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English Garden / Bruce Woolley & The Camera Club [トーマス・ドルビー]

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イングリッシュ・ガーデン / ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブ
 01. イングリッシュ・ガーデン
 02. ラジオ・スターの悲劇
 03. ダンシング・ウィズ・ザ・スポーティング・ボーイズ
 04. ジョニー
 05. ノー・サレンダー
 06. フライング・マン
 07. ユー・ゴット・クラス
 08. W.W.9.
 09. クリン / クリン
 10. ゲット・アウェイ・ウィリアム
 11. グッドバイ・トゥー・イエスタデイ
 12. グッドバイ・トゥー・イエスタデイ(リプライズ)
 13. ユーアー・ザ・サーカス
 14. トラブル・イズ(ボーナス・トラック)

 トーマス・ドルビーの音楽的キャリアは、ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブのメンバーとして始まった。バンドとしてのアルバムは『イングリッシュ・ガーデン』(1979年)1枚のみで、日本盤も発売されたがさほどヒットしたわけではない。しかしブルース・ウーリーが"バグルスの「ラジオスターの悲劇」の共作者" であることや、ザ・カメラ・クラブにトーマス・ドルビーが在籍していたことなどから、リリース当時よりも現在の方が知名度は高いように思われる。
 アルバム『イングリッシュ・ガーデン』は、「バグルスとトーマス・ドルビー」というキーワードから予想されるサウンドではなく、個人的には『イングリッシュ・ガーデン』と同じ頃にリリースされたスパークスの『No.1イン・ヘブン』に近いものを感じる。 『No.1イン・ヘブン』のエレクトロニクス色を薄くして、ロック色を強くしたという印象。トーマス・ドルビーはさほど目立ってはいないが、1曲目の電子音や1分にも満たない実験的な「W.W.9」には、彼のサウンドを感じることができる。収録されている曲のうち、「ラジオ・スターの悲劇」と「クリン/クリン」は、ブルース版とバグルス版があるので、両者を聞き比べてみても面白い。この2曲はブルース・ウーリーとジェフ・ダウンズ、トレヴァー・ホーン3人の共作クレジットで、この他「ジョニー」はブルース・ウーリーとトレヴァー・ホーン2人の共作クレジットになっている。

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The Buggles - Video Killed The Radio Star (Official Music Video) Bruce Wooley and the Camera Club: 'Video Killed the Radio Star' (1979)

Youtubeで検索すると、ブルース・ウーリー版「ラジオ・スターの悲劇」は、少なくとも3つのヴァージョン(イントロが違う)があるようだ。

The Buggles - Clean, Clean Bruce Woolley Clean Clean 1979

 ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブには、もう一人重要なミュージシャンが在籍していた。ベースのマシュー・セリグマンである。昨年新型コロナウイルス感染症のため亡くなってしまったが、ニューウェーヴ系では重要ミュージシャンの一人で、1985年のライヴ・エイドでは、トーマス・ドルビーとともにデヴィッド・ボウイのバックをつとめていた。 https://amass.jp/133679/

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 驚いたのは、彼が一時日本に住み、しかも英語の教師(ALT)として日本の高校に勤務していたという事実だ。ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブを担当されていたディレクターさんによるブログ(「レッツゴー!元日本洋楽研究会」:https://ameblo.jp/nihonyogaku)のブルース・ウーリーのエントリーに「3年ほど前、私の勤める学校にフェンダーのベースギターを背負ったイギリス人がALTとしてやってきた。名前はマシュー・セリグマン。私が音楽室に誘いセッションを楽しんで、その後に知ったが彼は私の大好きなブルース・ウーリー・アンド・ザ・カメラクラブの元ベーシストだという!」というコメントがついていた。あまりにも予想外の内容に絶句し、「同名異人じゃないのか」と思い検索したところ、仙台第二高等学校や仙台南高校のホームページには当時の写真が掲載されていた。まさしくマシュー・セリグマンその人である。
  「レッツゴー!元日本洋楽研究会」 https://ameblo.jp/nihonyogaku/entry-12354053699.html
仙台第二高校(6月8日の項目)http://sen2kaede.ec-net.jp/school_life_H29.html
仙台南高校(インタビューつき!)https://sminami-h.myswan.ed.jp/cabinets/cabinet_files/download/13/d64015afa18fb5fc14dea12aa6c75d90?frame_id=49

