SSブログ
ニュー・ウェーヴ系 ブログトップ

THE SCREAM / SIOUXSIE & THE BANSHEES [ニュー・ウェーヴ系]

DSCF2984.JPG


 インターネットが普及して有り難いことの一つは、昔見て印象に残っているミュージック・ビデオが好きなときに見ることが出来るということだ。私が中学生の頃には、家庭用ビデオデッキもまだ家にはなかったので、NHKの「ヤング・ミュージック・ショー」やTKUテレビ熊本の「サタデー・ミュージック・スペシャル」を目を凝らして見ていたものである。
 もう一度視たいと思っていて長らく見ることが出来なかったのが、スージー&ザ・バンシーズの「香港庭園」のミュージック・ビデオ。スージー・スーのクールなヴォーカルと激しいギター、そして何より奇妙な彼女の動き。当時中学生だった私には、かなりインパクトが強かったビデオである。




 『THE SCREAM』は、『香港庭園』の邦題で日本盤が78年にリリースされたが(ポリドールMPF1210)、日本盤にはオリジナルUK盤には収録されていない「香港庭園」がA面の1曲目に収録されている。ドイツやカナダ、アメリカ盤でも「香港庭園」がA面トップに収録されている。ただし米盤をはじめ「香港庭園」を収録した外国盤では2曲目がオリジナル1曲目の「Pure」と順次移動しているが、日本盤では「Pure」がB面のラストになっており、スライドではなく入れ替えになっている。
 オリジナルには収録されていないものの、やはり「香港庭園」は名曲。英語版Wikipediaの「香港庭園」の項目には、興味深いエピソードが色々と書かれている。共同プロデューサーとしてクレジットされているのは、後に売れっ子となるスティーヴ・リリーホワイト。当初予定されていたアメリカ人プロデューサーとメンバーのソリが合わず、急遽起用された彼に、「香港庭園」は最初の商業的な成功をもたらした。
 「香港庭園」とは一般名詞ではなく、「Hong Kong Garden」という名の中華料理のテイクアウトのお店 の名前。ロンドン市内のチズルハースト(Chislehurst)にあるというこのお店には、スキンヘッズの連中が訪れてたびたび狼藉を働いており、友人とこの店を利用していたスージー嬢はこれを苦々しく思い、彼らを批判したのがこの曲。とはいえ、♪Slanted eyes meet a new sunrise, A race of bodies small in size, Chicken Chow Mein and Chop Suey, Hong Kong Garden Take-away(吊り目の人たちは新しい朝を迎える、小さな体の人種、チキン入り中華焼きそばとチャプスイ、ホンコンガーデンのテイクアウト)いう歌詞は中国系の人たちを不快にさせたという。日本盤CDの対訳では、take away (イギリス英語のテイクアウト)を名詞ではなく動詞として訳してしまったため、「Hong Kong Garden Take-away」が「ホンコン・ガーデンは食卓をかたづける」という意味不明の日本語になっている。歌詞をトータルで読んでみると、「air-everywhere」「reeds-feeds」「water-daughter」「sunrise-size」と韻を踏んだおもしろいつくりになっている。2006年に公開された映画『マリー・アントワネット』(ソフィア・コッポラ監督)では、この曲のイントロにゴージャスなストリングスが加えられ、仮面舞踏会の印象的なシーンで使用された。


 さて、アルバム全体を聴いてみると、ベスト盤のジャケットにも使われた印象的なメイクのイメージ通りのダークで鋭角的なサウンド。パンクとポスト・パンク~ニュー・ウェイヴの橋渡し的なバンドだったように思う。ノイジーでやや神経症な面も感じられるギターに、クールなヴォーカルが絡む音作りは独特の世界。その典型がビートルズの「ヘルター・スケルター」のカヴァー。イントロを聴いただけではあの曲とはわからない。ハードエッジなんだけど所々でポップ。 「Jigsaw Feeling」ではギターの調子が途中から変わる。重いベースとクールなヴォーカルは、まさしくニューウェーヴ。

 CDでは2005年にデラックス・エディションがリリースされた。ディスク2には色々と興味深い音源が収録されているが、1曲目「Make Up To Break Up」は、古典的なパンクの流れを汲んだオイ!(oi!)で、逆に興味深い。ディスク2収録曲は、金属的なギターが印象的な、パンキッシュな曲が多い。ラフなデモや、ライヴ音源が多いせいかもしれない。

THE SCREAM(『香港庭園』) スージー&ザ・バンシーズ
 【DISC1】
 01. Pure
 02. Jigsaw Feeling
 03. Overground
 04. Carcass
 05. Helter Skelter
 06. Mirage
 07. Metal Postcard (Mittageisen)
 08. Nicotine Stain
 09. Suburban Relapse
 10. Switch
【DISC2】
 01. Make Up To Break Up
 02. Love In A Void(John Peel Session 1)
 03. Mirage(John Peel Session 1)
 04. Metal Postcard(John Peel Session 1)
 05. Suburban Relapse(John Peel Session 1)
 06. Hong Kong Garden(John Peel Session 2)
 07. Overground(John Peel Session 2)
 08. Carcass(John Peel Session 2)
 09. Helter Skelter(John Peel Session 2)
 10. Metal Postcard(Demo)
 11. Suburban Relapse(Demo)
 12. The Staircase (Mystery)(Demo)
 13. Mirage(Demo)
 14. Nicotine Stain(Demo)
 15. Hong Kong Garden(Single A-Sides)
 16. The Staircase (Mystery)(Single A-Sides)


 「香港庭園」以降あまり関心がなかったスジバンに再度興味をもったのは、熊本市下通にあったマツモトレコードで聴いた「ピーカ・ブー」(88年)だった。突っかかるような曲調とアコーディオン、そしてアート・オブ・ノイズみたいな感じもカッコよくて、その場でCDシングルを買って帰った。

Siouxsie and the Banshees - Peek-a-Boo



Siouxsie & The Banshees Peek A Boo Top Of The Pops 28/07/88



Siouxsie and the Banshees - Peek-a-Boo [Club MTV] *1988*



SIOUXSIE - Peak A Boo [Live@London 2004] HQ


輸入盤自体は上通りのウッドペッカーやOh!の方が数も多かったが、マツモトレコードの2階にごく少数置いてあった輸入盤には、意外な掘り出し物があった。輸入盤CDシングルの箱(まさしく箱だった)に入っていたのは、スジバンのほかプリファブ・スプラウトの「キング・オブ・ロックンロール」など。











香港庭園(ホンコン・ガーデン)

香港庭園(ホンコン・ガーデン)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1991/09/05
  • メディア: CD



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽
ニュー・ウェーヴ系 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。