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Mark Hollis  トーク・トークのリーダー、マーク・ホリス唯一のソロ・アルバム [トーク・トーク]

 トーク・トークが1991年に解散した後、リーダーのマーク・ホリスは長い沈黙に入った。彼は2019年に他界したが、この間リリースした唯一のアルバムがセルフ・タイトルの『Mark Hollis』(1997年)。トーク・トークのラスト・アルバム『ラフィング・ストック』をさらにつきつめたような作品で、冬の夜のような静謐かつ凛とした雰囲気を持った作品である。デヴィッド・シルヴィアンとブルー・ナイルを足して、楽器はすべてアコースティックに置き換えた上で、ギリギリまで引き算していったという感じだ。もはや余人には到達できない領域に達した感があり、この後マーク・ホリスが事実上引退したのもむべなるかな。

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 サポート・ミュージシャンとして13名がクレジットされているが、ギターの二人ドミニク・ミラー(スティングやクリス・ボッティのバック)と ロビー・マッキントッシュ(トーク・トークのほか、ティアーズ・フォー・フィアーズやプリテンダーズ、ポール・マッカートニーのバック)は割とロック寄り。『ラフィング・ストック』には弦楽器のミュージシャンが多数参加していたが、本作では管楽器のプレイヤーが8名クレジットされているのが目をひく。クレジットされているミュージシャンのうち、Mark Feltham(ハーモニカ:ザ・ザやライトニン・シーズ、オアシスなどのアルバムに参加)、Martin Ditcham(パーカッション:EBTGやビューティフル・サウス、ウォーターボーイズなどのアルバムに参加)、 Henry Lowther (トランペット:バズコックスやバリー・アダムソン、ビル・ドラモンド、ブライアン・フェリーなどのアルバムに参加)の3名は『ラフィング・ストック』にも参加していた。



 本作の後、マーク・ホリスが参加した曲が公式には4曲リリースされている。まずはマークが一人でピアノを弾いている曲で、その名も「Piano」。これはDave Allinson & Phil Brownによる.『AV1』(1998年)というアルバムに収録されているが、マークはなぜか「John Cope」という変名でクレジットされている。2001年にひっそりとリリースされたトーク・トークの『Missing Pieces』に収録された。残り3曲はノルウェーのミュージシャン、アンニャ・ガルバレクのアルバム『Smiling & Waving』に収録されており、マークはこのアルバムのうちの3曲「The Gown」「Big Mouth」「The Diver」にプロデューサー、アレンジャーとしてクレジットされている。このうち「The Gown」ではベース、メロディカ、ピアノで演奏にも参加している(この「The Gown」には、マークのソロにも参加していたMartin Ditchamと、元JAPANのスティーヴ・ジャンセンもクレジットされている)。そのほか、彼がトーク・トークを結成する前、1979年にレコーディングしたとされる「CRYING IN THE RAIN」という曲の存在も知られている。

Anja Garbarek-The Gown

Mark Hollis - Crying In The Rain

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IT'S MY LIFE / TALK TALK [トーク・トーク]

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 ロンドン生まれのマーク・ホリス(2019年に64歳で逝去 https://www.udiscovermusic.jp/news/mark-hollis-talk-talk-dead-64 )がリーダーだったバンド、トーク・トークは1991年に解散するまでの10年間に5枚のアルバムを残しているが、その音楽的変化は興味深い。ファースト・アルバム『The Party'S Over』(82年)がリリースされたのは1982年7月で、ちょうどこのときに全米チャートでトップに立ったのが、ヒューマン・リーグの「愛の残り火」[https://www.billboard.com/charts/hot-100/1982-07-03]。いわゆる「第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン」[https://tinyurl.com/yzqqawku]の時期だったことから、『The Party'S Over』は、当時流行した典型的なエレ・ポップ作品だった。しかしエレ・ポップ路線はセカンド・アルバム『イッツ・マイ・ライフ』(84年)までで、3枚目の『カラー・オブ・スプリング』(86年)からは生楽器主体のサウンドとなり、デヴィッド・シルヴィアンのソロやブルー・ナイルを思わせる作風へと変化していく。

