Rain Tree Crow レイン・トゥリー・クロウ [デヴィッド・シルヴィアン]
デヴィッド・シルヴィアンの評伝『デヴィッド・シルヴィアン』(クリストファー・ヤング著、邦訳出版は2016年)と、『ミック・カーン自伝』(邦訳出版は2011年)は当然ながら重なる記述が少なくない。二冊を読み比べるのは結構楽しいが、なかでも、『レイン・トゥリー・クロウ』のレコーディングに関する部分は大変面白い。筆法鋭くデヴィッドを批判するミック自身による記述の方が克明で説得力が感じられ、『デヴィッド・シルヴィアン』はデヴィッド自身が書いたものではないがその記述からは『ミック・カーン自伝』への弁明という印象を受ける。
デヴィッド・シルヴィアンによれば、アルバム『レイン・トゥリー・クロウ』は、バンド形態によるインプロヴィゼイションを発展させていった作品だという。そのため完成までにかなりの時間を費やしたことから制作費用も膨れあがり、デヴィッドの持ち出しもかなりあったらしい。『レイン・トゥリー・クロウ』が事実上デヴィッド・シルヴィアンのソロ作品になってしまったのは、経済的な部分を大きく担った彼が主導権を握ったからだろう。ドラムはストイック、ベースに至ってはミック・カーンとはわからないが(彼はフレットレスではなく5弦ベースを使っている)、ミックに関して言うなら、「New Moon at Red Deer Wallow」でのバスクラなどホーン系楽器でのプレイがなかなよい。静謐な中にもイイ意味での緊張感が感じられるのは、ミックが書いている当時のレコーディング状況のなせる業だろうが、元JAPAN組を揃えた必然性は感じられない。
リリース当時の雑誌における新譜紹介では、「見事な傑作」(『ミュージック・マガジン』1991年4月号)とか「正直これ程クオリティの高いものになるとは思っていなかった」(『クロスビート』同)など、おおむね高評価であるが、要は「同窓会的なノリだろうと思って聴いたら、丸ごとデヴィッド・シルヴィアンのソロ作品で、これまで通りのアーティスティックな作品だった」ということである(日本盤のオビや雑誌の広告にも「伝説復活!」という文字が躍っている)。これまでキッチリと作り込んできたデヴィッドが、ホルガー・シューカイとのコラボを経て「即興演奏でつくりあげる」という方法論を選択したことは新しかったのだろうが、完成したのは「安定のデヴィッド・ワールド」な作品であった。
当初、マイケル・ブルック(デヴィッド・シルヴィアンのツアーに同行したカナダ出身のギタリスト)が、次いでデヴィッド・トーンがプロデュースを行う予定だったものの結局二人ともクビになったという。ミックの文章からは、デヴィッド・トーンの降板に対する無念さがにじみ出ている。このアルバムの完成を待たずにデヴィッド・トーンの『DoorX』のレコーディングに参加したミック・カーンは、「正直、同じ時期に進行したこの二つのプロジェクトはいろんな部分で雲泥の差があった。」と述懐している(『ミック・カーン自伝』311㌻)。
デヴィッド・シルヴィアンによれば、アルバム『レイン・トゥリー・クロウ』は、バンド形態によるインプロヴィゼイションを発展させていった作品だという。そのため完成までにかなりの時間を費やしたことから制作費用も膨れあがり、デヴィッドの持ち出しもかなりあったらしい。『レイン・トゥリー・クロウ』が事実上デヴィッド・シルヴィアンのソロ作品になってしまったのは、経済的な部分を大きく担った彼が主導権を握ったからだろう。ドラムはストイック、ベースに至ってはミック・カーンとはわからないが(彼はフレットレスではなく5弦ベースを使っている)、ミックに関して言うなら、「New Moon at Red Deer Wallow」でのバスクラなどホーン系楽器でのプレイがなかなよい。静謐な中にもイイ意味での緊張感が感じられるのは、ミックが書いている当時のレコーディング状況のなせる業だろうが、元JAPAN組を揃えた必然性は感じられない。
リリース当時の雑誌における新譜紹介では、「見事な傑作」(『ミュージック・マガジン』1991年4月号)とか「正直これ程クオリティの高いものになるとは思っていなかった」(『クロスビート』同)など、おおむね高評価であるが、要は「同窓会的なノリだろうと思って聴いたら、丸ごとデヴィッド・シルヴィアンのソロ作品で、これまで通りのアーティスティックな作品だった」ということである(日本盤のオビや雑誌の広告にも「伝説復活!」という文字が躍っている)。これまでキッチリと作り込んできたデヴィッドが、ホルガー・シューカイとのコラボを経て「即興演奏でつくりあげる」という方法論を選択したことは新しかったのだろうが、完成したのは「安定のデヴィッド・ワールド」な作品であった。
Rain Tree Crow - Blackwater
当初、マイケル・ブルック(デヴィッド・シルヴィアンのツアーに同行したカナダ出身のギタリスト)が、次いでデヴィッド・トーンがプロデュースを行う予定だったものの結局二人ともクビになったという。ミックの文章からは、デヴィッド・トーンの降板に対する無念さがにじみ出ている。このアルバムの完成を待たずにデヴィッド・トーンの『DoorX』のレコーディングに参加したミック・カーンは、「正直、同じ時期に進行したこの二つのプロジェクトはいろんな部分で雲泥の差があった。」と述懐している(『ミック・カーン自伝』311㌻)。
