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HATFUL OF HOLLOW / THE SMITHS [ザ・スミス]

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ザ・スミス『ハットフル・オブ・ホロウ』
1.ウイリアム
2.ホワット・ディファレンス・ダズ・イット・メイク?
3.シーズ・シングス・テイク・タイム
4.ディス・チャーミング・マン
5.ハウ・スーン・イズ・ナウ?
6.ハンサム・デヴィル
7.ハンド・イン・グローヴ
8.スティル・イル
9.ヘヴン・ノウズ
10. ディス・ナイト・ハズ・オープンド・マイ・アイズ
11. ユーヴ・ゴット・エヴリシング・ナウ
12. アクセプト・ユアセルフ
13. ガール・アフレイド
14. バック・トゥ・ジ・オールド・ハウス
15. リール・アラウンド・ザ・ファウンテン
16. プリーズ・プリーズ

 ザ・スミスで一番好きなアルバムは?と尋ねられて、しばし考えこみ「編集盤なんだけど......」という前置き付きでこのアルバムをあげる人も少なくあるまい。スミスはこの作品を越える「オリジナル・アルバム」をつくれなかった。このことは、ザ・スミスの本質~「シングル曲とライヴ」をよくあらわしていると思う。『ワールド・ウォント・リッスン』や『ラウダー・ザン・ボム』など、バンドの存命中~解散後を通じて何種類もリリースされた「ベスト盤」の多さも、彼らがコンセプチュアルなアルバム・アーティストではなく、シングル曲中心のバンドであったことを、よく物語っている。

 結局彼らは「レッド・ツェッペリンやビートルズのようにいつまでも聴き継がれていくアーティスト」にはなれなかった。時々思い出して彼らの曲を聴き「ああ、昔よく聴いたなぁ」としばし感慨にふけることはあっても、休みの日に自分の子どもと一緒に聴こうと思う人は、さほど多くないだろう。家に帰って家族と夕餉の食卓を囲み、休日には家族とドライブに出かける今、スミスの曲を聴くと、若かかりし頃の自分を見つめ直すような気恥ずかしさを感じるからに違いない。思うに、「ロックンロールにゃ年だけど」ではないが、スミスが歌っていた悩みや苛立ちなどと、僕が感じるそれらとが、年を重ねるにつれて一致しなくなっていったのだろう。
 それでもこのアルバムに収められた作品群は、今なお輝きを失っていない。5枚目のシングル「William it was really nothing 」や4枚目のシングル「Heaven knows I'm miserable now 」、2枚目のシングル「This charming man 」、そして「Back to the old house 」(「What difference does it make ?」のカップリング曲)、ドリーム・アカデミーのカヴァーもいい「Please please please let me get what I want 」(「William it was really nothing 」のカップリング曲)といった曲は、しばしノスタルジーに浸るに十分値する曲だ。このアルバムを聴くたびに「ウィリアァ~ム」とか「ダーズイットメェエ~ク」と思わず「~」の部分を強調して歌ってしまうのは、私だけではないだろう。

 2・6・15の3曲が83年5月の、10・8・4・14の4曲が同年9月に、それぞれBBCで放送されたジョン・ピール・ショウから、また3・11の2曲が同年7月、12が9月にそれぞれBBCで放送されたデヴィッド・ジャンセン・ショウでのテイク。つまり収録曲の半数以上がBBCでのセッションでの演奏だけど、「What difference does it make ?」を始めとして明らかに一本調子なスタジオ・テイクよりもドライヴ感が増している。『ランク』で示されたアグレッシヴさからも伺えるように、彼らの真骨頂はライヴにあった。このコンピレーションが、他のベスト盤や編集盤と一線を画しているのは、初期の名曲のライヴ・テイクが収録されている点にある。それはすなわち、スミスが最も彼ららしい美しさを持っていた時代だったと思われる。


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