BERT AND JOHN / BERT JANSCH & JOHN RENBOURN [ペンタングル]
BERT AND JOHN / BERT JANSCH & JOHN RENBOURN
01.East Wind
02.Piano Tune
03.Goodbye Pork Pie Hat
04.Soho
05.Tic-Tocative
06.Orlando
07.Red's Favorite
08.No Exit
09.Along The Way
10.The Time Has Come
11.Stepping Stones
12.After The Dance
ペンタングルのギタリスト二人によるデュオ・アルバム(66年)。バート&ジョン名義としては唯一の作品。ともにフォーク系ながら、ブルース寄りのバートとトラッド寄りのジョン。暗く陰鬱な、いかにも英国的なメロディーラインと雰囲気の中で聴かせる、二人の「息の合ったせめぎ合い」が心地よい。このユニットがペンタングルへと発展していくのは確かだが、リズム・セクションを一切排したギター演奏だけのインストがほとんどであるため、ペンタングルとの音楽的共通性はあまり感じられない。ヴォーカル入りの2曲を除いて、ほとんどがオリジナル曲で、「ギターだけの演奏で勝負する収録時間の短い作品」ということもあり地味な印象を受けるが、ブリティッシュ・フォークの名盤。
ヴォーカルが入っているのはバート作の「Soho」とアン・ブリッグスの「The Time Has Come」(オリジナルは『森の妖精』に収録)の2曲。のちにペンタングルでも取り上げる、チャールズ・ミンガスの「グッバイ・ポーク・パイ・ハット」を取り上げているのも興味深い。ペンタングル版はアルバム『スウィート・チャイルド』(68年)で聴くことができるが、この曲はジェフ・ベック(『ワイアード』)やジョニ・ミッチェル(『ミンガス』)も取り上げている。
『レコード・コレクターズ』2004年9月号(ブリティッシュ・フォーク/トラッド特集)の表紙にも使われたこのジャケット写真、レココレ誌の表紙解説にもあるように、二人は確かに囲碁を打っている。なにゆえ囲碁なのだろう?
MOONSHINE / BERT JANSCH [ペンタングル]
『ムーンシャイン』バート・ヤンシュ
1.ヤーロー
2.ブロート・ウィズ・ザ・レイン
3.1月の男
4.ナイト・タイム・ブルース
5.ムーンシャイン
6.愛は面影の中に
7.ランブルアウェイ
8.トゥー・コルビーズ
9.オー・マイ・ファーザー
73年にリリースされた、バート・ヤンシュのソロ第7作。彼のソロ作品から1枚選べと言われたら、僕はこの作品をあげる。彼にしては珍しく、繊細で耽美的、そして沈着な印象を感じさせる作品で、彼の持ち味でもあるラフな印象が薄いという点では異色といえるかもしれません。
チャイルド・バラッドの1・8、ブルース・ハープが冴えるブルース風味のトラッド曲2や4、繊細なアレンジの3など、どれをとっても聞き所が多い作品ですが、白眉はアーサー王伝説をテーマにした表題曲。彼のオリジナルであるこの曲は、繊細で陰影に富んだ名曲。彼の抑えたヴォーカルも実に味わい深い。素晴らしいエレキ・ギター(弾いているのはバートではなく、元アイソトープのギタリストで先頃来日したゲイリー・ボイル)をバックに歌われる、力強いブルース・ナンバーの9もいい。
プロデューサーはペンタングル時代の僚友ダニー・トンプソン(2・4・5・7にベースでも参加)、その他トニー・ヴィスコンティやデイヴ・マタックスも参加。6での女性ヴォーカルは、当時ヴィスコンティ夫人だったメアリー・ホプキン。
THE LADY AND THE UNICORN / JOHN REBOURN [ペンタングル]
1.Medley: A) Trotto/B) Saltarello
2.Medley: A) Lamento Di Tristan/B) La Rotta
3.Medley: A) Veri Floris/B) Triple Ballade
4.Medley: A) Bransle Gay/B) Bransle de Bourgogne
5.Medley: A) Alman/B) Melancholy Galliard
6.Sarabande
7.Lady and the Unicorn
8.Medley: A) My Johnny Was a Shoemaker/B) Westron Wynde/C) Scarborough Fa
9.My Johnny Was a Shoemaker [Vocal Version][*]
10.Three Dances (Medley): A) Brentzel Gay/B) La Rotta/C) The Earle of Sali
ペンタングルのギタリストであるジョン・レンボーンが古楽に挑戦した作品(70年)。ペンタングルに見られるように、彼の音楽にはヨーロッパ的な要素とアメリカ的な要素が混在しているが、これはヨーロッパの伝統的な雰囲気を全面に出した大傑作。取り上げられているのはいずれも中世音楽の世界ではよく知られた曲で、「サルタレロ」は、80年代に一世を風靡した4ADのデッド・カン・ダンス(ヴォーカルのリサ・ジェラルドは、NHK大河ドラマ『龍馬伝』のテーマ曲を担当した)も取り上げていた曲。古楽器を使ったオリジナルに近い演奏を聴きたければ、以前日本でも出ていた(VDC-1377)、クリスティアン・マンドーズ指揮・ムジカ・アンティクワ古楽器アンサンブル『13~17世紀の舞曲集』に、前述の「サルタレロ」や「トロット」、「トリスタンの嘆き~ロッタ」のメドレー、「ブルゴーニュのブランヌ」などが収められているので、聴き較べても面白い。「スカボロー・フェア」はサイモン&ガーファンクルで知られている曲。
PENTANGLE / PENTANGLE [ペンタングル]
1. レット・ノー・マン・スティール・ユア・タイム
2. ベルズ
3. ヒア・マイ・コール
4. ペンタングリング
5. ミラージュ
6. ウェイ・ビハインド・ザ・サン
7. ブルートン・タウン
8. ワルツ
ペンタングルのデビュー・アルバム(68年)。プロデューサーは、キンクスやザ・フーを手がけたシェル・タルミーです。これだけ個性の強いミュージシャンが集まれば、方向性も難しいように思いますが、ブルース~フォーク色を強く打ち出した音づくりは大成功と言えるでしょう。
ジョン・レンボーンとバト・ヤンシュという2人の名手によるギターのせめぎ合い、それを支えるエネルギッシュなリズム・セクション。「楽しくリラックスした演奏」という感じではないですね。ジャス色も強いぶん、同類で語られるフェアポート・コンヴェンションよりも、リスナーも対峙しなくてはならない感じです。これらの演奏をバックに響き渡るクリアなヴォーカルがまたすばらしい!
2005年にリイシューされたときには、
・ コアン(Alternate Version)
・ ザ・ホイール(Alternate Version)
・ ザ・カスバ(Alternate Version)
・ ブルートン・タウン(Edit1/5/3)
・ ヒア・マイ・コール(Alternate Version)
・ ウェイ・ビハインド・ザ・サン(Alternate Version)
・ ウェイ・ビハインド・ザ・サン(Instrumental)
の7曲がボーナストラックとして収録され、2010年のリイシュー盤には、ボックスに収録されていた「ポイズン」「トラヴェリング・ソング」「コアン」 の3曲がさらに加わり合計18曲の収録となっています。