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BOY / U2 [U2]

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   『ボーイ』
    1. アイ・ウィル・フォロー
    2. トゥワイライト
    3. アン・キャット・ダブ
    4. イントゥ・ザ・ハート
    5. アウト・オブ・コントロール
    6. ストーリーズ・フォー・ボーイズ
    7. ジ・オーシャン
    8. ア・ディ・ウィズアウト・ミー
    9. アナザー・タイム、アナザー・プレイス
    10. ジ・エレクトリック・カンパニー
    11. シャドウズ・アンド・トール・トゥリーズ

 U2は英国ではなくアイルランドのバンドですが、好きなので入れちゃいます。

 1980年にリリースされたU2のファースト・アルバム。1980年には、エコー・アンド・ザ・バニーメンの『クロコダイルズ』、バウハウスの『暗闇の天使』がリリースされています。ジョイ・ディヴィジョンの『アンノウン・プレジャーズ』は、前年の79年リリースです。という時期であったため、U2もポスト・パンク~ニュー・ウェーヴを代表するバンドとされることが一般的ですが、ベクトルは違うでしょう。

 当時の多くのバンド、同類項とみられていたエコー・アンド・ザ・バニーメンなどと比べると、憂鬱な陰りが感じられません。確かにエッジのギターは、冷たい空気を切り裂くような、まさにエッジが効いていて、鋭角的でクール。エコバニに通じる冷たさがありますね。しかし、熱いヴォーカルやヘヴィなドラムとベースとも相まって、この頃のU2はストレートなギターバンドそのもの。シンプルさとひたむきさがみずみずしい印象を与える作品に仕上がっています。 「大英帝国の黄昏」のもと、this mortal coil から目をそらして浮世離れした美しさを追求した4ADのアーティストや、世の中に対する怒りを暴力的な衝動、あるいは皮肉でかわそうとしたアーティストらは違って(彼らが悪いと言っているわけではありません)、世の中の矛盾や苦しみ悲しみに正面から向き合おうという姿勢からは、青くさいまでの誠実さが伝わってきます。

 ドライヴ感溢れるオープニング「アイ・ウィル・フォロー」から、スローな「ジ・オーシャン 」まで、荒削りながらスケールの大きさを感じさせます。そして「イングランドの圧政に屈しなかったケルティック・アイリッシュ・スピリット」=英国ロックとは異なる何かも。クラナドのような音楽ではなくとも、風土と歴史が育んだ民族性にもとづくロック、を示している作品です。

 「デラックス・エディション」に収録されているアルバム未収のシングル「11オクロック・ティック・タック」のプロデューサーは、JDを手がけたマーティン・ハネット。ドラムの音はなんとなくJDっぽい。当初はゼロがこのアルバムをプロデュースする予定だったそうですが、イアン・カーティスの自殺等のゴタゴタもあって中止。結局スティーヴ・リリーホワイトがプロデューサーとなり、『アイリッシュ・オクトーバー』『闘』と初期の3枚を手がけたのは周知の通り。独特のエコーがかかった音づくりは、エッジの金属的なギターとボノのうわずり気味のヴォーカルにはよくあっていると思います。彼をプロデューサーにして、正解。

 

 リマスター盤を聴いてビックリしたのは、タイトなベースラインとパワフルなドラミング。特に「アウト・オブ・コントロール」のダンサブルとも言えるビートは、このリズム隊なくして生まれなかったでしょう。傑作。
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