デイヴィッド・シルヴィアン (ele-king books)
- 出版社/メーカー: Pヴァイン
- 発売日: 2016/03/24
- メディア: 単行本
SNOW BORNE SORROW / NINE HORSES [デヴィッド・シルヴィアン]
小山田圭吾とデヴィッド・シルヴィアンが共演したのが、教授との「ワールド・シチズン」だったというのがなんともブラ....という話はさて措き、ナイン・ホーセスである。15年前の2006年にリリースされたこのアルバムが傑作だと思っているのは私だけだと思っていたところ、偶然にアマゾンのレビューを目にしたら意外に高評価多でちょっとビックリだった。
私がデビシルの作品で一番好きなのは『シークレッツ・オブ・ザ・ビーハイヴ』(1987年)だが、彼がスティーヴ・ジャンセンと組んだナイン・ホーセスの『スノー・ボーン・ソロウ』はそれに劣らず好きなアルバム。両者はデビシルの美意識に裏打ちされた歌モノという点では共通しているが、アコースティック色が強い『シークレッツ~』に対し、本作はクールなジャジーさと隠し味的なエレクトロニクスのブレンド具合が絶妙な作品だ。『シークレッツ~』は歌と曲の印象が強いため、BGMとして聴き流すことが難しい作品だったが、ギリギリポップなこのアルバムは仕事しながら流すアルバムとしてもフィットする。
Nine horses - Wonderful World
このアルバムがリリースされた当時のインタビューによれば、ナイン・ホーセスは2つのプロジェクトが融合したものだという(https://www.barks.jp/news/?id=1000020067)。異なるプロジェクトが融合した作品とはいえ、全体を通した空気感は一貫している。インタビューにもあるが、「統一するのに時間がかかった」のも宜なるかな。
時おりはいるスティーナ・ノルデンスタムの、ちょっとアンニュイなヴォーカルもよい。スウェーデン出身の彼女はヴァンゲリスの作品にも参加しており、アルヴェ・ヘンリクセンのトランペットと彼女のウィスパー・ヴォイスはともにちょっと退廃的で、ピッタリとハマっている。両者はデヴィッドの声とも相性抜群。これに薄めのエレクトロニカを被せたサウンドは「ギリギリのポップさ」という感じで、なんとも耳に馴染む。
Nine Horses - Atom And Cell
Nine Horses - Recording Sessions
4曲入りシングル「ワンダフル・ワールド」には、アルバム未収の「When Monday Comes Around」という曲が収録されているが、デヴィッドの声が印象深い佳曲である。
Nine Horses - When Monday Comes Around
続いてリリースされた『マネー・フォー・オール』は、リミックスや別ヴァージョン等を収録した8曲入りのミニ・アルバム。リミックスは原曲の良さを生かしながらもクールな躍動感が感じられる仕上がりとなっており、暑い夏の夜によく聴いた。
Nine Horses - Wonderful World (Burnt Friedman Remix)
DAVID SYLVIAN & ROBERT FRIPP [デヴィッド・シルヴィアン]
傑作『Secrets of the Beehive』(87年)の後ににリリースされたのは、元カンのホルガー・シューカイとのコラボ2枚(88年の『Plight & Premonition』と翌年の『Flux + Mutability』)。この2枚を聴いて、あまりの退屈さに「もうこの人にはやりたいことがなくなったのではないだろうか」と思ったものである。しかし91年に元JAPANのメンバーが集まったユニット、レイン・トゥリー・クロウのアルバムは、「おおっ、まだやってくれるじゃないか!」と思わせる、聴き応え十分の作品だった。そのレイン・トゥリー・クロウの次にリリースされたのがキング・クリムゾンのロバート・フリップとのコラボであったから、吃驚仰天。当時プレイヤー持ってなかったにもかかわらず、来日公演のレーザーディスクまで買ってしまった。
The First Day / David Sylvian & Robert Fripp
01. God's Monkey
02. Jean The Birdman
03. Firepower
04. Brightness Falls
05. 20th Century Dreaming ( A Shaman's Song )
06. Darshan ( The Road To Graceland )
07. Bringing Down The Light
このユニット以前、フリップはシルヴィアンのミニ・アルバム『Alchemy: An Index of Possibilities(邦題:錬金術)』(85年)と翌年にリリースされた2枚組アルバム『Gone to Earth』にもクレジットされていたので、この二人が組んだというのは頷けることではあった。しかし、流れてきたサウンドはまったくの予想外。アンビエント系の静かな音を予想していたが、上品なアグレッシヴさとでも言おうか、ロックのダイナミズムを感じさせる作品に仕上がっている。シルヴィアンのファンとクリムゾンのファン、双方からよい評価はあまり目にしないが(かといって否定的な評価も目にしない)、才能ある二人の個性がうまく融合した傑作。二人のイメージにはそぐわない笑顔のジャケットがそのことをよく物語っているように思われる。
