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Ashes Are Burning / Renaissance 燃ゆる灰 [プログレ系]

 結成50周年ということで、2019年には旧譜のリマスタード&イクスパンディド・エディションがリリースされたルネッサンス(ただし1969年に結成されたのはジェーン・レルフの方のルネッサンス)。数多い作品群の中でもルネッサンスの最高傑作にして、英国ロック史上に燦然と輝く名作が、新生ルネッサンスの2作目(ルネッサンスとしては4作目)に当たる『燃ゆる灰』である。

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 01. Can You Understand
 02. Let It Grow
 03. On The Frontier
 04. Carpet Of The Sun
 05. At The Harbour
 06. Ashes Are Burning

 演奏の中心はジョン・タウトによるクラシカルでリリカルなピアノだが、このバンドの魅力は彼のピアノと女性ヴォーカリスト、アニー・ハズラムによるヴォーカルとの美しいコンビネーションにある。アニーの伸びやかで澄んだハイトーン・ヴォーカルは、優しい声質ながらちょっと哀感をも感じさせるが、なかでもラストの11分にわたるタイトル・ナンバーは、その魅力が十分に発揮された一曲。静かなピアノで始まりアニー・ハズラムのクルスタル・ヴォイスに導かれて徐々にドラマティックに展開していき、後半部ではヴォーカルに被ってアンディ・パウエル(ウィッシュボーン・アッシュ)の「泣き」のギターが入ってくる。英国ロックらしい、華麗で格調高く独特の暗さも感じる名作。

RENAISSANCE - Ashes Are Burning [LIVE IN STUDIO] 1974 RARE


 オープニング・ナンバー「キャン・ユー・アンダースタンド」におけるストリングスを使った間奏は映画『ドクトル・ジバゴ』のサントラ「Tonya and Yuri Arrive At Varykino」のメロディーが使われている。このため一部のアルバムには「Composed By [Instrumental Section] – Maurice Jarre」と、「Tonya and Yuri Arrive At Varykino」の作曲者であるモーリス・ジャールもクレジットされている。ダンフォードはこのメロディーをパブリックドメインのロシアの民謡だと勘違いしてそのまま使ったらしい。
Tonya and Yuri Arrive At Varykino

 ヒプノシスがデザインしたこのアルバムのジャケットには二種類のカヴァーがあり、構成はそっくりだが、UK盤ではアニーが微笑んでいるのにたいしてUS盤でのアニーは不機嫌そうに見える。また「渚にて」(At the Harbour)のオリジナルは6分を越える長さの曲だったが、一時は3分に編集された長さになっていた。これは同曲にドビュッシーの「前奏曲」が使われていたためで、著作権の変更により一時的に引用不可となっていたからである。
 私が最初に買った日本盤(TOCP-6800)はオビに「世界初CD化」と書かれており、「不機嫌ジャケ」+「ドビュッシーなし」だったが、次に買ったドイツ盤(REP 4575-WY)は、「微笑ジャケ」+「ドビュッシーあり」、そして2001年にリリースされた日本盤(TOCP-65593)は「微笑ジャケ」+「ドビュッシーありなし両方(「なし」はボーナス・トラック扱い)」になっていた。2019年にリリースされた「50周年記念」には、74年にBBCで放送された3曲「Can You Understand」「 Let It Grow」「Ashes Are Burning」がボーナス・トラックとして収録されている。

 「太陽のカーペット」にはジェーン・レルフによるデモ・ヴァージョンが存在しており、2枚組CD『ジェーン・レルフ・コンプリート・コレクション』にボーナス・トラックとして収録されているが、実はデモの方が「完全版」である。インナー・スリーヴの歌詞を読みながら聴いた人は気づいたと思うが、アニー版「太陽のカーペット」では「Come along and try, looking into ways of giving.」で始まる2番の部分がカットされている。一方、ジェーン版ではこの部分も歌われている。

Renaissance - Carpet of the Sun

Carpet of the Sun (feat. Renaissance) · Jane Relf




燃ゆる灰:50thアニヴァーサリー・ライヴ・イン・コンサート (2CD+DVD+Blu-ray)

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  • アーティスト: ルネッサンス
  • 出版社/メーカー: DISK UNION
  • 発売日: 2021/06/19
  • メディア: CD



燃ゆる灰:リマスタード&イクスパンディド・エディション

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  • アーティスト: ルネッサンス
  • 出版社/メーカー: マーキー・インコーポレイティド
  • 発売日: 2019/02/25
  • メディア: CD



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Procol Harum 青い影 プロコル・ハルム [プログレ系]

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 一面に「ロシア ウクライナ侵攻」という文字が躍る昨日の新聞、国際面の片隅にゲイリー・ブルッカーの訃報が載っていた。誰もが知るミュージシャンというわけでもない彼の訃報が掲載されていたのは、ひとえに「青い影」のなせるわざだろう。



 クラシックとロックを融合させた「青い影」は英国ロック史上に残る名曲であり、日本ではデビュー・アルバム(1968年)のタイトルにもなった。日本では車のCMにも使われたこともある。「青い影」というと、デビュー・アルバムのジャケットをイメージできる人も多いと思うが、オリジナルUK盤には「青い影」は収録されていない。イギリス以外の国でリリースされた盤にはファースト・シングル「青い影」やセカンド・シングル「ホンバーグ」などが収録されており、リリース国によって収録曲や曲順にも若干の違いがある。CD化されてからは、「青い影」「ホンバーグ」とも収録されるようになった。

NISSAN シルビアのCM


Procol Harum - Homburg (1968)

 プロコル・ハルムというと、ピアノ&オルガンという編成やオーケストラとの共演など、クラシックの要素が強いプログレ・バンドというイメージがある。しかしファースト・アルバム全体で聴くと意外にR&B色も強い。プロコル・ハルムの母体となったバンド、パラマウントはR&Bだったそうで、アルバムのレコーディングから新たに加わったロビン・トロワー(ギター)とB.J.ウィルソン(ドラム)の2人(2名ともシングル「青い影」のリリース後にメンバーとなったため、「青い影」には参加していない)はパラマウントのメンバーであり、もともとはR&B指向だったのだろう。

 日本盤のライナーのライターは、大貫憲章さん。大貫さんが高校生だった頃、当時中学生だった松任谷由実さんの豪邸で、彼女がピアノで弾くプロコル・ハルムの「マグダレーン」を聴いたというエピソードが出てくる。プロコル・ハルムのファンだったユーミンは、バンドを日本に招いて共演ツアーを行ったこともある。

ユーミン、憧れのプロコル・ハルムと共演 https://okmusic.jp/news/19556








プロコル・ハルム(青い影)+11(K2HD/紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト: プロコル・ハルム
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: CD



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