SSブログ

Original Mirrors イアン・ブロウディがスティーヴ・アレンとともに結成したユニット [ライトニング・シーズ]

IMG_0848.jpg


 イアン・ブロウディというと「あのビッグ・イン・ジャパンで.....」という話からスタートするのは当然だが、BIJはEPとシングルのみのリリース。なので、彼のミュージシャンとしての本格的な活動は、元デフ・スクールのスティーヴ・アレン(デフ・スクール時代は、エンリコ・キャデラックと名乗っていた)と結成したオリジナル・ミラーズからである。オリジナル・ミラーズ~ケアー~ライトニング・シーズと聴いていくと、イアン・ブロウディの音楽的引き出しの多さがよくわかる。

 オリジナル・ミラーズは『Original Mirrors』(1980)と『Heart-Twango & Raw-Beat』(1981)の2枚のアルバム(いずれもマーキュリーから)を残した。イアンとスティーヴ以外のメンバーとして、初期XTCのキーボード、ジョナサン・パーキンスや、以前トーク・トークの記事でも触れた腕利きベーシストのフィル・スポルディング(GTR~マイク・オールドフィールド・バンド)、それにイギリスの国民的バンド、スティタス・クォーのメンバーとして1985年のライヴ・エイドにも出演したドラマー、ピート・キルヒャーも在籍していた。それぞれに結構な腕利きばかりである。

Original Mirrors - Boys Cry



 『Heartbeat: The Best Of Original Mirrors』(1996)は、「The Best Of」と銘打っているが、2枚のオリジナル・アルバムに収録されていた全20曲を収録した2イン1CDである。残念ながらラスト・シングル「20,000 Dreamers」は収録されていない。2作ともイアンのギターとスティーヴのヴォーカルを全面に出した、ちょっとヒネったパワー・ポップ。若きエネルギーがストレートに伝わってくるサウンドには、後のライトニング・シーズでのドリーミーな雰囲気は感じられないが、時折はいるコーラスワークやシンセの使い方などのアレンジと、キャッチーなメロディーのセンスは流石といったところ。オリジナル・ミラーズと同時期にファースト・アルバムをリリースした、同じくリヴァプールのヨッツ(Yachts:イッツ・イマテリアル~クリスチャンズに関わったヘンリー・プリーストマンのバンドで、シングルのプロデューサーは元デフ・スクールのクライヴ・ランガーだった)に近いものを感じる。ヨッツのファースト・アルバムとともに、パンクからニュー・ウェーヴへの過渡期を象徴するような作品。


 

Original Mirrors/Heart, Twa

Original Mirrors/Heart, Twa

  • アーティスト: Original Mirrors
  • 出版社/メーカー: Mercury
  • 発売日: 1996/05/31
  • メディア: CD



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

Jeopardy / The Sound ザ・サウンドのファースト・アルバム [ザ・サウンド]

IMG_0846.jpg

 ザ・サウンドは初期2枚のアルバムをコロヴァからリリースしたこともあり、当時はエコー&ザ・バニーメンと比較されることもあったが、人気はエコバニ遠く及ばなかった。バンド解散後にはフロントマンのエイドリアン・ボーランドが列車に飛び込んで自殺するということもあり、今では「不遇な悲劇のバンド」の文脈で語られることが多い。しかし音楽のクオリティ面ではエコバニに勝るとも劣らず、UKニュー・ウェーヴ/ポスト・パンクの至宝(と僕は思っている)である。
 1980年にリリースされたファースト・アルバム『Jeopardy』は、ジョイ・ディヴィジョンからの影響が強く感じられる音づくり。確かにオリジナリティという点では物足りないが、イアン・カーティスに比べるとエモショーナルなエイドリアン・ボーランドのヴォーカルと、緩急織り交ぜた巧みなアレンジとが相まって、デビュー作とは思えない完成度である。2枚目『フロム・ザ・ライオンズ・マウス』、3枚目『オール・フォール・ダウン』といった傑作の布石として、その後の活躍を予感させる秀作。"We will wait for the night , We will wait "という内ジャケに印刷されたフレーズが、しっくりくる。

The sound - I can't escape myself


The Sound - Unwritten Law


Night Versus Day




Jeopardy

Jeopardy

  • アーティスト: Sound
  • 出版社/メーカー: 1972
  • 発売日: 2012/01/17
  • メディア: CD



Jeopardy/from the Lion's Mouth

Jeopardy/from the Lion's Mouth

  • アーティスト: Sound
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2014/05/13
  • メディア: CD



Jeopardy [12 inch Analog]

Jeopardy [12 inch Analog]

  • アーティスト: Sound
  • 出版社/メーカー: 1972
  • 発売日: 2012/06/12
  • メディア: LP Record



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

The Gist Complete : Another Way Of Being ザ・ジスト [ラフ・トレード・レコード]

IMG_0842.jpg


ヤング・マーブル・ジャイアンツのスチュアート・モクサムが、YMG解散前にスタートさせていたプロジェクトがザ・ジスト。YMG解散後は弟のフィリップ・モクサムも加わり、ラフ・トレードから『Embrace The Herd』(1983)をリリースした。その後アルバム未収曲などを集めたコンピレーション『Holding Pattern』(2017)、『Interior Windows』(2020)がリリースされ、昨年にはこれらを集めた2枚組『Another Way Of Being』が日本オンリー(ハヤブサ・ランディグス)でリリースされた。これはザ・ジストの音源はほ網羅されているスグレものだ。

 YMGの雰囲気を継承しつつも、テクノ・サウンドやラテン風、レゲエまで取り入れた明るいサウンドが彼らの持ち味。シングル「Love At First Sight」などスチュアートのヴォーカルも悪くないが、様々な女性ヴォーカルをゲストに迎えた楽曲群がそれぞれに魅力的。 なかでもウェンディ・スミス(プリファブ・スプラウトのウェンディとは同名異人で、ウィークエンドのジャケットなどを描いたイラストレーター)がヴォーカルの「Public Girls」は、「帰ってきたYMG」という感じで、なかなかよい。「Clean Bridges」はシンプルな女性コーラスだが、アリソン・スタットンも参加している。その他、デビー・プリッチャード(ウィークエンド~アリソン・スタットン&スパイクのスパイクと、ボム&ダガーやスパイク&デビーで活動していた)もヴォーカルで参加している(「Stones And Sunlight」「Assured Energy」)。
 解散後にリリースされた『Holding Pattern』(2017)、『Interior Windows』(2020)を収録したCD2を聴くと、モクサム兄弟の多様な音楽性が垣間見えてなかなか面白い。凡庸なテイクもあり散漫な印象も受けるが、ネオアコ系の曲はどれもよい。「Public Girls」のデモなどは、公式ヴァージョンよりもこちらの雰囲気が僕は好きだ。

The Gist - Public Girls


The Gist - Clean Bridges

The Gist Stones And Sunlight #2




THE GIST ザ・ジスト/The Gist Complete:Another Way Of Being (解説:中村慶 対訳:多屋澄礼)国内盤 2CD

THE GIST ザ・ジスト/The Gist Complete:Another Way Of Being (解説:中村慶 対訳:多屋澄礼)国内盤 2CD

  • アーティスト: THE GIST
  • 出版社/メーカー: CA VA? RECORDS / HAYABUSA LANDINGS
  • 発売日: 2021/05/26
  • メディア: CD



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。