このアルバムからは「Jean The Birdman」と「Darshan」の2曲がシングルとしてリリースされた。「Jean The Birdman」は、分売のCD1とCD2をまとめると、セットが完成するという90年代のCDシングルによく見かけたセット。プリファブ・スプラウトなどで見たことがある。
Jean The Birdman(part1) (Virgin : VSCDG-1462)
01. Jean The Birdman
02. Earthbound ( Starblind )
03. Endgame
Jean The Birdman(part2) (Virgin : VSCDT-1462)
01. Jean The Birdman
02. Gone To Earth
03. Tallow Moon
04. Dark Water
Darshan (Virgin : STLCD1)
01. Darshan ( The Road To Graceland ) [ Translucent Remix by The Grid ]
02. Darshana [ Re-constructed by The Future Sound Of London ]
03. Darshan ( The Road To Graceland )
「Earthbound」はクリムゾンを思い浮かべるタイトルだが、シルヴィアンによる明るめのアコギ弾き語りで、後半はアンビエントなフリッパートロニクス。前半と後半のあまりの違いにはちょっと違和感を感じる。「無理矢理つなげた」感じ。 「Endgame」も軽快でアコースティックな曲で、スティール・ギターの音が曲全体に明るさを加えている。「Gone To Earth」はシルヴィアンのソロ・アルバムに収められていた曲。フリップ参加の曲ということで収録されたのだろう。英語版のWikipediaには「new version recorded during the First-Day-Sessions」とあるが、どこが違うのかよくわからない。「Tallow Moon」はシルヴィアンのソロ作品で、ホルガー・シューカイとのコラボ作品と似た雰囲気。これに対して「Dark Water」はフリップのソロ作品で、アンビエントなフリッパートロニクス。そして3枚目「Darshan」は、リミックス。リミックス2曲はどちらもあまり面白くない。特に「Re-constructed by The Future Sound Of London」は、なんだかよくわからない曲になってしまっていて意味不明。
シルヴィアン&フリップは、アルバムのリリース前年の92年とリリース後の93年にツアーを行っている。ツアー日程とセットリスト。
https://www.setlist.fm/setlists/david-sylvian-and-robert-fripp-2bd6b4aa.html
92年の「The First Day Tour '92」は、シルヴィアン&フリップ、それにアルバムのレコーディングにも参加したトレイ・ガンの3人でドラムレス。3月の寺田倉庫がスタートで、「Jean The Birdman」なども演奏されてはいるがライヴ向きではない曲も多く、またドラムレスということもあり聞く側としてはつらい部分がある。JAPAN時代の曲「Ghosts」でひときわ拍手が大きくなるのは(日本では演奏されていないがイタリアではほとんどの公演のアンコールで演奏されている)、そのことを物語っているように思われる。この「The First Day Tour '92」で披露された「The First Day」は、アルバムのタイトルになりながらも結局収録されなかった。
Sylvian & Fripp Live in Tokyo '92 (Hickory H-1102) 92年3月7日、渋谷公会堂
Disc 1
01ー05. California Guitar Trio (Opening Act)
06. Soundscape 1
07. Soundscape 2
08. Firepower
09. Ascension / Under Ingrid's Wheels
10. Jean the Birdman
Disc 2
01. 20th Century Dreaming
02. The House in Which We Live
03. Protopunk
04. Blinding Light of Heaven
05. Urban Landscape
06. Introduction
07. Soundscape 3
08. Jean the Birdman
Sylvian & Fripp Live in Italy & Japan '92 (Hickory H-1103)
01. Firepower
02. Under Ingrid's Wheels / Medley
03. The First Day
04. Jean the Birdman
05. 20th Century Dreaming
06. The House in Which We Live
