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DISINTAGRATION / THE CURE [ザ・キュアー]

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 『ディスインテグレーション』はキュアー通算8枚目のアルバムで、1989年にリリースされた。前々作『ヘッド・オン・ザ・ドアー』(85年)から7枚目の『キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー』(87年)はキラキラしたポップ・チューン主体の作品で、それぞれにヒットしたことから次の作品も....と大方の予想を見事に裏切るダーク・テイストな作品である。

 【ディスインテグレーション / ザ・キュアー】
  01. PLAINSONG
  02. PICTURES OF YOU
  03. CLOSEDOWN
  04. LOVESONG
  05. LAST DANCE
  06. LULLABY
  07. FASCINATION STREET
  08. PRAYERS FOR RAIN
  09. THE SAME DEEP WATER AS YOU
  10. DISINTEGRATION
  11. HOMESICK
  12. UNTITLED

 『ヘッド・オン・ザ・ドアー』から『ディスインテグレーション』までの4年間は、私自身の学生時代とちょうど一致するが、アナログ盤からCDへの過渡期でもあった。『ヘッド・オン・ザ・ドアー』はアナログ盤で購入したのだが、『キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー』はアナログにするかCDにするか、ずいぶんと迷った。というのも、『キス・ミー』はアナログ2枚組だったのがCDでは1枚になり、収録時間の関係から1曲「(ヘイ・ユー)」がカットされてしまっていたのである。ピーター・ガブリエルの『So』や、XTCの『スカイラーキング』などCDの方が収録曲が多かった場合は迷わずCDを買ったものだが、やデヴィッド・シルヴィアンの『ゴーン・トゥ・アース』みたいに、アナログ2枚組を無理やりCD1枚に編集した結果、収録曲が減ってしまったという場合はずいぶんと迷ったものである。この『ディスインテグレーション』はトータルで72分という長さで、ギリCD1枚にはいるランニング・タイム。ロバート・スミスとしては、CDでのリリースということが前提だったのだろう。アナログ盤は1枚に編集されたため、『キス・ミー』とは逆にアナログ盤の方が収録曲が少なく、「ラスト・ダンス」「ホームシック」の2曲が外されて、全10曲であった。

 ダーク・テイストとは言うものの、それは前二作と比べてという意味であり、初期の作品に感じられる閉塞感のような重苦しさは感じられない。シンセを使った深みのあるオーケストレーションと、ロビン・ガスリーのような透明感あふれるギター、そして儚げで流れていくようなヴォーカルの組み合わせが秀逸。メランコリックな陰鬱さ明るさの絶妙なブレンドがこの作品の魅力で、最初に聴いたときはちょっと4ADみたいな雰囲気も感じたものである。このアルバムから正式に加入した、キーボードのロジャー・オドネルがバンドにもたらした功績は大きい。

 それまで(一応)キーボード担当だったローレンス・トルハースト(アンド・オールソ・ザ・トゥリーズのファースト・アルバムのプロデューサー)は、このアルバムでは「other instruments」とだけクレジットされているが、アルコールとドラッグ中毒のためほとんど演奏はできなかったようである。結局彼は『ディスインテグレーション』を最後にバンドをクビになるのだが、90年代にはいると印税の不払いなどでロバートやレコード会社を訴えたり、さらにはキュアーというバンド名の所有権についても裁判で争ったが、ともにロルが敗訴している(現在は和解している模様)。


The Cure - Pictures Of You The Cure - Lullaby (Official Video) The Cure - "Disintegration" | Live at Sydney Opera House The Cure - Lovesong (Official Video)
 2010年にはリマスターされて、CD3枚組のエクスパンデッド・エディションがリリースされた(アナログ盤は全12曲収録の2枚組としてリリース)。 ディスク2にはホームデモ、別ヴァージョン、ラフミックスなど20曲が、またディスク3には1989年に収録されたウェンブリーアリーナにおけるライヴ音源『Entreat』のリマスター・ヴァージョンを収録 (2010年にリリースされたデラックス・エディションと同内容)。

【 ディスク2:RARITIES (1988 - 1989)】
  01. Closedown (RS Home Instrumental Demo 5/88)
  02. Last Dance (RS Home Instrumental Demo 5/88)
  03. Lullaby (RS Home Instrumental Demo 5/88)
  04. Tuned Out on RTV5 (Instrumental Rehearsal 6/88)
  05. Funknnotfunk (Instrumental Rehearsal 6/88)
  06. Babble (Instrumental Rehearsal 6/88)
  07. Plainsong (Instrumental Demo 9/88)
  08. Pictures of You (Instrumental Demo 9/88)
  09. Fear of Ghosts (Instrumental Demo 9/88)
  10. Fascination Street (Instrumental Demo 9/88)
  11. Homesick (Instrumental Demo 9/88)
  12. Delirious Night (Instrumental Demo 9/88)
  13. Out of Mind (Studio Instrumental Jam 10/88)
  14. 2 Late (Studio 'WIP' Mix 11/88)
  15. Lovesong (Studio 'WIP' Mix 11/88)
  16. Prayers for Rain (Studio ‘WIP’ Mix 11/88)
  17. The Same Deep Water as You (Live Dallas Starplex 9/15/89)
  18. Disintegration (Live Dallas Starplex 9/15/89)
  19. Untitled (Live Dallas Starplex 9/15/89)
  20. Faith (Live Rome Palaeur 6/4/89-- Crowd Bootleg)

