THE WAKING HOUR / DALI'S CAR [ジャパン]
THE WAKING HOUR / DALI'S CAR
01. Dalis Car
02. His Box
03. Cornwall Stone
04. Artemis
05. Create And Melt
06. Moonlife
07. The Judgement Is The Mirror
元JAPANのベーシストのミック・カーン(2011年に52歳で死去)と、元バウハウスのヴォーカリストのピーター・マーフィーの2人が結成したユニット、ダリズ・カーが1988にリリースしたアルバム。商業的にはヒットしなかったが、ミックのグニョグニョと蠢くフレットレス・ベースに、ピーターのヴォーカルが絡んだユニークでオリジナリティに溢れた作品。ダリズ・カーは私が敬愛する二人のアーティストが組んだユニットであり、出てくる音がどんな曲であれ受け入れるつもりであったが、正直期待以上の作品であった。
私が最初にミックのフレットレス・ベースに注目したのは、JAPANの「エイント・ザット・ペキュリアー」で、エスニック寄りのアフロ・ファンクなテイストがとても印象的な曲だった。一方のピーター・マーフィーといえば、「ブルガリアン・ヴォイス」を4ADのアイヴォに紹介したエピソードからも知られるように、「西アジアに近いヨーロッパ」の要素を持っている。トランシルヴァニアの森に棲むドラキュラ。この二人の美学が、(決して混じり合うことはないが)よく感じられる作品だ。バックの演奏はほとんど歌メロを演奏しておらず、ベーシック・トラックにピーターがヴォーカルを被せている感じ。
ジャケットのアートワークは、20世紀前半に活躍したアメリカの挿絵画家・イラストレーターであるマックスフィールド・パリッシュ(1870~1966年)の作品「Daybreak」 (1922)。彼の作品は「パリッシュ・ブルー」とも称される澄んだ独特の青色で知られるが、特に3曲目「Cornwall Stone」から感じられる雰囲気にマッチしているように思われる。
Ain't That Peculiar / JAPAN
ブルガリアン・ヴォイス(4AD)
The Judgement Is The Mirror / DALI'S CAR
ミック・カーンは 2011年1月4日に亡くなるが、彼は自分が癌に冒されていることを死の前年に公表していた。彼は亡くなる直前の2010年秋、ピーターと再度スタジオに入って数曲のレコーディングを行い、それらの曲は彼の死後全5曲のミニ・アルバム『IN GLAD ALONENESS』としてリリースされた。まさにスワン・ソングである。
01. King Cloud
02. Sound Cloud
03. Artemis Rise
04. Subhanallah
05. If You Go Away
ミックスとドラムを元JAPANのスティーヴ・ジャンセンが行っており、彼は「If You Go Away」(シャンソン「行かないで」のカヴァー)のアレンジも担当している。オリエンタルな「Sound Cloud」、『THE WAKING HOUR』に収録されていた「Artemis」のヴォーカル入りヴァージョン「Artemis Rise」など、前作の流れを踏襲した音作り。ラストの「If You Go Away」はミックへのレクイエムのようで、感動的だ。
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