07. Blinding Light of Heaven
08. Ghosts
09. Under Ingrid's Wheels / Medley
10. The First Day
11. The House in Which We Live
01~08は92年6月24日のジェノヴァ(イタリア)公演、09~11は同3月5日の新宿厚生年金会館。
The First Day (9 20305-2)
01. Soundscape
02. Firepower
03. Ascension
04. Song
05. Subterranean Burn
06. First Day
07. Jean The Birdman
08. Splatology
09. Mood #1
10. Protopunk
11. Blinding Light Of Heaven
12. Urban Landscape
「Recorded live in March 1992.」とだけのクレジットで録音場所は不明だが、上のアイテムの後半と同じく3月5日の新宿厚生年金会館でのステージだと思われる。04「Song」は、「Under Ingrid's Wheels」である。
http://web.archive.org/web/20071208114355/http://members.aol.com/kingcrimsonlive/kclive42.htm
アルバムリリース後の93年には、10月から五反田を皮切りに12月のロンドン公演までの「The Road to Graceland Tour '93」がスタート。「The First Day Tour '92」は日本とイタリアのみのツアーであったが、今回はアメリカやイタリア以外のヨーロッパも含んだ大規模なツアーとなった。シルヴィアン、フィリップ、トレイ・ガンの3人に加え、4ADからピーター・ヌートンとのコラボ作品をリリースしていたマイケル・ブルック(ギター)と、「ブロウクン・ウィングス」「キリエ」という2曲連続の全米No.1ヒットを生んだMR.ミスターのメンバーだったパット・マステロット(ドラム)が参加。音の厚みと完成度は格段に向上した。このツアーのセットリストで特に注目は、フリップがピーター・ガブリエルと共作した「Exposure」が演奏されていることである。どちらかというとフリップ卿のヴァージョンよりも、ピーガブのヴァージョンに近いイメージで演奏されている。シルヴィアンがヴォーカルなので当然だが。シルヴィアンがレイン・トゥリー・クロウの「Every Colour You Are」を入れたことに対抗して、「ならオレも旧友との共作をいれようか」とでも思ったのだろうか。
Sylvian & Fripp Live in Yokohama '93 (Hickory H-1104)
Disc 1
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Jean the birdman
05. Firepower
06. Damage
07. Exposure
08. Gone to Erath
09. 20th Century Dreaming
10. Wave
11. River Man
12. Darshan
Disc 2
01. The First Day
02. Blinding Light of Heaven
03. School of Thought
04. Disposable Love
05. Sports Men
06. Key
07. It's All Too Much
08. Connection
09. Drip Dry Eyes
10. Flashback
11. H
12. Cue
Disc1~Disc2の02までは10月19日の横浜公演。Disc2の03以降はボーナス・トラックで、82年7月26日新宿厚生年金会館における高橋幸宏のライヴから。ラストのYMOナンバーではシルヴィアンをはじめスティーヴ・ジャンセン、 細野晴臣、坂本龍一、土屋昌巳、立花ハジメ、鈴木慶一、故加藤和彦の豪華ゲストが全員参加。
The Road To Graceland 1993 (DSRF211/2)
Disc1
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Firepower
05. Jean The Birdman
06. Damage
07. Exposure
08. Gone To Earth
09. 20th Century Dreaming - A Shaman's Song
10. Wave
11. Riverman
12. Darshan - The Road To Graceland
Disc2
01. The First Day
02. Taking The Veil
03. Michael Brook Solo Section
04-8. Michael Brook Solo Section
19月21日の大阪公演(フェスティバルホール)を収録。