 英語版Wikipediaによれば、マシューは2004年から仙台に住み、その後帰国するも東日本大震災を機に再来日していたという。

Bruce Woolley and The Camera Club - English Garden, WW9 & Clean Clean - OGWT 1979

カメラ・クラブ時代のトーマス・ドルビーとマシュー・セリグマン。これは貴重な動画。




イングリッシュ・ガーデン

イングリッシュ・ガーデン

  • アーティスト: ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブ
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 2001/02/21
  • メディア: CD



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The Golden Age Of Wireless / Thomas Dolby [トーマス・ドルビー]

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 1981年に『ビルボード』のナショナル・チャートで9週間連続2位(結局1位にはなれず)と大ヒットを記録したフォリナーの「ガール・ライク・ユー」でイントロの印象的なシンセを弾いていたのがトーマス・ドルビー。その翌年、1982年にリリースしたシングル「彼女はサイエンス」はイギリスでのチャート・アクションは振るわなかったものの、翌83年にアメリカでは5位まで上がるヒットとなった(プロデューサーは、トーク・トークを手掛けたティム・フリーズ・グリーン)。「彼女はサイエンス」リリース直後に発表された彼のファースト・アルバムが『The Golden Age Of Wireless』(邦題:光と物体:82年)である。

Waiting for a Girl like You / Foreigner


Thomas Dolby - She Blinded Me With Science


Thomas Dolby - She Blinded Me With Science (Live)

 トーマス・ドルビーというとエレ・ポップで機械的なイメージが強い人だが、ジョニ・ミッチェルやフリファブ・スプラウトなどエレクトロニクスとアコースティックを巧く融合させ、しっかりしたリズムで美しいメロディーを支える音作りが得意だ。このアルバムでは「Airwaves」に、そうした彼のよさがよく出ている。


 クレジットされているゲストも、様々に興味深い。まず共同プロデューサーはティム・フリーズ・グリーン。プロデューサー&コンポーザーとして、トーク・トークを支えた人物である。矢野顕子版「Radio Silence」のシンセでクレジットされているのは、ミュート・レコードの創設者ダニエル・ミラー。「彼女はサイエンス」のヴァイオリンは、ロック系のミュージシャンから高い信頼を得ているサイモン・ハウス。デヴィッド・ボウイの『ロジャー』、JAPANの『錻力の太鼓』、デヴィッド・シルヴィアンの「Some Kind of Fool」などに参加しているヴァイオリニストだ。オーストラリアのバンド、アイスハウスの元メンバーであるサイモン・ロイドは、「Windpower」の管楽器でクレジットされている。複数の曲に参加しているのは、ギターのケヴィン・アームストロングと、ベースの故マシュー・セリグマン。この二人はJAPAN関連の作品などニュー・ウェーヴ系に強いプレイヤーだが、かつてのバンド仲間どうしでもある。マシュー・セリグマンはブルース・ウーリー&カメラ・クラブで、トーマスト・ドルビーとはバンド仲間だったこともある。85年のライヴ・エイドでは、トーマスとマシューがデヴィッド・ボウイのバックを一緒に務めることになる。かつてのリーダー、ブルース・ウーリーもバック・ヴォーカルで参加している。XTCのアンディ・パートリッジは、「Europa And The Pirate Twins」のハーモニカと「Leipzig」「Urges」の共同プロデュースで参加。ついでに「Urges」のパーカッションもアンディ。アンディ・パートリッジがトーマス・ドルビーについて語っていたのは、確か『ストレンジ・デイズ』に載っていたインタビューだったと思う。「Radio Silence」のバック・ヴォーカルは、当時坂本龍一と事実婚の関係だった矢野顕子。彼女は1980年のイギリスツアーにも参加していたことから、「日本のケイト・ブッシュ」とも言われイギリスでは結構な知名度だったらしい。「彼女はサイエンス」に出てくる "Good heavens, Miss Sakamoto, you're beautiful!"の「ミス・サカモト」は矢野顕子のことだという説がある。三つ編みのヘアスタイルで、ニナ・ハーゲンをマイルドにしたようなリーナ・ラヴィッチは、「Cloudburst At Shingle Street」のバック・ヴォーカルで参加。

