NAH=POO-THE ART OF BLUFF / WAH! ピート・ワイリー [リヴァプールのアーティスト]
ピート・ワイリー、イアン・マッカロク、ジュリアン・コープの3人が「三聖人」とよばれるのは、この3人がクルーシャル・スリーという同じバンドで活動していたからだが、イアンはクルーシャル・スリーについて、「グループといったって、ステージもやったことはないし、君だって学生時代にバンドくらいつくったろ。その程度のものさ。 5ワットのアンプにギターもベースもヴォーカルも みんな一緒につっこんで、みたいなね。」と語っている(『フールズ・メイト』85年1月号:No.41)。クルーシャル・スリーの消滅後もこの3人はくっついたり離れたししながら、最終的にはイアンのエコー&ザ・バニーメン、ジュリアンのティアドロップ・エクスプローズ、そしてピート・ワイリーのワー!へと落ち着いていくのだが、この間に出てきたバンドで、名前が拾えるのは以下の通り。実際の所、名前だけでレコーディングなど行われなかったというバンドもあっただろうし、さらに多くのバンドが介在していたとも思われる。
・THE MYSTERY GIRLS
ピートとジュリアンがピート・バーンズ(v)、 フィル・ハースト(d)と結成したグループ。ピート・バーンズとフィルがこのバンドの後に結成したナイトメア・イン・ワックスが、デッド・オア・アライヴに発展する。
・THE NOVA MOB
ピートとジュリアンが、バッジー(後にスジー&ザ・バンシーズのドラマー)らと結成。
・A SHALLOW MADNESS
ジュリアンとイアンがポール・シンプソン(後にティアドロップ・エクスプローズ~ワイルド・スワンズ~ケアー)らと結成。
・THE OPIUM EATERS
ピートとバッジーが、イアン・ブロウディ、後にフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのメンバーとなるポール・ラザフォード&ホリー・ジョンソンらと結成。
・CRUSH COURSE
後にWAH! HEATへと発展するグループ。ギターのミック・レイドは、後にナイトメア・イン・ワックスに加入する。
【NAH=POO-THE ART OF BLUFF】
81年にリリースされた『NAH=POO-THE ART OF BLUFF』は、ピート・ワイリーが初めてリーダーとしてリリースしたアルバム。オープニング・ナンバーこそサイケ感覚だが、全体として陽のエネルギーを放出するかのような曲の数々は、憂鬱なイアン・マッカロクや屈折したジュリアン・コープなど、他のネオ・マージー・ビート組とは 一線を画している。ファースト・シングル「Better Scream」は収録されていないが(ベスト盤『THE HANDY WAH! WHOLE』に収録)、2ndシングル「Seven Minutes to Midnight」、3rd「Forget The Down!」(ボーナス・トラック)、4th「Somesay」などストレートな演奏と表情豊かなヴォーカルの突き抜け具合が心地よい。「Seven Minutes to Midnight」は、いわゆる「終末時計」のことを歌った曲で、この曲がリリースされた1980年に2分進められて「人類の終末まで7分前」になった。
2001年に再発されたCDには、「Forget The Down!」「Somesay」のイアン・ブロウディ・ミックス など7曲のボーナス・トラックが収録されている。 インナーにはオリジナルのレーベル写真などがカラーで紹介されており、なかなか丁寧な編集。当時のインディ・チャート(多分NME)が写真で紹介されているが、1位がPIG PAG、2位がDEPECHE MODE、3位はCLOCK DVAで4位がASSOCIATES。 IT'S IMMATERIALも7位にはいっている。Wah!!は「Forget The Down」が9位にチャート・イン。
ピート・ワイリー~Wah! のわかりづらさは度重なるメンバーチェンジとバンド名の変更にある。「Wah!」「Wah! Heat」「Mighty Wah!」などメンバーが変わるたび、アルバムのリリースのたびに変わり、さらには元に戻るなど混乱必至。このファーストアルバムの時期では、ファースト・シングル「Better Scream」とセカンド・シングル「Seven Minutes to Midnight」は Wah!Heat名義で、この『NAH=POO-THE ART OF BLUFF』と続く2枚のシングル「Forget The Down!」と「Somesay」は、単にWah!名義である(「Seven Minutes to Midnight」から「Somesay」までメンバーは変わっていない)。ところがリイシュー盤『NAH=POO-THE ART OF BLUFF』には、「THE MIGHTY WAH!」という表記もあり、もう意味不明状態である。このあと大幅なメンバーチェンジがあり、82年4月にリリースされたシングル「Remember」は、「SHAMBEKO SAY WAH!」という名義でリリースされた。
The Wild Swans / The Sire Years サイアー時代のワイルド・スワンズ [リヴァプールのアーティスト]
https://opticnerverecordings.com/products/wild-swans-the-revolutionary-spirit-7?variant=40615158644847
