TRESPASS / GENESIS [ジェネシス]
01. Looking for Someone
02. White Mountain
03. Visions of Angels
04. Stagnation
05. Dusk
06. The Knife
ジェネシスの2枚目。『侵入』という邦題がついた時期もあるようだが、私が持っているヴァージン・ジャパン盤(VJCP-23113)の邦題は『トレスパス』。クレジットにはドラムにフィル・コリンズとギターにスティーヴ・ハケットの名前も見えるが、実際にプレイしているのはそれぞれピーター・メイヒューとアンソニー・フィリップスである。メンバーチェンジがレコーディングの終了後で、リリースの前であったことからこのような表記になったのだろう。
ジェネシスの魅力は、「不思議な国のアリス」的なちょっとひねった英国的ファンタジックさだが、この作品は特にアコースティック・ギターとフルートがよい味わいを出しており、それがよく出ている。オープニング・ナンバーから2曲目までの緩急をつけた流れは、やや大げさすぎる観もあるが、スケールの大きな音空間を創り出すことに成功している。「Visions of Angels」ではシンフォニックなメロトロンと、アコースティックなフルートとピアノが英国的な雰囲気を感じさせる。白眉はラスト・ナンバーの「The Knife」。他の収録曲に感じられる大仰さは感じられず、ギター、ヴォーカル、キーボード、リズム・セクションのアンサンブルが渾然一体となって緊張感を感じさせるナンバー。中間部の幻想的なフルートと、後半部のダイナミックな(アコースティックではなく)エレクトリック・ギターなど、見事な構成。ジャケットのイラストとも相まって、この作品一番の聞き物となっている。ただ私の一番好きなナンバーは8分50秒にもおよぶ大作「Stagnation」。ダイナミックなランドスケープを空から俯瞰するようなイメージのキーボードとアコス-ティックなギターの対比、そしてクライマックスで絡んでくるピーターのヴォーカルは素晴らしすぎる。
コメント 0