Ignite The Seven Cannons カスピの詩人 / Felt [チェリー・レッド・レコード]
エヴリシング・バット・ザ・ガールとならびチェリー・レッド・レコードのレーベル・カラーのイメージを担っていたのがフェルト。1989年に解散するまで、チェリー・レッド→クリエイション→エルとそれぞれのレーベルが最も輝いていた時期に所属しており、80年代のUKインディー・シーンを象徴するようなバンドである。彼らは10枚のアルバムを残しているが、そのうち初期の4枚がチェリー・レッドからのリリース。中でもジョン・レッキーがプロデュースしたネオアコ色の強い3rdアルバム『The Strange Idols Pattern And Other Short Stories』(『彩霞(さいか)』)と、4枚目の『Ignite The Seven Cannons』(『カスピの詩人』)の2枚はチェリー・レッド時代のみならず、キャリア全体を通じての代表作である。
チェリー・レッド期のフェルトはリーダーのローレンス(ヴォーカル&ギター)とモーリス・ディーバンク(ギター)の双頭バンドで、ローレンスのスポークン・サングとモーリスの流麗なギターが売りのバンドだった。バンド名はテレヴィジョンの曲「ヴィーナス」からとられたそうだが[https://pitchfork.com/reviews/albums/felt-forever-breathes-the-lonely-word/]、だとすれば毛氈ではなくfeelの過去形ということになる。4枚目の『カスピの詩人』(1985年)からはキーボードのマーティン・ダフィ(後にプライマル・スクリームに加入)が加わり、音の厚みが2ランクアップ。さらにプロデュースが当時コクトー・トゥインズのロビン・ガスリーだったので、幽玄さも2ランクアップ。ポスト・パンクの名盤の誉れ高い1枚である。このアルバムを最後にオリジナル・メンバーのモーリスが脱退したため、ローレンス+モーリス+マーティン・ダフィという黄金メンバーによる唯一の作品となってしまった。
現行盤は大幅なリミックスが施され曲数も違っているため、アマゾンでは批判的なレビューも見られる。一方で外国からのレビューの中には「ローレンスは、自分のベストソングがロビン・ガスリーによって台無しにされたと言っていたが、これはまったくその通りで、ガスリーはこの作品をコクトー・トゥインズの作品のように仕上げてしまった。」と書いてあるものがあった。ソースを探してみたところ、なるほど、ローレンスは確かにそのように語っている(He kind of ruined some of my best songs, which I’m sure he’d agree with now he’s a lot more experienced!)。こうした結果になってしまったのはロビン・ガスリーがプロデュース契約の際に「ローレンスはミックスに参加しないこと」という項目を入れていたためで、それをローレンスが自嘲気味に「正しかった」と言っているのは面白い。確かに今聴いてみるとコクトー・トゥインズのカラーが強すぎる気がする。
https://clashmusic.com/features/strong-melodies-for-humdrum-lives-the-singular-vision-of-lawrence
リマスター/リミックス盤ではギターとヴォーカルがクリアーになり、キラキラしたリリカルな響きがが心地よい仕上がりとなっている。ただし、ピアノとギターが印象的な美しいインスト曲「Serpent Shade」がオミットされたのはいただけない。またオリジナルでは5分を超える(彼らにしては)長い「Elegance (of an Only Dream)」は編集されて1分以上短くなり、タイトルも「Elegance in D」と変更された。
オリジナルのタイトルは『Ignite the Seven Cannons』だが、アナログ盤のB面のレーベルには、「Ignite the Seven Cannons and Set Sail for the Sun」と印刷されているため、こちらをタイトルにする場合もある。Discogsでは ”and Set Sail for the Sun”アリ盤とナシ盤があるので、リリース年・国によって違うのだろう。
https://www.discogs.com/ja/master/4464-Felt-Ignite-The-Seven-Cannons-And-Set-Sail-For-The-Sun
チェリー・レッド期のフェルトはリーダーのローレンス(ヴォーカル&ギター)とモーリス・ディーバンク(ギター)の双頭バンドで、ローレンスのスポークン・サングとモーリスの流麗なギターが売りのバンドだった。バンド名はテレヴィジョンの曲「ヴィーナス」からとられたそうだが[https://pitchfork.com/reviews/albums/felt-forever-breathes-the-lonely-word/]、だとすれば毛氈ではなくfeelの過去形ということになる。4枚目の『カスピの詩人』(1985年)からはキーボードのマーティン・ダフィ(後にプライマル・スクリームに加入)が加わり、音の厚みが2ランクアップ。さらにプロデュースが当時コクトー・トゥインズのロビン・ガスリーだったので、幽玄さも2ランクアップ。ポスト・パンクの名盤の誉れ高い1枚である。このアルバムを最後にオリジナル・メンバーのモーリスが脱退したため、ローレンス+モーリス+マーティン・ダフィという黄金メンバーによる唯一の作品となってしまった。
現行盤は大幅なリミックスが施され曲数も違っているため、アマゾンでは批判的なレビューも見られる。一方で外国からのレビューの中には「ローレンスは、自分のベストソングがロビン・ガスリーによって台無しにされたと言っていたが、これはまったくその通りで、ガスリーはこの作品をコクトー・トゥインズの作品のように仕上げてしまった。」と書いてあるものがあった。ソースを探してみたところ、なるほど、ローレンスは確かにそのように語っている(He kind of ruined some of my best songs, which I’m sure he’d agree with now he’s a lot more experienced!)。こうした結果になってしまったのはロビン・ガスリーがプロデュース契約の際に「ローレンスはミックスに参加しないこと」という項目を入れていたためで、それをローレンスが自嘲気味に「正しかった」と言っているのは面白い。確かに今聴いてみるとコクトー・トゥインズのカラーが強すぎる気がする。
https://clashmusic.com/features/strong-melodies-for-humdrum-lives-the-singular-vision-of-lawrence
Felt - Primitive Painters
リマスター/リミックス盤ではギターとヴォーカルがクリアーになり、キラキラしたリリカルな響きがが心地よい仕上がりとなっている。ただし、ピアノとギターが印象的な美しいインスト曲「Serpent Shade」がオミットされたのはいただけない。またオリジナルでは5分を超える(彼らにしては)長い「Elegance (of an Only Dream)」は編集されて1分以上短くなり、タイトルも「Elegance in D」と変更された。
オリジナルのタイトルは『Ignite the Seven Cannons』だが、アナログ盤のB面のレーベルには、「Ignite the Seven Cannons and Set Sail for the Sun」と印刷されているため、こちらをタイトルにする場合もある。Discogsでは ”and Set Sail for the Sun”アリ盤とナシ盤があるので、リリース年・国によって違うのだろう。
https://www.discogs.com/ja/master/4464-Felt-Ignite-The-Seven-Cannons-And-Set-Sail-For-The-Sun
コメント 0