SWADDING SONG / MELLOW CANDLE [英国フォーク三種の神器]
メロウ・キャンドル 『抱擁の歌』
1.天国の荒野
2.羊の季節
3.シルヴァーソング
4.詩人と魔女の物語
5.伝導鳥(黒い空、白い子ども)
6.ダンよ、悪魔に気を付けろ!
7.麗しきシスター達よ
8.証拠(しるし)を壊せ!
9.バイ・オア・ビウェア
10.過ぎたるは及ばざるがごとし
11.ロンリーマン
12.墓の宝石
英国トラッド/フォークについて語るとき、わが日本では女性ヴォーカルの人気が高いことがよくわかります。英国的雰囲気をよく伝えるトラッド/フォークの中でも、女性ヴォーカルをフィーチャーした作品は、特に「癒し度」が高いせいかもしれません。ペンタングルやフェアポート・コンヴェンション、スティーライ・スパンといった正統派トラッド~大御所のバンドとは異なり、洗練されたフォークを聴かせるバンドも多いわけですが、なかでもメロウ・キャンドル、テューダー・ロッジ、スパイロジャイラの3バンドは人気が高く、残された作品もあまり多くないことから、わが国ではこの3バンドを「三種の神器」と称しています。
メロウ・キャンドル(英国ではなくて、アイルランドの出身)は、二人の女性ヴォーカルを擁した5人組のフォーク系ロック・バンドです。アルバムとしては『抱擁の歌』(72年) が唯一の作品ですが、高い完成度を誇る素晴らしい作品です。
女性二人のヴォーカルは声質が異なっているため、コーラスするとオーバーダブやダブルトラッキングとは全く異なる効果を生み出していいます。夢見るような「麗しきシスター達」、軽快な「証拠を壊せ!」など曲調はバラエティに富んでいますが、全体的にクラシカルな雰囲気がただよい、洗練された統一感が感じられます。クライマックスは、二人の掛け合いが見事なエンディングの「墓の宝石」。クラシカルなロック、という点ではルネッサンスに通じる部分もあり、トラッド/フォーク好きにとどまらず、TREES同様にプログレファンにも受け入れられている1枚です。
メンバーの一人ウィリアム・マレーはケヴィン・エヤーズのホール・ワールドに在籍したことがあり、それが縁でヴォーカルの一人クロダー・シモンズはマイク・オールドフィールドの『ハージェスト・リッジ』と『オマドーン』に参加しています。
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