このツアーからは、『Damege』というライヴアルバムと、『Live In Japan』というビデオがオフィシャルでリリースされている。『Damege』には2つのヴァージョンがあり、一つは94年にフリップのプロデュースでリリースされた作品で、もう一つは2002年にシルヴィアンのプロデュースでリリースされた作品である。曲順は異なるものの音源はどちらも同一で、クレジットには93年12月の公演とある。したがって12月1日のマンチェスター、2日のグラスゴー、4日&5日のロンドン二日連続のうちのいずれかだが、レコーディングの準備を考えれば、ロンドン公演である可能性が高い。
ミックス面での違いは、シルヴィアン版はフリップ版に比べてオーディエンスの声が抑えられ、ライヴとしての臨場感は低い。また内容面では、シルヴィアン版はフリップ版に収録されていた「Darshan」が外され、代わりに「Jean The Birdman」が収録された。フリップ版と比べるとギターの音が控えめになっており、メロディーがはっきりした歌モノを入れたことからヴォーカリストとして聴かせることを主眼に置いたことがわかる。「Exposure」を入れてもよかったと思うが。
Damage (produced by Robert Fripp)
01. Damage
02. God's Monkey
03. Brightness Falls
04. Every Colour You Are
05. Firepower
06. Gone To Earth
07. 20th Century Dreaming (A Shaman's Song)
08. Wave
09. Riverman
10. Darshan (The Road To Graceland)
11. Blinding Light Of Heaven
12. The First Day
Damage (produced by David Sylvian)
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Color You Are
04. Jean The Birdman
05. Firepower
07. Gone To Earth
06. Damage
08. 20th Century Dreaming (A Shaman's Song)
09. Wave
10. Riverman
11. Blinding Light Of Heaven
12. The First Day
ビデオ『Live In Japan』は、95年にVHSとレーザーディスクでリリースされた。収録されているのは、10月26日の中野サンプラザ公演。時々モノクロになったりコラージュがはいったりと、様々なエフェクト処理がなされているが、ハッキリ言って邪魔だ。「Every Colour You Are」でのフリッパートロニクスと、「Exposure」冒頭でのシルヴィアンのキーボードがいい感じ。ロシア版『Damage』にこの映像のボーナスDVDがついたアイテムがあったが、ブートレッグのようだ。
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Jean The Birdman
05. Firepower
06. Damage
07. Exposure
08. Gone To Earth
09. 20th Century Dreaming
10. Wave
11. Riverman
12. Darshan
13. The First Day
14. Blinding Light Of Heaven
92年・93年の両ツアーで演奏されながら、『First Day』に収録されなかった「Blinding Light Of Heaven」だが、シルヴィアンの2枚組ベスト盤『Everything And Nothing 』(2000年) のボーナスCDに収録された。ワイルドなフリップのソロ、ブイブイと唸るトレイ・ガンのスティックがなかなかよい。オフィシャルに収録されなかったのが不思議なほどイイ曲だ。
The First Day / David Sylvian & Robert Fripp
01. God's Monkey
02. Jean The Birdman
03. Firepower
04. Brightness Falls
05. 20th Century Dreaming ( A Shaman's Song )
06. Darshan ( The Road To Graceland )
07. Bringing Down The Light
このユニット以前、フリップはシルヴィアンのミニ・アルバム『Alchemy: An Index of Possibilities(邦題:錬金術)』(85年)と翌年にリリースされた2枚組アルバム『Gone to Earth』にもクレジットされていたので、この二人が組んだというのは頷けることではあった。しかし、流れてきたサウンドはまったくの予想外。アンビエント系の静かな音を予想していたが、上品なアグレッシヴさとでも言おうか、ロックのダイナミズムを感じさせる作品に仕上がっている。シルヴィアンのファンとクリムゾンのファン、双方からよい評価はあまり目にしないが(かといって否定的な評価も目にしない)、才能ある二人の個性がうまく融合した傑作。二人のイメージにはそぐわない笑顔のジャケットがそのことをよく物語っているように思われる。