【ディスク3:ENTREAT PLUS】
  RECORDED LIVE AT WEMBLEY ARENA 1989
  01. PLAINSONG
  02. PICTURES OF YOU
  03. CLOSEDOWN
  04. LOVESONG
  05. LAST DANCE
  06. LULLABY
  07. FASCINATION STREET
  08. PRAYERS FOR RAIN
  09. THE SAME DEEP WATER AS YOU
  10. DISINTEGRATION
  11. HOMESICK
  12. UNTITLED






Disintegration (Digipak)

Disintegration (Digipak)

  • アーティスト: The Cure
  • 出版社/メーカー: UMC
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: CD



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THE HEAD ON THE DOOR / THE CURE [ザ・キュアー]

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The Head on the Door / The Cure
  01. In Between Days
  02. Kyoto Song
  03. The Blood
  04. Six Different Ways
  05. Push
  06. The Baby Screams
  07. Close to Me
  08. A Night Like This
  09. Screw
  10. Sinking

 ロバート・スミス率いるザ・キュアーのデビューは1979年。なんと40年のキャリアである。そのため最高傑作(あるいは代表作)を選ぶのは極めて難しい。彼らを80年代UKニューウェーヴのバンドとしてとらえるなら、ダーク・サイケの『ポルノグラフィー』(82年)だろうが、僕は『ザ・ヘッド・オン・ザ・ドアー』(85年)と『ディスインテグレーション』(89年)の2枚が愛聴盤だ。

『ヘッド・オン・ザ・ドアー』はキュアーにとって6枚目のアルバムで、初めて買ったキュアーのアルバム。大学に入った年にリリースされた作品で、FMラジオで聞いた1曲目「イン・ビトウィーン・デイズ」がカッコよくて、ワクワクしながら針を落としたことをよく覚えている。前作『ザ・トップ』収録の屈折ポップ「キャタピラー」も好きだけど、直球ストレートなポップ・チューン「イン・ビトウィーン・デイズ」も大好きな曲。「イン・ビトウィーン・デイス」は、「In Between Days」、「Inbetween Days」、「In-Between Days」の3つの表記がある。

In Between Days


 琴の音を模したシンセがオリエンタルなムードを醸し出す2曲目「Kyoto Song」、続く
「The Blood」は打って変わってスパニッシュなフラメンコ・スタイルと最初の3曲から引き付けられる。第2弾シングルとなった「Close to Me」もいいが、アナログではA面最後の曲だった「Push」が隠れた名曲。キラキラしたギターが印象的なギター・ポップ・チューンで、僕が「ギター・ポップ」を初めて意識したのはこの曲だった。シンプル・マインズとは違い、アメリカでヒットしてメジャーになっても自分たちの立ち位置を見失わなかったキュアーの面目躍如ともいえる傑作がこのアルバム。2006年には2枚組のデラックス・エディションがリリースされた。

THE CURE - Push "Live In Orange"

2006 Deluxe Edition bonus disc
  01. In Between Days (RS Instrumental Home Demo 12/84)
  02. Inwood (RS Instrumental Home Demo 12/84)
  03. Push (RS Instrumental Home Demo 12/84)
  04. Innsbruck (RS Instrumental Home Demo 12/84)
  05. Stop Dead (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  06. Mansolidgone (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  07. Screw (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  08. Lime Time (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  09. Kyoto Song (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  10. A Few Hours After This ... (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  11. Six Different Ways (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  12. A Man Inside My Mouth (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  13. A Night Like This (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  14. The Exploding Boy (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  15. lose to Me (Fitz/F2 Studios Demo 2/85)
  16. The Baby Screams (Live Bootleg Bercy Paris 12/85)
  17. The Blood (Live Bootleg Bercy Paris 12/85)
  18. Sinking (Live Bootleg Bercy Paris 12/85)


 「Close To Me」のシングル・ヴァージョンはドアがきしむ音のSEが曲の前にあり、さらに印象的なブラス・セクションがはいっている。このシングル・ヴァージョンは、ベスト盤『スタンディング・アット・ザ・シー』や『グレイテスト・ヒッツ』で聴くことができるが、音は『グレイテスト・ヒッツ』の方がはるかによくて、ドアがきしむ音がはっきり聞こえる。オフィシャルPVは、このシングル・ヴァージョンに基づいて制作されており、監督はキュアーのPVをずっと担当しているティモシー・ポープ(オルタード・イメージズ「ハッピー・バースデイ」、ドリーム・アカデミー「ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン」、スタイル・カウンシル「ロング・ホット・サマー」、トーク・トーク「イッツ・マイ・ライフ」、サイケデリック・ファーズ「幻を追いかけて」など80年代UKニューウェーヴの名作PVを数多く手がけた)。1990年に編集盤『Mixed Up』がリリースされた際には、リミックス・ヴァージョンのための続編PVが制作された(監督は同じくティム・ポープ)。

Close To Me Close To Me (1990 Version)





Head on the Door (Dlx)

Head on the Door (Dlx)

  • アーティスト: Cure
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 2006/08/08
  • メディア: CD



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