THE SKY'S GONE OUT / BAUHAUS [バウハウス]
バウハウス3枚目のアルバム『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』(82年)のオリジナルには、最後の曲「Exqisite Corpse」のあとに「My baby....」という言葉で始まるモノローグが収録されているが、このモノローグは収録されている盤とそうでない盤がある。私の手元にある『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』のうちモノローグが入っているのは2種、カナダのヴァーティゴ盤のみだった。
・ビクター盤アナログ(VIL-6053) なし
・日本コロムビア盤CD(28CY-2397) なし
・ヴァーティゴ盤アナログ(VOGX-1-3326) あり
・ヴァーティゴ盤CD(836 167-2) あり
2004年に日本のインペリアル・レコードがベガーズ・バンケットのカタログをリイシューしたときの『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』にも、モノローグは収録されていなかった。当時、その理由をインペリアル・レコードに問い合わせてみたところ「CD化の際に何らかの理由(アーティストもしくはプロデューサーの意向)、でカットされたようです。これ以上の理由はベガーズバンケットにも分からないそうです。」 という回答だった。「CD化の際にカットされた」というのは確かにありそうな話であるが、最初に日本でリリースされたビクター盤アナログには収録されておらず、一方で90年にリリースされたヴァーティゴ盤CDに収録されているのは何とも不思議だ。
しかし最近アマゾンで売っている輸入盤「5Albums」の『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』には、このモノローグが収録されている。この手の企画はけっこう安易なつくりのボックスも多い中、バウハウスの「5Albums」はなかなかに良心的だ。バウハウスのオリジナル・アルバムは4枚なので、ボーナストラックは1枚にまとめてある。ディスクはすべてピクチャー・ディスク仕様(『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』はデヴィッドJの写真)だ。
ヴァーティゴ盤はオリジナルと異なりシンプルなジャケットであり、これはCD化されてもそのままだった。アナログには、A面:「Ziggy Stardust」、B面「Lagartija Nick」「Kick In The Eye」の3曲が収められた12インチシングル(KICK 1)がつけられていた。 過去に日本でリリースされた『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』のボートラは、「Ziggy Stardust」「Party Of The First Part」「Spirit(シングル・ヴァージョン」「Watch That Grandad Go」の4曲だったが、ヴァーティゴ盤CDのボートラは、アナログのボーナス・ディスクと同じで「Ziggy Stardust」「. Lagartija Nick」「Kick In The Eye」の3曲になっている。
ZIGGY STARDUST (David Bowie Cover Top Of The Pops)
SPIRIT
“My baby, how big you' ll be in a very little while. You' ll be going to school and you won' t want your daddy then, will you darling? Oh, I wish you could be my baby all the time. I wonder what the future holds…?”
これはドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒト(1898~1956)の作品『バール(Baal)』の一節であり、声の主はドラマーのケヴィン・ハスキンス。 『バール』は才能あるものの直情的な詩人バールの破滅型の生涯を描いた戯曲で、『ザ・スカイズ・ゴーン・アウト』がリリースされたと同じ1982年に英BBCがデヴィッド・ボウイ主演で映像化している。ブレヒトはクルト・ヴァイル(クルト・ワイル)との関係も深く、ボウイのミニアルバム『バール』に収録されている曲「The Drowned Girl」(バールに捨てられた娘ヨハンナの歌)は、クルト・ヴァイルの曲である(エルレーベルのモーマスも歌っている)。
クルト・ヴァイルは多くのミュージシャンにリスペクトされている作曲家で、「アラバマ・ソング」はボウイをはじめサイケデリック・ファーズのリチャード・バトラーやドアーズのジム・モリソンなど多くのミュージシャンが取り上げている。
Bowie in Bertold Brecht's "Baal"(BBC)
David Bowie - The Drowned Girl
Momus: The Drowned Girl (Bowie / Brecht cover)
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