 一般にはマーク・ホリスの美意識に裏打ちされ深遠な音作りとなった3~5枚目の評価が高いが、転機となったのは2枚目のアルバム『イッツ・マイ・ライフ』である(2020年になって紫色のアナログ盤がリリースされた)。1枚目同様ダンサブルなエレ・ポップ・サウンドながら、陰りを帯びた流麗で叙情的なメロディー主体の音作りとなり、アルバムからは「It's My Life」「Such a Shame」「Dum Dum Girl」と3枚のシングルがカットされた。サウンド的進化の原動力となったのが、解散までマーク・ホリスを支え、「第4のメンバー」とも言われたティム・フリーズ・グリーンの参加である。ティムはトーマス・ドルビー『The Golden Age of Wireless』や(4ADの方の)ラッシュ、そしてノーランズやサヴァ・サヴァといったアイドルまでを手掛けてきたプロデューサーだが、トーク・トークではプロデュースだけでなく曲作りにも加わるようになった。またクレジットにはないが、「The Last Time」でのベースは、元オリジナル・ミラーズ~GTR~マイク・オールドフィールド・バンドの腕利きベーシスト、フィル・スポルディング。フィル自身による証言が彼のウェブサイトに掲載されているが、大変面白い。[http://www.philspalding.com/music-and-mayhem/story/talk-talk-its-my-life]



Talk Talk - It's My Life ( Official Video)



Talk Talk - Such A Shame (Official Video)



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ティム・フリーズ・グリーンが手掛けた作品。トーマス・ドルビーとラッシュはともかく、「サヴァ・サヴァとブライアン・ケネディ」という組み合わせがエグい。北アイルランド出身のブライアン・ケネディのデビュー作『翳りゆくブルー』は、トラッド/フォークの名盤。


 私がトーク・トークのファンになったのは、湯川れい子さんの「全米トップ40」で「It's My Life」を聴いたのがきっかけ。流れるようなシンセと深みのあるヴォーカル、そして堅実なベースプレイは他のエレ・ポップ・バンドと一線を画していた。本国イギリスでは46位止まりだったもののアメリカではヒットして、ナショナル・チャートで31位、ダンス・クラブ・チャートでは1位になっている[https://www.billboard.com/music/talk-talk/chart-history/DSI/song/62681] 。そのため1985年に英国で再リリースされたがヒットせず、93位止まりであった。しかし、1990年にコンピレーションアルバム『Natural History:The Very Best of TalkTalk』のプロモーションのために再々リリースされ、この時には13位と本国での最大ヒットを記録した。

 

Talk Talk - It's My Life (Live at Montreux 1986)



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 1990年に再発された「It's My Life」(CDR6254)、「Life's What You Make It」(CDR 6264)、「Such a Shame」(CDR6276)の3枚のCDシングルにはそれぞれ2曲(合計6曲)のライヴ・テイクが収録されている。これら6曲のうち、「It's My Life」に収録されている「Renée」「It's My Life」、「Life's What You Make It」に収録されている「Tomorrow Started」「Life's What You Make It」の4曲は『LONDON 86』(PLV001CD、1998)に収録されたが、「Such a Shame」に収録されている「Talk Talk 」「Dum Dum Girl 」のライヴ・テイクは残念ながら収録されていない。なお「Tomorrow Started」「Life's What You Make It」の2曲は、『Natural History:The Very Best of TalkTalk』のCD版にもボーナス・トラックとして収録されている。これらのライヴ・テイクが収録された時(86年5月8日:ロンドンのハマースミス・オデオン)のステージには、ロブ・ディーン脱退後のJAPANやピーター・ガブリエルのバンドで活躍したデヴィッド・ローズ(『カラー・オブ・スプリング』にも参加)が、サポート・ギタリストとして参加している。元ストック、エイトキン&ウォーターマンのPWLに在籍したGary Miller(ドナ・サマーやデヴィッド・ボウイなどを手掛けた)がリミックスした「Such a Shame」のハウス・ミックス(「Such a Shame」のCDシングルに収録)はあまりいいとは思わない。




Dum Dum Girl [Take 1 (trousers one)] - Talk Talk (HD/HQ)



Dum Dum Girl [Take 2] - Talk Talk (HD/HQ)

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 2003年にはLiquid People(Conan Manchester & Dan Smith)によるリミックスがリリースされた。、原曲のよさを生かしつつも、リズムが強調され、よりダンサブルに仕上がっている。CDはエンハンスト仕様で、オリジナルビデオに曲を被せたビデオが収録されている。



Liquid People vs Talk Talk - It's My Life [Official Music Video]




It's My Life

It's My Life

  • アーティスト: Talk Talk
  • 出版社/メーカー: Capitol
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD
It's My Life -Coloured- [Analog]

It's My Life -Coloured- [Analog]

  • アーティスト: Talk Talk
  • 出版社/メーカー: Plg
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: LP Record


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