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VEGAS ヴェガス テリー・ホール&デイヴ・スチュワート [テリー・ホール]

 20年ほど前、熊本市の子飼橋通り(新屋敷)に「Colourfield (カラーフィールド)」というレコード・CDショップがあった。イッツ・イマテリアルのインディー時代の7インチとか結構なレア・アイテムが置いてあり、聴かなくなったレコード・CDの買い取りをしていただいたこともあった。店名の通り店長のAさんはテリー・ホールのファンで(でもショップオリジナルのプラ袋は、ドリーム・アカデミーがモチーフだった)、テリー関連のアイテムは大変充実していた。Aさんから「コレいいですよ~」と勧められたのが、ヴェガス。テリー・ホールがデイヴ・スチュワート(元ユーリズミックス)と組んだユニットである。

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 ヴォーカリストとしてのテリー・ホールの魅力は、独特な陰影にある。スペシャルズ時代のダンサブルなナンバーでも、ちょっとペシミスティックな雰囲気を漂わせる彼のヴォーカルは、モノクロームのイメージと相まって不思議な魅力を持っていた。今回の相棒であるデイヴ・スチュワートは、ツーリスト~ユーリズミックスでもわかるようにヴォーカリストの魅力を引き出すことがとても巧い人だ。ユーリズミック同様エレクトロニクスを多用したサウンド・プロダクションではあるものの、アニー・レノックスの突き抜けるような感じとは異なり、流れるようなテリーの魅力を遺憾なく引き出している。シングル・カットされた「シー」(シャルル・アズナブールのカヴァーで、カラーフィールド時代にもカヴァーしている)以外はテリーとデイヴの共作で、カラーフィールドで開花したテリーのソングライターとしての才能も見逃せない。ヴェガスは1992年に唯一のアルバムを発表して自然消滅....と思われたが、97年に一時的に再結成?した。厳密には再結成ではなく「テリー・ホール&デイヴ・ステュアート」としての活動だったが、97年のボブ・ディランの日本ツアーの際、オープニング・アクトとして日本公演を行っている。 テリー&デイヴはディランの日本ツアー「NEVER ENDING TOUR 1997」の11公演のうち東京3days(東京国際フォーラム)に参加したそうだが、その時のコレクターズ音源をいくつか聞いてみたもののテリ-&デイヴのステージを収録した音源にはお目にかかったことがない。トーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」のカヴァーなどを披露したそうで、ディランもさることながらヴェガスのステージをみることができた人たちは本当にラッキーだったと思う。あまりファン層は重ならないと思うが、テリー&デイヴのステージがコレクターズ音源に残っていないのはそのせいか。

Terry Hall & Dave Stewart aka Vegas performing Psycho Killer live


Vegas (Dave Stewart and Terry Hall) – She


The Colourfield - She (Official Music Video)




Vegas

Vegas

  • アーティスト: Vegas
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 1992/10/08
  • メディア: CD



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The Imagined Village [トラッド/ フォーク系]

 サイモン・エマーソン(サイモン・ブース:ウィークエンド~ワーキングウィーク~アフロ・ケルト・サウンド・システム:2023年に死去)がスタートさせたプロジェクトであるイマジンド・ヴィレッジは、英国フォークをベースに多様な文化を取り入れ、さらに現代的に再構築して演奏するプロジェクト。英国フォークにラップやインド・ルーツの音楽も取り入れ、さらにシンセや打ち込みなどエレ・ポップの要素まで含んでいる。2004年にスタートしたこのプロジェクトは、現在まで3枚のアルバムをリリースしているが、2007年にピーター・ゲイブリエルのリアル・ワールドからリリースされたファースト・アルバム『The Imagined Village』は、このプロジェクトの魅力を最もよく伝える作品だと思う。

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 オープニングは定番トラッドで、スティーヴ・ウィンウッドのトラフィックで有名な「John Barleycorn」。オリジナルのCDでは2曲目らしいが、私が持っているCDではこの曲から始まる。重鎮マーティン・カーシーとイライザ・カーシー父子の共演で、さらにヴォーカルとギターがポール・ウェラー(彼の参加はこの曲のみ)という驚天動地のヴァージョン。アレンジは正統ながら、演奏にはハーディー・ガーディにシンセまで加わるという面白さ。リアル・ワールド・レコードのスタジオ・ライヴでは、ポール・ウェラーのパートをビリー・ブラッグが歌っている。

The Imagined Village John Barleycorn


The Imagined Village - John Barleycorn (Live at Real World Studios)

ビリー・ブラッグがトラッド・フォークに言及している記事(2021年)
 https://turntokyo.com/features/interview-billy-bragg/


 2曲目の「Tam Lyn Retold」はフェアポート・コンヴェンションやアン・ブリッグスが取り上げた定番ナンバーだが、ラップに打ち込みドラムン・ベースを加えるという斬新な解釈。言われないと、あの「タム・リン」だとはわからない。


Tam Lyn (retold)

Tam Lin · Fairport Convention


 かつてマーティン・カーシーがスティーライ・スパン時代にも取り上げた「Cold Haily Windy Night」は、ギターがちょっと中近東風。

The Imagined Village - Cold Hailey Rainy Night


Steeleye Span - Cold, haily, windy night

 船乗りをモチーフにした「ライリー・バラッド」の一曲、「Welcome Sailor」で魅力的なヴォーカルを聴かせるシーラ・チャンドラは、インド・ルーツのシンガー。残念ながら、病気のため引退したという。スティーライ・スパンのファースト・アルバム『ハーク! ザ・ヴィレッジ・ウェイト』収録の「Dark-Eyed Sailor」と同系統のバラッドらしいが、アレンジのせいか雰囲気はまったく異なる。

'Welcome Sailor' featuring Sheila Chandra



The Imagined Village

The Imagined Village

  • アーティスト: Imagined Village
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2012/05/29
  • メディア: CD



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