BELOW THE SALT / STEELEYE SPAN [スティーライ・スパン]
1.スポッテッド・カウ
2.ローズバッド・イン・ジューン
3.ジグズ
4.シープクルック・アンド・ブラック・ドッグ
5.ロイヤル・フォレスター
6.キング・ヘンリー
7.ガウデーテ
8.ジョン・バーレイコーン
9.ソウシー・セイラー
バンドの創設者アシュリー・ハッチングスの脱退は、ジェネシスからピーター・ガブリエルが脱退したようなものであったに違いない。だがその危機を乗り越えて制作されたこの4枚目(72年)は、そのようなバンドの事情を感じさせない大傑作である。ここで聴くことの出来るリラックスした演奏を聴くと、アシュリーの求道者然としたストイックさに他のメンバーは窮屈な思いをしていたのではないかという気さえする。有名なチャイルド教授(フェアポートの『リージ&リーフ』の中ジャケでも解説されている)が収集したバラッドの1つ「キング・ヘンリー」から 16世紀の聖歌集『ピエ・カンツィオーネス』 (以前日本でも一部がサントリーウィスキーのCMに使われた) より引用された「ガウデット」、そしてトラフィックでも知られる「ジョン・バーレイコーン(・マスト・ダイ)」の3曲の流れは、秀逸な古楽の解釈と動と静の対比とが相まって素晴らしい出来である。この3曲から、マディ・プライアのクリア・ヴォイスが響き渡るエンディングの「ソウシー・セイラー」を聴いていると、UKトラッドの豊かな世界を実感せざるを得ない。紙ジャケ日本盤(TOCP-67264)のライナーは、データ、的確な評価などとてもよいライナーだと思う。
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