THE BONES OF ALL MEN / RICHARD THOMPSON & PHILIP PICKET [リチャード・トンプソン]
『ザ・ボーンズ・オブ・オール・メン』 リチャード・トンプスン&フィル・ピケット
1. The Short Mesure Off My Lady Wynkfylds Rownde
2. Chi Passa Per Sta Strada
3. Fusi Pavana Piana~La Canella~Son Quel Duca De Milano~La Torza
4. Le Forze D’Hercole~Lo Ballo Dell’Intorcia
5. My Lady Careys Dompe
6. Tutte Venite Armati
7. Passo E Mezo~Pavana In Passo E Mezzo~
La Cara Cossa Del Berdolin~El Pomo De Lo Pomaro~El Marchexe De Saluzzo
8. Ein Guter Neuer Dantz~Tedesca Dita La Proficia~
Der Mohren Auftzugkn~Branle Hoboken
これまでもリチャードの作品に参加し、アルビオン・バンドのメンバーでもあったウィル・ピケットとのコラポ(98年)。ウィル・ピケットは古楽の研究家・演奏家でもあることから、この作品は13~16世紀の古楽を取り上げた作品集。
この作品で特筆すべきは、リチャードがエレキ・ギターを演奏していることです(リチャード曰く「中世音楽のヘヴィ・メタル版」)。アコースティック・ギターで古楽を演奏するという試みはこれまでもありましたが、エレクトリック・ギターの大々的な導入がロックのテイストが加えることになり、新たな古楽解釈の創造につながったと言えるでしょう。特に2や8など、ロック感覚の古楽という感じですが、違和感はほとんど感じられません。むしろ大成功と言えます。グリフォンで知られるクリムホルンという、ユーモラスでいささかアクの強い楽器が大々的にフィーチャーされているにもかかわらず、それに負けない自己主張をしているのは、さすがです。
バックはサイモン・ニコル、デイヴ・ペグ、デイヴ・マタックスの元フェアポート組という強力ラインナップ。彼らの参加も、古楽にロックのダイナミズムを吹き込むことに成功しています。オープニング曲でも、彼らのリズムが加わると途端に雰囲気が変わります。特に4における血をはうような重々しいリズムは、圧巻。まさに「中世音楽のヘヴィ・メタル版」という趣です。タイプは異なりますが、ジョン・レンボーンの『THE LADY AND THE UNICORN』と双璧をなす古楽作品と言えるでしょう。傑作。
コメント 0