このアルバムからは「Jean The Birdman」と「Darshan」の2曲がシングルとしてリリースされた。「Jean The Birdman」は、分売のCD1とCD2をまとめると、セットが完成するという90年代のCDシングルによく見かけたセット。プリファブ・スプラウトなどで見たことがある。
Jean The Birdman(part1) (Virgin : VSCDG-1462)
01. Jean The Birdman
02. Earthbound ( Starblind )
03. Endgame
Jean The Birdman(part2) (Virgin : VSCDT-1462)
01. Jean The Birdman
02. Gone To Earth
03. Tallow Moon
04. Dark Water
Darshan (Virgin : STLCD1)
01. Darshan ( The Road To Graceland ) [ Translucent Remix by The Grid ]
02. Darshana [ Re-constructed by The Future Sound Of London ]
03. Darshan ( The Road To Graceland )
「Earthbound」はクリムゾンを思い浮かべるタイトルだが、シルヴィアンによる明るめのアコギ弾き語りで、後半はアンビエントなフリッパートロニクス。前半と後半のあまりの違いにはちょっと違和感を感じる。「無理矢理つなげた」感じ。 「Endgame」も軽快でアコースティックな曲で、スティール・ギターの音が曲全体に明るさを加えている。「Gone To Earth」はシルヴィアンのソロ・アルバムに収められていた曲。フリップ参加の曲ということで収録されたのだろう。英語版のWikipediaには「new version recorded during the First-Day-Sessions」とあるが、どこが違うのかよくわからない。「Tallow Moon」はシルヴィアンのソロ作品で、ホルガー・シューカイとのコラボ作品と似た雰囲気。これに対して「Dark Water」はフリップのソロ作品で、アンビエントなフリッパートロニクス。そして3枚目「Darshan」は、リミックス。リミックス2曲はどちらもあまり面白くない。特に「Re-constructed by The Future Sound Of London」は、なんだかよくわからない曲になってしまっていて意味不明。
シルヴィアン&フリップは、アルバムのリリース前年の92年とリリース後の93年にツアーを行っている。ツアー日程とセットリスト。
https://www.setlist.fm/setlists/david-sylvian-and-robert-fripp-2bd6b4aa.html
92年の「The First Day Tour '92」は、シルヴィアン&フリップ、それにアルバムのレコーディングにも参加したトレイ・ガンの3人でドラムレス。3月の寺田倉庫がスタートで、「Jean The Birdman」なども演奏されてはいるがライヴ向きではない曲も多く、またドラムレスということもあり聞く側としてはつらい部分がある。JAPAN時代の曲「Ghosts」でひときわ拍手が大きくなるのは(日本では演奏されていないがイタリアではほとんどの公演のアンコールで演奏されている)、そのことを物語っているように思われる。この「The First Day Tour '92」で披露された「The First Day」は、アルバムのタイトルになりながらも結局収録されなかった。
Sylvian & Fripp Live in Tokyo '92 (Hickory H-1102) 92年3月7日、渋谷公会堂
Disc 1
01ー05. California Guitar Trio (Opening Act)
06. Soundscape 1
07. Soundscape 2
08. Firepower
09. Ascension / Under Ingrid's Wheels
10. Jean the Birdman
Disc 2
01. 20th Century Dreaming
02. The House in Which We Live
03. Protopunk
04. Blinding Light of Heaven
05. Urban Landscape
06. Introduction
07. Soundscape 3
08. Jean the Birdman
Sylvian & Fripp Live in Italy & Japan '92 (Hickory H-1103)
01. Firepower
02. Under Ingrid's Wheels / Medley
03. The First Day
04. Jean the Birdman
05. 20th Century Dreaming
06. The House in Which We Live
07. Blinding Light of Heaven
08. Ghosts
09. Under Ingrid's Wheels / Medley
10. The First Day
11. The House in Which We Live