Thomas Dolby - Radio Silence

 『The Golden Age Of Wireless』には様々なヴァリエーションがある。82年にリリースされた初期盤には「彼女はサイエンス」は収録されておらず、英国盤は9曲で、米国盤は10曲だった。しかも収録曲が微妙に違っており、米国盤では「TheWreck of the Fairchild」がカットされ、アンディ・パートリッジが共同プロデュースしたソロ・デビュー・シングル「Urges」と「Leipzig」が収録されている。さらに「Airwaves」はシングル・ヴァージョン、「Radio Silence」はギター・ヴァージョン(矢野顕子は参加していない)というヴァージョン違いでの収録である。


 83年に「彼女はサイエンス」がヒットしたことから、83年リリース盤からは英盤・米盤ともに同曲がアルバムの1曲目に収録されることになった。まず83年英盤は、82年米盤と同じく「The Wreck of the Fairchild」がカットされ、「One of Our Submarines」と「彼女はサイエンス」のシングル・ヴァージョンが収録されて10曲仕様である。また83年米盤は、82年米盤から「Urges」 と「Leipzig」をカットし、英盤同様「One of Our Submarines」が収録された。結果として83年盤は米盤・英盤ともに同内容になった.....と思いきや、米盤の「彼女はサイエンス」は5分を超える12インチ・ヴァージョン、「Windpower」「Airwaves」はシングル・ヴァージョン、「Radio Silence」はやはりギター・ヴァージョンと、4曲がヴァージョン違いで収録された。当時日本盤を発売していた東芝EMIは、英盤と米盤で仕様が異なるときは英盤を使うという内規でもあったのか、ネイキッド・アイズのシングル「僕はこんなに」もイギリス・ヴァージョンでのリリースだった。

Thomas Dolby - Airwaves

 CDは、米盤も英盤と同内容になった。
  01. She Blinded Me with Science(シングル・ヴァージョン)
  02. Radio Silence(矢野顕子参加ヴァージョン)
  03. Airwaves
  04. Flying North
  05. Weightless
  06. Europa and the Pirate Twins
  07. Windpower
  08. Commercial Breakup
  09. One of Our Submarines
  10. Cloudburst at Shingle Street

 現行盤は、82年英盤の9曲に5曲のボーナス・トラックを収録した14曲仕様になっている。「Windpower」「Airwaves」のシングル・ヴァージョンは、ベスト・アルバム『レトロスペクタクル』に収録されている。2009年のコレクターズ・エディションに収録されていた「Airwaves」などのデモは収録されていない。  【2019年版 The Golden Age Of Wireless 『光と物体』】
  01. Flying North
  02. Commercial Breakup
  03. Weightless
  04. Europa and the Pirate Twins
  05. Windpower
  06. The Wreck of the Fairchild
  07. Airwaves
  08. Radio Silence
  09. Cloudburst at Shingle Street
   [BONUS TRACKS]
  10. One of Our Submarines
  11. She Blinded Me with Science
  12. Urges
  13. Leipzig
  14. Radio Silence (Guitar Version)

Golden Age Of Wireless

Golden Age Of Wireless

  • アーティスト: Thomas Dolby
  • 出版社/メーカー: Echo Label Limited
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: CD


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