンには、「全米トップ40」的な音楽が嫌いな人が多かった。なかでもEBTGは「love not money」~シンプルでピュアという清貧めいたイメージを纏っていたので、ファンの中にはこのアルバムにネガティヴな評価を下す人もいたが、それはトレイシー・ソーン自身が目指したことでもあった。彼女は(ムチャクチャ面白い)自伝『安アパートのディスコ・クイーン』の中でこのアルバムに関して「たとえそれまでのファンたちを失ってしまいかねないような危険を冒してでも、世に蔓延るカテゴリー分けというものを否定して行こうとする気概を持ってもいた」(日本語版214㌻)と述べているが、先に挙げた宮子和眞さんの指摘通りである。頭の固いクリティック野郎どもをぶっ飛ばせ!という、パンクなアティチュード。同書にはこのアルバムの歌詞についても触れられているが、歌詞の内容がダイレクトに伝わらない日本ではこのアルバムに込められた真意は伝わりにくかったと思われる。

 と言いつつ、アルバムから2枚目のシングルとしてカットされた「Don't Leave Me Behind」の限定7インチ2枚組(Blanco Y Negro ‎– NEG 23 F)のカップリングで「Come On Home」のアコースティック・ヴァージョン(CDでは『エッセンス』に収録)をリリースするあたり、迷いも感じられて微笑ましい。このアルバムの収録曲を聴いたジェフ・トラヴィスの「すごくいいけど、でもちょっとやり過ぎなところがなきにしもあらずなんじゃないだろうか」(同感!オリジナルの英語表記を知りたい!)という言葉が強く印象に残っていたのかもしれない。



Everything But The Girl - Come On Home (Official Music Video)



Everything but the girl - Come on home (acoustic)




 ベスト・トラックは「Cross My Heart」



Everything But The Girl - Cross My Heart




安アパートのディスコクイーン──トレイシー・ソーン自伝 (ele-king books)

安アパートのディスコクイーン──トレイシー・ソーン自伝 (ele-king books)

  • 出版社/メーカー: Pヴァイン
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 単行本
BABY, THE STARS SHINE BRIGHT(SHM-CD)

BABY, THE STARS SHINE BRIGHT(SHM-CD)

  • アーティスト: Everything But The Girl
  • 出版社/メーカー: Cherry Red
  • 発売日: 2018/03/21
  • メディア: CD
エッセンス&レア

エッセンス&レア

  • アーティスト: エヴリシング・バット・ザ・ガール
  • 出版社/メーカー: サブスタンス
  • 発売日: 2002/07/24
  • メディア: CD


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LOVE NOT MONEY / EVERYTHING BUT THE GIRL [エヴリシング・バット・ザ・ガール]

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LOVE NOT MONEY
 01. When All's Well
 02. Ugly Little Dreams
 03. Shoot Me Down
 04. Are You Trying to Be Funny?
 05. Sean
 06. Ballad of the Times
 07. Anytown
 08. This Love (Not For Sale)
 09. Trouble and Strife
 10. Angel
 11. Kid(Bonus Track)
 12. Heaven Help Me(Bonus TRack)

 先頃リマスター盤がリイシューされ、『レココレ』誌でも特集が組まれたEBTGの2枚目(85年)。この作品がリリースされた頃は、ポスト・パンクが「ネオアコ」「ネオサイケ」など新しい展開を見せ始めた頃で、私もFM雑誌を片手に「FMナイトストリート」や「クロスーバーイレブン」を聴いていたものである。その頃私はスタイル・カウンシルの大ファンで、ベン・ワットが彼らのアルバムに参加していたことからEBTGに興味を持ち聴き始めた。
 ベン・ワットは、イアン・ブロウディと同じくらい音楽的引き出しが多い人で、前作はジャズ的な雰囲気が強く、このアルバムでも「This Love (Not For Sale)」などジャズ的雰囲気が強い曲があるが、アルバム全体としてはフォーク・ロック寄り。1曲目「When All's Well」は、ペイル・ファウンテンズの1枚目をゴージャスにしたようなキラめきの名曲で、オープニングからキラー・チューン。ベン・ワットがヴォーカルの「Sean」は、雰囲気はシンプルなのに、プロデュースやアレンジはとても手が込んでいる。この曲をはじめ、洗練さの度合いは前作に比べてずいぶんと上がっており、「オルタナティヴ度」は下がったように感じる。2枚目のシングルとなった「Angel」を持ってきたことは、このアルバムの全体的な雰囲気をダークなものにしているが、ボーナス・トラックとして「愛しのキッズ(Kid)」(プリテンダーズのカヴァー)を収録したことで、アルバム全体の雰囲気が少し変わったように感じる。2012年にはBBC音源などを含む2枚組のデラックス・エディションがリリースされた。





LOVE NOT MONEY(+2)(紙ジャケ仕様/SHM-CD)

LOVE NOT MONEY(+2)(紙ジャケ仕様/SHM-CD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Cherry Red
  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: CD



Love Not Money: Deluxe Edition

Love Not Money: Deluxe Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Edsel Records UK
  • 発売日: 2012/05/29
  • メディア: CD



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EDEN / EVERYTHING BUT THE GIRL [エヴリシング・バット・ザ・ガール]

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『エデン』(VAP 85005-32)
01. Each and Every One
02. Bittersweet
03. Tender Blue
04. Another Bridge
05. The Spice of Life
06. The Dustbowl
07. Crabwalk
08. Even So
09. Frost and Fire
10. Fascination
11. I Must Confess
12. Soft Touch



2016年の夏は暑い。そして、リオデジャネイロ五輪の関係で「イパネマの娘」をよく耳にする。この夏に聴きたくなったのは、トレイシー・ソーン&ベン・ワットの二人からなるデュオ・ユニット、エヴリシング・バット・ザ・ガールの作品。
 この『エデン』は彼&彼女らの1stアルバム(1984年)だが、日本では2枚目の『ラヴ・ノット・マネー』(85年)が先にリリースされていた(まだアナログ盤の時代)。トータル33分でほとんどの曲が2~3分台という短さとも相まって、あっというまに聞き終えてしまうが、暑い夏の夕暮れに吹き抜ける涼しい風を思わせる。ボサノヴァ調のリズムとアコ-スティックなギターに乗った爽やかで優しいメロディ、ちょっとノスタルジックなジャズ・フレイヴァーは、オシャレなカフェバーあたりで流れていても違和感がないが、低い声で歌うトレイシーのヴォーカルには、諦観して醒めたような雰囲気も感じる。ポスト・パンク~ニュー・ウェイヴ勢に共通する憂鬱さ。2012年には「デラックス・エディション」がリリースされた。



Eden

Eden

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros UK
  • 発売日: 1998/11/03
  • メディア: CD



Eden: Deluxe Edition

Eden: Deluxe Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Edsel Records UK
  • 発売日: 2012/05/29
  • メディア: CD



エデン

エデン

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: サブスタンス
  • 発売日: 2002/07/24
  • メディア: CD



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