01~08は92年6月24日のジェノヴァ(イタリア)公演、09~11は同3月5日の新宿厚生年金会館。
The First Day (9 20305-2)
01. Soundscape
02. Firepower
03. Ascension
04. Song
05. Subterranean Burn
06. First Day
07. Jean The Birdman
08. Splatology
09. Mood #1
10. Protopunk
11. Blinding Light Of Heaven
12. Urban Landscape
「Recorded live in March 1992.」とだけのクレジットで録音場所は不明だが、上のアイテムの後半と同じく3月5日の新宿厚生年金会館でのステージだと思われる。04「Song」は、「Under Ingrid's Wheels」である。
http://web.archive.org/web/20071208114355/http://members.aol.com/kingcrimsonlive/kclive42.htm
アルバムリリース後の93年には、10月から五反田を皮切りに12月のロンドン公演までの「The Road to Graceland Tour '93」がスタート。「The First Day Tour '92」は日本とイタリアのみのツアーであったが、今回はアメリカやイタリア以外のヨーロッパも含んだ大規模なツアーとなった。シルヴィアン、フィリップ、トレイ・ガンの3人に加え、4ADからピーター・ヌートンとのコラボ作品をリリースしていたマイケル・ブルック(ギター)と、「ブロウクン・ウィングス」「キリエ」という2曲連続の全米No.1ヒットを生んだMR.ミスターのメンバーだったパット・マステロット(ドラム)が参加。音の厚みと完成度は格段に向上した。このツアーのセットリストで特に注目は、フリップがピーター・ガブリエルと共作した「Exposure」が演奏されていることである。どちらかというとフリップ卿のヴァージョンよりも、ピーガブのヴァージョンに近いイメージで演奏されている。シルヴィアンがヴォーカルなので当然だが。シルヴィアンがレイン・トゥリー・クロウの「Every Colour You Are」を入れたことに対抗して、「ならオレも旧友との共作をいれようか」とでも思ったのだろうか。
Sylvian & Fripp Live in Yokohama '93 (Hickory H-1104)
Disc 1
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Jean the birdman
05. Firepower
06. Damage
07. Exposure
08. Gone to Erath
09. 20th Century Dreaming
10. Wave
11. River Man
12. Darshan
Disc 2
01. The First Day
02. Blinding Light of Heaven
03. School of Thought
04. Disposable Love
05. Sports Men
06. Key
07. It's All Too Much
08. Connection
09. Drip Dry Eyes
10. Flashback
11. H
12. Cue
Disc1~Disc2の02までは10月19日の横浜公演。Disc2の03以降はボーナス・トラックで、82年7月26日新宿厚生年金会館における高橋幸宏のライヴから。ラストのYMOナンバーではシルヴィアンをはじめスティーヴ・ジャンセン、 細野晴臣、坂本龍一、土屋昌巳、立花ハジメ、鈴木慶一、故加藤和彦の豪華ゲストが全員参加。
The Road To Graceland 1993 (DSRF211/2)
Disc1
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Firepower
05. Jean The Birdman
06. Damage
07. Exposure
08. Gone To Earth
09. 20th Century Dreaming - A Shaman's Song
10. Wave
11. Riverman
12. Darshan - The Road To Graceland
Disc2
01. The First Day
02. Taking The Veil
03. Michael Brook Solo Section
04-8. Michael Brook Solo Section
19月21日の大阪公演(フェスティバルホール)を収録。
このツアーからは、『Damege』というライヴアルバムと、『Live In Japan』というビデオがオフィシャルでリリースされている。『Damege』には2つのヴァージョンがあり、一つは94年にフリップのプロデュースでリリースされた作品で、もう一つは2002年にシルヴィアンのプロデュースでリリースされた作品である。曲順は異なるものの音源はどちらも同一で、クレジットには93年12月の公演とある。したがって12月1日のマンチェスター、2日のグラスゴー、4日&5日のロンドン二日連続のうちのいずれかだが、レコーディングの準備を考えれば、ロンドン公演である可能性が高い。
