Peter Hook の Revenge [ニュー・オーダー]
現在ピーター・フック&ザ・ライトを率いて、かつて自らがベーシストを務めていたジョイ・ディヴィジョン~ニュー・オーダーを再現するステージを行っているレジェンド・ベーシストのピーター・フック。彼が1989年から93年の初め(ニュー・オーダーの『テクニーク』と『リパブリック』の間に相当する時期)まで動かしていたプロジェクトがリヴェンジ。ファースト・アルバム『ワン・トゥルー・パッション』はフッキーのほか、デイヴ・ヒックス(ギター&ヴォーカル)、クリス・ジョーンズの3名がクレジットされているが、アルバムリリース後にデイヴ・ポッツが参加。ポッツはリヴェンジ後にフッキーが結成したモナコ、そして現在のピーター・フック&ザ・ライトまで彼を支えているプレイヤーなので、ポッツ初参加のバンドとしてもそのリヴェンジの意義は小さくないと思われる。ニュー・オーダーのファンからの評価はあまり高くないが、「ニュー・オーダーのベーシストのバンド」という点はひとまず措いて、普通にロックのアルバムとして聴けばいいバンドだった。音は正統派の硬質なロック。ニュー・オーダーをロック寄りにした感じ。解散までにリリースされたアルバムは1990年の『ONE TRUE PASSION』のみだが、解散後の2004年にはライヴ盤『NO PAIN, NO GAIN』およびボーナストラックを加えて2枚組になった『ONE TRUE PASSION V 2.0』がリリースされた。
ボンデージ・ファッションに身を包んだ女性の写真がフィーチャーされたジャケットや、「Gun World Porn」というシングル・タイトルなどバンド・イメージはSEX。アルバムのジャケットもニュー・オーダーとはまったく異なる雰囲気だが、デザインはお馴染みピーター・サヴィルである。ただし写真自体はスーズ・ランドールによるもの。エロティック・フォトの第一人者として知られる彼女だが、マンハッタン・トランスファーのアルバム『カミング・アウト』(76年)のジャケット写真も彼女の作品である。
唯一のアルバム『ワン・トゥルー・パッション』の収録はもともと9曲だったが、『V 2.0』になって収録は3倍以上の32曲になった。シングルのみの収録曲や未発表テイクなど充実した内容で、これ1枚でリヴェンジの全貌を掴むことができる。もう1枚、ライヴ盤『No Pain, No Gain』にはJD時代の「Dreams Never End」やヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「White Light / White Heat」のカヴァーなど14曲を収録。ヴォーカルはうまくないが、エネルギッシュないいライヴだ。何よりフッキーのベースの音がいい。すべて91年のライヴで、マンチェスターでの8曲と来日時の川崎クラブチッタでの6曲。メンバーはそれぞれで若干異なっており、ギターがデイヴ・ヒックス(川崎)→ブライアン・ウィテカー(マンチェスター)、ドラムはアシュレイ・テイラー(〃)→マイク・ヘッジズ(〃:有名プロデューサーとは同名異人)。
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