マクドナルド&ジャイルズ [キング・クリムゾン]
1.組曲ハ長調
2.アイビスの飛行
3.イズ・シー・ウェイティング
4.明日への脈動
5.バードマン
クリムゾンを脱退したイアン・マクドナルド(のち英米混成バンド、フォリナーに参加して一世を風靡する)がマイケル・ジャイルズと組んでリリースしたユニットによる唯一の作品(70年)。イアンのほうが明らかに目立っており、マイケルは、正確なドラミングでサポートに徹している観があります。ベースはマイケルの弟でジャイルズ・ジャイルズ&フリップのピーターが担当。
全体的にアコースティックでトラディショナルな雰囲気が漂い、フォーク系のプログレが好きな人には堪らない作品です。「組曲ハ長調」(スティーヴ・ウィンウッドがピアノで参加)にはクリムゾンを彷彿とさせる部分があるものの、アルバムを通して牧歌的でリラックスした明るい印象を受けるのは、おそらくロバート・フリップの扼から解放されたからではないでしょうか?とりわけ「明日への脈動」はブラス・アレンジが意表を突くポジティヴな曲。「アイビスの飛行」(『ポセイドンのめざめ』収録の「ケイデイとカスケード」の原曲)から「イズ・シー・ウェイティング」へのつながりで聴くことができるリリカルな響きは、英国トラッド・フォークの伝統と魅力を伝える名曲だと思います。白眉は大曲「バードマン」。印象的なコーラス・ワーク、徐々に盛り上がる展開、浮遊感溢れる明るい雰囲気。聴き手の意識をリラックスさせなつつ、無駄と隙のない計算された構成にはまったく脱帽。
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