ミックス面での違いは、シルヴィアン版はフリップ版に比べてオーディエンスの声が抑えられ、ライヴとしての臨場感は低い。また内容面では、シルヴィアン版はフリップ版に収録されていた「Darshan」が外され、代わりに「Jean The Birdman」が収録された。フリップ版と比べるとギターの音が控えめになっており、メロディーがはっきりした歌モノを入れたことからヴォーカリストとして聴かせることを主眼に置いたことがわかる。「Exposure」を入れてもよかったと思うが。
Damage (produced by Robert Fripp)
01. Damage
02. God's Monkey
03. Brightness Falls
04. Every Colour You Are
05. Firepower
06. Gone To Earth
07. 20th Century Dreaming (A Shaman's Song)
08. Wave
09. Riverman
10. Darshan (The Road To Graceland)
11. Blinding Light Of Heaven
12. The First Day
Damage (produced by David Sylvian)
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Color You Are
04. Jean The Birdman
05. Firepower
07. Gone To Earth
06. Damage
08. 20th Century Dreaming (A Shaman's Song)
09. Wave
10. Riverman
11. Blinding Light Of Heaven
12. The First Day
ビデオ『Live In Japan』は、95年にVHSとレーザーディスクでリリースされた。収録されているのは、10月26日の中野サンプラザ公演。時々モノクロになったりコラージュがはいったりと、様々なエフェクト処理がなされているが、ハッキリ言って邪魔だ。「Every Colour You Are」でのフリッパートロニクスと、「Exposure」冒頭でのシルヴィアンのキーボードがいい感じ。ロシア版『Damage』にこの映像のボーナスDVDがついたアイテムがあったが、ブートレッグのようだ。
01. God's Monkey
02. Brightness Falls
03. Every Colour You Are
04. Jean The Birdman
05. Firepower
06. Damage
07. Exposure
08. Gone To Earth
09. 20th Century Dreaming
10. Wave
11. Riverman
12. Darshan
13. The First Day
14. Blinding Light Of Heaven
92年・93年の両ツアーで演奏されながら、『First Day』に収録されなかった「Blinding Light Of Heaven」だが、シルヴィアンの2枚組ベスト盤『Everything And Nothing 』(2000年) のボーナスCDに収録された。ワイルドなフリップのソロ、ブイブイと唸るトレイ・ガンのスティックがなかなかよい。オフィシャルに収録されなかったのが不思議なほどイイ曲だ。
BRILLANT TREES / DAVID SYLVIAN [デヴィッド・シルヴィアン]
ブリリアント・トゥリーズ / デヴィッド・シルヴィアン
01. プリング・パンチズ
02. 詩人の血
03. ノスタルジア
04. レッド・ギター
05. 嘆きの壁
06.よどみの中に
07. 輝ける樹木
JAPAN解散後、デヴィッド・シルヴィアンの1stソロ・アルバム。後期JAPANから感じられたストイックな部分をさらに推し進めたと感じられるが、シンセを多用した後期JAPANとは一転して、アコ-スティックな楽器を主体とした音作り。とりわけこの作品で大きな役割を果たしているのは、トランペットのラッセル・ミルズと、ノイズのホルガー・シューカイ。
アナログ盤は「嘆きの壁」以降がB面であり、シングル・カットされた「レッド・ギター」で終わるA面とはずいぶんと印象が異なる。最初はB面の印象が薄く感じたが、何度も聴いているとB面がもつ霧の中にいるような不思議な雰囲気が心地よく感じられる。とくに「嘆きの壁」におけるホルガー・シューカイのラジオ音源コラージュは、このアルバム全体の中でも耳に残る部分だ。
以後の作品では、内省的かつ自己探求的な音づくりをますます追求し、インスト曲も増えていく。しかしこのアルバムはまだ「歌で聴かせる」部分も多く、その意味では「声も音も両方とも楽しめる」作品である。オープニング「プリング・パンチズ」では、JAPAN時代を彷彿とさせるファンク的なリズムも聴くことができるが、ラスト・ナンバー「輝ける樹木」(後半は「シャーマンの言葉」的だ)は次作『遙かなる大地へ』に通じる静謐さを感じさせる。JAPANからの過渡期としてもきわめて興味深い作品。