第1期ワイルド・スワンズ後のケアーとロータス・イーターズがともに解散した後、ポール・シンプソンは再びワイルド・スワンズの名義で活動をスタートする。第2期ワイルド・スワンズはワーナー傘下のサイアー・レコードと契約し、『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』(1988年)・『スペース・フラワー』(1990年)の2枚のアルバムをリリースした。2枚とも優しいギター・ポップ・アルバムで、心が高揚していくような伸びやかなポール・シンプソンのヴォーカルが印象的だ。
ファースト・アルバム『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』は、ポール・シンプソンとジェレミー・ケリー(ロータス・イーターズ)に加えてベーシストとしてジョゼフ・フィアロンの3名がクレジットされている。ポールのヴォーカルと、独特のエコーがかかったジェレミーのギターの組み合わせはとても優しく、時にセンチメンタル。アルバムのオープニング・ナンバー「Young Manhood」と2曲目の「Bible Dreams」の2曲がシングルとしてカットされた。プロデューサーのポール・ハーディーマンはエンジニア畑の人物で、ペイル・ファウンテンズの『フロム・アクロス・ザ・キッチン・テーブル』(プロデュースはイアン・ブロウディ)やケイト・ブッシュの『ドリーミング』等にクレジットされている。このポール・ハーディーマン、ケイト・ブッシュの「狂気の家」では「Voice ["Eeyore"] 」、ザ・ザの「ジャイアント」では「Vocals [Chant]」とクレジットされるなど、時々レコーディングに参加しているようだが本作ではそれらしいクレジットは見あたらない。プロモーションのため、『Music And Talk From Liverpool』と題されたプロモーション盤が制作された。『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』からの4曲に「Revolutionary Spirit」を加えた5曲入りで、曲間にはジェレミー・ケリーのコメントが入っている。
Music And Talk From Liverpool
01. Young Manhood
02. A Few Words From Jeremy Kelly...
03. Mythical Beast
04. A Few More Words..
05. Northern England
06. And Some More...
07. Bible Dreams
08. Summing It All Up...
09. Revolutionary Spirit
続く『スペース・フラワー』は、ケアー時代の僚友イアン・ブロウディのプロデュース。ドラマーとして、元アイシクル・ワークス~ラーズ~オアシスのクリス・シャーロックがクレジットされている。ベースのジョゼフ・フィアロンは前作に引き続きだがジェレミーが抜けて、ギターはアイシクル・ワークスのイアン・マクナブとイアン・ブロウディ。前作に続いてメロディアスなギター・ポップ作品で、イアン・ブロウディによってポップ度が増し、前作よりも明るい作品に仕上がった。
サイアー時代の2枚のアルバムは、いずれもアメリカで先行発売されている。メジャーへの移籍とアメリカ市場の重視とも言える動きは、ややもすると「メジャーに魂を売った」等の批判をされることもあるが、ワイルド・スワンズに限ってはそうした批判を目にしたことはない。サイアー時代の2枚のクオリティの高さを物語っているとも思うが、ポール・シンプソン自身は、サイアー時代を振り返って「メジャーの考えはウイルスのようだ。バンドを始めた理由を忘れてしまい、売れる曲を求める考えに陥ってしまう」と語っている。[http://www.noripcord.com/features/wild-swans-interview-paul-simpson]
サイアー時代の2枚は1999年に日本でCD化され、一時は海外でも高値で取引されていたが、2007年にサイアーから2枚組『Magnitude (The Sire Years)』として再発された。
『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』には4曲、『スペース・フラワー』には7曲のボーナス・トラックが収録されている。CD1のボーナス・トラックは、11と12が「Young Manhood」12インチのB面、13と14が「Bible Dreams」12インチのB面。CD2の12は2001年にリヴァプールのレーベルViperからリリースされた『Unearthed Liverpool Cult Classics Vol.1 』に収録されたヴァージョンで、女性コーラスなども加えられたゴージャスなミックス。17は「Melting Blue Delicious」のプロトタイプで、ドラムがカッコいい。
『Magnitude (The Sire Years)』
CD1 【Bringing Home The Ashes】
11. Holy Holy
12. The World Of Milk And Blood
13. 1982
