INDUSTRY / RICHARD THOMPSON & DANNY THOMPSON [リチャード・トンプソン]
『インダストリー』リチャード&ダニー・トンプソン
1.コーラル
2.スウィートハート・オン・ザ・バリケイド
3.チルドレン・オブ・ザ・ダーク
4.ビック・チムニー
5.キティ
6.ドリフティング・スルー・ザ・デイズ
7.ロッタリー・ランド
8.ピットフォールズ
9.サボトゥアー
10.ニュー・リズムス
11.ラスト・シフト
リチャード・トンプソンが、元ペンタングルのベーシスト、ダニー・トンプソンと共同名義でリリースした作品(97年)。元フェアポートのドラマーで、リチャードのツアーにも同行しているデイヴ・マタックスも参加しています。産業革命の時代から現在まで英国の盛衰を、工業の盛衰に託したコンセプト・アルバムですが、ブックレットでリチャードは「It wasn't going to be a history of industry from the 1700s to the present day - I don't think that's possible. The nature of a three minute song is that you have to paint little picture. I think it's impressions of industry and the end of industry.....and the trnsition from industrial to post-industrial....that is hopefully reflected on the album.(これは、1700年代から現在に至るまでのインダストリーの歴史を綴ったものではない-そんなことは不可能だからね。3分間の曲の本質はちょっとした絵を描くようなもの。思うにそれはインダストリーのイメージとインダストリーの終焉....そしてインダストリーからポスト・インダストリアルへの変遷.....その辺がこのアルバムに反映されているように願うよ。)」と述べています。
悲しげなラヴ・ソングの「スウィートハート・オン・ザ・バリケイド」からアップ・テンポのロック・ナンバー「ビック・チムニー」までバラエティに富んだ内容ですが、全体的には哀感に満ちた枯淡の味わいがある作品です。特に失業をテーマにした「ドリフティング・スルー・ザ・デイズ」「ロッタリー・ランド」「ラスト・シフト」の3曲には、もの悲しさが漂います。「スウィートハート・オン・ザ・バリケイド」ではダニーが彼の2人の叔父さんとトロンボーンを担当。「ビック・チムニー」に続く「キティ」(原題「KITTY-"TOMMY, QUICK GET UP, I CAN HEAR CLOGS GOIN' UP THE STREET." TOMMY-"WELL STICK MINE OUT AND SEE IF THEY'LL GO WITH 'EM!"」)は炭坑夫とその妻との朝の会話、それを子どもが見ているという面白い設定。ダニーのウォーキング・ベースのパターンが実にカッコいい。
『ストレンジ・デイズ』第18号でのリチャードのインタビューでは、彼がこの作品についても語っており、興味深い内容です。
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