14. Pure Evil
CD2 【Space Flower】
06. Tastes Like Tuesday (previously unreleased)
12. Melting Blue Delicious (Bill Drummond Single Version)
13. Sugar Engines (Demo)
14. Chocolate Bubblegum (Demo)
15. Lantern Man (Demo)
16. Magic Hotel (Demo)
17. Telescope (Demo)
ワイルド・スワンズはフィリピンで人気がある(ノルウェーのフラ・リッポ・リッピもフィリピンで人気があるそうだ)。2006年にはフィリピン・オンリーで『The Platinum Collection』というサイアー時代のコンピレーションがリリースされている。3枚目のアルバム『The Coldest Winter for a Hundred Years』(2011年)がリリースされた時、彼らが英国以外でライヴを行ったのは、フィリピンだけだった。このとき、エコバニのレス・パティンソンがベーシストとして同行している。
https://www.pressreader.com/philippines/sunstar-cebu/20111008/282995396623968
White Room / The KLF ビル・ドラモンド [リヴァプールのアーティスト]
なかでも強いインパクトがあったアルバムが、ビル・ドラモンドとジミー・コーティ(元ブリリアント)によるKLFの『ホワイト・ルーム』だった。ビル・ドラモンドは、伝説のバンド、ビッグ・イン・ジャパンやZooレコードなど、リヴァプールの音楽シーンでは有名人物の一人である。クリエイションからリリースされたビル・ドラモンドのソロ名義のアルバム『ザ・マン』(1986年)はアコースティックな作品であったし、これまでの活動を考えれば、ジュリアン・コープ的なサウンドかなぁ....と思ったらこれが予想を大きくくつがえすサウンド。ラップにロック、レゲエ、ハウスのカッコいい部分だけをミクスチャーしたサウンドは、サンプリングされた歓声ともあいまってレイヴを彷彿とさせる。そして楽曲のクオリティは高く、ソウル・II・ソウルの『Club Classics: Vol. 1』(1989)と並ぶ英国産テクノ・ハウス系ダンス・ミュージックの傑作である。
KLFは奇行でも知られる。
「 KLF、3万4592人分の遺灰が使われたというレンガでピラミッドを建てる計画を発表」https://nme-jp.com/news/64236/
記事中にある「1992年のブリット・アウォーズのアフターパーティーでダミーのマシンガンを発砲」するパフォーマンスと、 「1994年には100万ポンドを燃やし」たパフォーマンスはYoutubeでその様子を見ることができる。
100万ポンドを燃やしてから23年後の2017年8月23日の午前0時23秒から、ビル・ドラモンドとジミー・コーティは「Welcome to the Dark Ages」という3日間にわたるイベントを開催した。NMEのニュースにあった「ザ・ピープルズ・ピラミッド」建設の計画は、このイベント中に発表されたものである。このイベントのドキュメンタリーを見ると、リヴァプールではKLFの人気はいまだに高いようだ。
FRIED / JULIAN COPE [リヴァプールのアーティスト]
ティアドロップ・エクスプローズ解散後にジュリアン・コープが発表した3枚はいずれも傑作と呼ぶにふさわしい作品群だが、中でもセカンド・ソロ『フライド』を最高傑作としておきたい。
「fried」とは「My brain is fried(脳みそが揚げられてる).」の意味で、普通には「疲れた」、スラング的には「イカれてる」「ラリってる」「ヤク中」などの意味もあるそうだが、「fried」と書かれた壊れた玩具を目の前に亀の甲羅を被って裸で蹲るとはなんともイってるジャケットである。これは内容も相当....という予想とは裏腹に、60~70年代テイストを感じさせるノスタルジックでドリーミーな作品。英国トラッドの影響も感じられて興味深いが、時おり垣間見える狂気もまたこのアルバムを魅力的にしている。「亀」つながりで、シド・バレットと比較されることも多かった。ドラマーとして腕利きセッション・ドラマーのクリス・ウィッテンが参加しており、また「Search Party」等での美しいオーボエは元ドリーム・アカデミーのケイト=セント・ジョン(クレジットはされていない)。2015年には、ジョン・ピール・セッション(84年)などを含んだ2枚組のデッラクス・エディションがリリースされた。
ポップな前作『ワールド・シャット・ユア・マウス』(84年)、本作、そしてパンキッシュな次作『セイント・ジュリアン』(87年)と、80年代のジュリアン・コープは本当に充実していた。とりわけ初ソロ『ワールド・シャット・ユア・マウス』(84年3月リリース)から本作までのインターバルはわずか6カ月であり、充実ぶりがうかがえる。ヨーロッパの中世説話「狐物語」に題材をとった「Reynard the Fox」や北欧神話の主神オーディンをイメージした「O King of Chaos」など後の古物志向も明確になっている。
『フライド』をリリースした頃のジュリアンは日本での人気が高く、雑誌『フールズ・メイト』の表紙を飾ったり、来日公演を行ったりしている(博多の伝説的バンドであるルースターズとのジョイント)。ラジオ日本の「サウンドプロセッサー(サンプロ)」でもよく彼の曲が流れていた。その後古代文明研究やジャパニーズ・ロックの研究・評論など、なんだかよく解らない人になっていったが、意外にも(?)まだしっかりステージに立っている。外見はアレだが、声も出てるし、12弦ギターもしっかり弾いている。日本ロック好きのようでうれしい。
チェリー・レッドのコンピレーション~『REVOLUTIONARY SPIRIT』と『BIRTH OF A NATION』 [リヴァプールのアーティスト]
ワイルド・スワンズのデビュー・シングルをタイトルにした『REVOLUTIONARY SPIRIT』はCD5枚組というヴォリューム。曲ごとに解説がついており、なかなか興味深い。曲によっては当時のバンドメンバーが解説している場合もある。
DISC 1
01. WHAT A WAY TO END IT ALL – Deaf School
02. BIG IN JAPAN – Big In Japan
03. SUFFICE TO SAY – Yachts
04. THE PICTURES ON MY WALL – Echo And The Bunnymen
05. LIL'S GONE TO PARIS – Ded Byrds
06. BREAKTHROUGH IN GREY ROOM – 0-51
07. TODAY'S MYSTERY IS… – The Dance Party
08. SLEEPING GAS – The Teardrop Explodes
09. FACTION-Faction
10. TOUCH – Lori And The Chameleons
11. BLACK LEATHER – Nightmares In Wax
12. BUNKER SOLDIERS – Orchestral Manoeuvres In The Dark
13. 194 RADIO CITY – Jaqui & Jeanette
14. LONELY EVENING – Clive Langer And The Boxes
15. MORNING, NOON AND NIGHT – Glass Torpedoes
16. COULD THIS BE HEAVEN – Original Mirrors
17. HEADS I WIN – The Moondogs
18. BREAK IT TO ME GENTLY – The Planets
19. DO THE CHUD – The Chuddy Nuddies
20. BRITISH REFUGEE – Spitfire Boys
21. THE DOCTOR – Geisha Girls
22. DON'T STOP THE WORLD – Deaf School
まずディスク1は1978年から1980年の曲。クライヴ・ランガーのデフ・スクールや、リヴァプール音楽シーンの総元締めビル・ドラモンドのビッグ・イン・ジャパン(バンド名は「すてきなサンデー」のバスターを揶揄していたという説がある)など、80年代にブレイクするアーティストの初期の姿を伝える。例えばヨッツとチューディ・ヌーディズは後にイッツ・イマテリアルとなり、ナイトメア・イン・ワックスはデッド・オア・アライヴとなる。K.C.&ザ・サンシャイン・バンドの「ザッツ・ザ・ウェイ」(後にデッド・オア・アライヴ時代にもカヴァーした)をフィーチャーした「BLACK LEATHER」の重くややゴスかかった曲調は、彼の輝かしい全盛期と対照的な悲惨な晩年を思い出すと悲しい。
COULD THIS BE HEAVEN – Original Mirrors
DISC 2
01. DALEK I LOVE YOU (DESTINY) – Dalek I
02. TELECOMMUNICATION – A Flock Of Seagulls
03. WHEN I DREAM – The Teardrop Explodes
04. HIT THE MOON – Ellery Bop
05. NUCLEAR SUMMER – The Nice Men
06. HUMAN FEATURES – Black
07. TOTAL RECALL – Systems
08. TOUCH – Freeze Frame
09. SUPERMAN – Attempted Moustache
10. INTERCONTINENTAL – Afraid Of Mice
11. RESCUE – Echo And The Bunnymen
12. PIGGIE IN THE MIDDLE EIGHT – Cook The Books
13. CREATION REBEL – Windows
14. MY MOTIVE – Chinese Religion
15. TOO LATE TO FLY THE FLAG – Hambi And The Dance
16. SOLDIERS – Egypt For Now
17. DOWN AT THE ZOO – Those Naughty Lumps
18. EUTHENICS – Modern Eon
19. LAUNDERETTE – A Formal Sigh
20. NIGHTLIFE – The Moderates
ディスク2は1980年と81年。全体的にエレ・ポップ色が強くなるが、まだパンクの影を感じる曲もあり、「ポスト・パンク」時代の始まりを感じる。フロック・オブ・シーガルズは、大ヒットした「アイ・ラン」ではなく、一つ前のシングル「テレコミュニケシヨン」を収録(日本ではアルバムタイトルになっていた)。「アイ・ラン」よりもちょっと捻った感じがイギリス的。哀愁エレ・ポップのモダン・イオンのメンバーだったティム・リーヴァー(キーボード)は後にデッド・オア・アライヴのメンバーとなる。ロック色が強いブラックの曲が意外。ブラックといえば日本でもお酒のCMに使われたほどヒットした「ワンダフル・ライフ」のイメージが強いが、収録されている82年リリースのシングル曲はまだバンド時代の曲。このコンピレーションには各曲に解説がつけられているが、当時ブラックのメンバーだったGreg Leylandによるこの曲の解説は興味深い。ブラックが2016年に交通事故で亡くなっていたとは知らなかった。
DISC3
01. REVOLUTIONARY SPIRIT (STEREO MIX) – Wild Swans
02. AFRICAN AND WHITE – China Crisis
03. DON'T LET GO – Pink Industry
04. OBSESSIONS – Passion Polka
05. I’M THINKING OF YOU NOW – Box Of Toys
06. FLAMING SWORD – Care
07. DORIAN GRAY – The Bamboo Fringe
08. SHE'S LOCKED MY LIFE UP IN HER SUITCASE – Steve Lindsey
09. OCEANIC EXPLORERS – Ex Post Facto
10. SOME ASPECTS –Chain Of Command
11. HE'S DEAD ALRIGHT – Ambrose Reynolds
12. ART ON 45 – Royal Family And The Poor
13. THEMES FOR ‘GRIND’ SCENE V – Will Sergeant
14. THROUGH THE GLASS – Shiny Two Shiny
15. BIRDS FLY (WHISPER TO A SCREAM) – Icicle Works
16. A GIGANTIC RAFT IN THE PHILIPPINES – It's Immaterial
17. TOXTETH – Public Disgrace
18. PLAYING FOR TIME – Send No Flowers
19. THINGS HAVE LEARNT TO WALK THAT OUGHT TO CRAWL – The Room
20. SHE KEEPS HER SECRET – The Balcony (Mk I)
21. BURST BALLOONS – The Turquoise Swimming Pools
ポール・シンプソンのワイルド・スワンズにケアー、イッツ・イマテイリアル、全米でもヒットしたアイシクル・ワークスなど1982年と83年の曲を集めた3枚目が私には最もなじみ深い。インディー時代のイッツ・イマテリアルはまだヨッツ時代のようなパワーポップ。久しぶりに聞いたチャイナ・クライシスのデビュー曲がなかなか良い。元ビッグ・イン・ジャパンの2名、ジェーン・カーシーとアンブローズ・レイノルズによる男女デュオ、ピンク・インダストリーの「DON'T LET GO」はこれまた元ビッグ・イン・ジャパンのイアン・ブロウディのプロデュース。ビッグ・イン・ジャパン時代のエキセントリックさはなくなり、アンニュイ感あふれるジェーンのヴォーカルが良い。アンブローズ・レイノルズは、ディスク1収録のデッド・バーズ~ナイトメア・イン・ワックス~フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのメンバーでもあった。スティーヴ・リンゼイが82年にリリースしたソロ・シングルもなかなかよい。彼がデフ・スクールの後に結成したザ・プラネッツの曲がディスク1に収録されているが、この2曲の解説はスティーヴ自身が書いている。
FLAMING SWORD – Care
BIRDS FLY (WHISPER TO A SCREAM) – Icicle Works
SHE'S LOCKED MY LIFE UP IN HER SUITCASE – Steve Lindsey
DISC 4
01. TWO TRIBES – Frankie Goes To Hollywood
02. REASONS TO LIVE – Mr Amir
03. EVERY DAY ANOTHER DREAM – Brenda And The Beach Balls
04. THE FIRST PICTURE OF YOU – The Lotus Eaters
05. MISTY CIRCLES – Dead Or Alive
06. ARE YOU READY FOR THAT FEELING? – Virgin Dance
07. VALLEY OF EVERGREEN – Alternative Radio
08. JIMMY’SGRIN–Margox
09. KARDOMAH CAFÉ (2017 MIX) – The Cherry Boys
10. CONTRASTING STRANGERS – The Light
11. JEAN'S NOT HAPPENING – Pale Fountains
12. IT'S A WONDERFUL LIFE – The Balcony (MK II)
13. WORKING FOR THE MAN – The High Five
14. JAMES WHERE ARE YOU NOW? – The Press Gang
15. MY WAR – Western Promise
16. DON'T CRY DARLING (DADDY HAD TO DROWN THE CAT) – Old Ma Cuxsom And The Soapchoppers
17. HAPPEN – The Rioutous Hues
18. BOMB SUTRA – Mel-O-Tones
19. HELL – Marshmallow Overcoat
ディスク4(1983~85)のオープニングは、PVが話題となって世界的にヒットしたFGTHの「トゥ・トライブス」。デッド・オア・アライヴの「MISTY CIRCLES」は初のメジャーからのシングルで、まだウェイン・ハッセイが在籍していた時代。このディスク4はロータス・イーターズをはじめBrenda And The Beach Balls、ヴァージン・ダンス、ペイル・ファウンテンズ、チェリー・ボーイズ、The Lightなど少しエレ・ポップ味付けをしたネオアコ系の名曲が多い。
TWO TRIBES – Frankie Goes To Hollywood
ARE YOU READY FOR THAT FEELING? – Virgin Dance
DISC 5
01. ALWAYS THE BRIDESMAID – Jegsy Dodd And The Sons Of Harry Cross
02. GET DOWN OVER – The La's
03. HIP AND HER CHEEK ELECTRIC (DEMO) – Barbel
04. A TRICK OF FATE – Magic Carpets
05. DEVIL LAUGHING – Benny Profane
06. THE TALLEST MAN – Jactars
07. DIDN'T WE HAVE A NICE TIME? (AND ALL MY FRIENDS ARE HERE) – The Tempest
08. PRECIOUS LOVE – The Onset
09. PAT NEVIN'S EYES – The Tractors
10. DANCE – Cyclic Amp
11. WHEN YOU'RE IN – The DaVincis
12. WAY OUT – The La's
13. TANTRIC WIPEOUT – The Walking Seeds
14. BURNIN’ AND LOOTIN’ – Ministry Of Love
15. BIG BAD MONEY WORLD – A Game Of Soldiers
16. ONLY IN AMERICA – Exhibit B
17. SONS OF – Thomas Lang
18.COME HOLY SPIRIT- Revolutionary Army Of The Infant Jesus
1986年~1988年のディスク5では、やはりラーズ。02はまだマイク・バッジャー時代の曲で、彼がラーズ脱退後に結成した08 The Onsetともども、解説はマイク自身。ジャズ調のトーマス・ラングを聴くと、このころはシャーデーみたいなジャスっぽい曲もあったなぁと思い出すが、その他はほとんど知らないバンドばかり。曲はヴァラエティに富んでいてなかなか楽しめるが。
『REVOLUTIONARY SPIRIT』の解説には、リヴァプールのバンドの多くがアマゾン・スタジオでレコーディングしたことに触れている。ザ・スミスの『ミート・イズ・マーダー』やエコバニの『オーシャン・レイン』、ウォーターボーイズのシングル「The Whole of the Moon」はこのスタジオでレコーディングされた。チェリーレッドからリリースされた『BIRTH OF A NATION Inevitable Records: An Independent Liverpool 1979-1986』 は、アマゾン・スタジオの設立者にしてInevitable Recordsを運営していたジェレミー・ルイスが選曲したCD3枚組コンピレーション。ワー!ヒート、ナイトメア・イン・ワックス~デッド・オア・アライヴ(コンピレーションのタイトルはデッド・オア・アライヴのEPから)、イッツ・イマテリアルなどのインディー時代のシングルをディスク1と2に、BBCのジョン・ピール・セッションをディスク3に収録している。音質がいまひとつというトラックも少なくないが、貴重なテイクが多く収録されており、なかでもイッツ・イマテリアルがインディー時代に出演したジョン・ピールの音源は神リリース。
DISC1 SINGLES: 1979-1982
1. BETTER SCREAM – Wah! Heat
2. JOE – Wah! Heat
3. BLACK LEATHER – Nightmares In Wax
4. SHANGRI-LA – Nightmares In Wax
5. GIRL SONG – Nightmares In Wax
6. EUTHENICS – Modern Eon
7. WAITING FOR THE CAVALRY – Modern Eon
8. SEVEN MINUTES TO MIDNIGHT… TO BE CONTINUED – Wah! Heat
9. DON'T STEP ON THE CRACKS – Wah! Heat
10. I'M FALLING – Dead Or Alive
11. FLOWERS – Dead Or Alive
12. FACTION – Faction
13. WRONG AGAIN – Faction
14. NUMBER ELEVEN – Dead Or Alive
15. NAMEGAME (LIVE VERSION) – Dead Or Alive
16. A GIANT RAFT – It's Immaterial
17. NO PLACE FOR A PROMPTER –It's Immaterial
18. AFRICAN AND WHITE – China Crisis
19. BE SUSPICIOUS – China Crisis
DISC2 SINGLES: 1983-1986
01. YOUR VOICE – Freeze Frame
02. CONVERSATION PIECE – Freeze Frame
03. I’M THINKING OF YOU NOW – Box Of Toys
04. OLD MAN ROME – Box Of Toys
05. FOXHOLE – Freeze Frame
06. FURNISHED HEART – Freeze Frame
07. PRECIOUS IS THE PEARL – Box Of Toys
08. IT GOES WITHOUT SAYING – Box Of Toys
09. SEEKING PROFESSIONAL ADVICE – Freeze Frame
10. MY 10,000 MILE HOME – Freeze Frame
11. TOUCH – Freeze Frame
12. PERSONAL TOUCH – Freeze Frame
13. JIMMY’S GRIN – Margox
14. DAYTIME ASSASSINS – The Builders
15. BURNING ARROWS – Venus Adore
16. CONTRASTING STRANGERS – The Light
17. MONUMENT – The Light
18. TODAY, TOMORROW – Freeze Frame
19. ONLY A BOY – Freeze Frame
20. PRIDE OF WINNING – The Light
21. TEN MILLION YEARS – The Light
DISC3 PEEL SESSIONS 1981-1983
01. NOWHERE TO NOWHERE – Dead Or Alive
02. RUNNING WILD – Dead Or Alive
03. NUMBER ELEVEN – Dead Or Alive
04. FLOWERS – Dead Or Alive
05. A GIGANTIC RAFT – It's Immaterial
06. IMITATE THE WORM – It's Immaterial
07. WHITE MAN'S HUT – It's Immaterial
08. RAKE – It's Immaterial
09. NUMBER TWELVE – Dead Or Alive
10. UNTITLED – Dead Or Alive
11. MISTY CIRCLES – Dead Or Alive
12. MISTY CIRCLES PT 2 – Dead Or Alive
13. FOX HOLE – Freeze Frame
14. PERSONAL TOUCH – Freeze Frame
15. YOUR VOICE – Freeze Frame
16. TODAY TOMORROW – Freeze Frame
17. PRECIOUS IN THE PEARL – Box Of Toys
18. WHEN DAYLIGHT IS OVER (SUNSET) – Box Of Toys
19. TIME TAKES ME BACK – Box Of Toys
20. THINKING OF YOU NOW – Box Of Toys
BLACK LEATHER – Nightmares In Wax
AFRICAN AND WHITE – China Crisis
Birth Of A Nation - Inevitable Records: An Independent Liverpool 1979-1986
- アーティスト: Va
- 出版社/メーカー: Cherry Red
- 発売日: 2019/04/26
- メディア: CD