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GARLANDS / COCTEAU TWINS [コクトー・トゥインズ]

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SIDE ONE
 01.ブラッド・ビッチ / Blood Bitch
 02.ワックス・アンド・ウェイン / Wax And Wane
 03.バット・アイム・ノット / But I'm Not
 04.ブラインド・ダム・デフ / Blind Dumb Deaf
SIDE TWO
 01.シャロウ・ゼン・ヘイロウ/ Shallow Then Halo
 02.ザ・ハロー・メン / The Hallow Men
 03.ガーランズ / Garlands
 04.グレイル・オーヴァーフロース / Grail Overfloweth


 意外なことに、アイヴォ・ワッツ=ラッセルがコクトー・トゥインズのデモテープを初めて耳にしたとき、彼が気に入ったのは「演奏のアグレッシヴさ」だったという(『ミュージック・マガジン』87年6月号)。

 『ガーランズ』は1982年にリリースされたコクトー・トゥインズの1stアルバムだが、後の「夢幻的癒しの音楽」的な要素は一切感じられない。このアルバムは、ロビン・ガスリーとエリザベス・フレイザーの他、ウィル・ヘッジー(ベース)の3ピースバンドの形態でレコーディングされた。一言で形容すれば、「暗い」作品である。ポスト・パンク、中でも「ゴス」に近いベクトルを感じる。いらだちを無理に抑え込んでいるかのようなヴォーカル、ノイジーで歪んだギター、リズムとはいえないようなベース、チープで無機質なドラム・マシーン....と、あまり好印象とは言えないような表現が続いてしまう。唯一印象に残るのは、奇妙なヴィブラートがかかり、時折裏声になるエリザベスのヴォーカルくらい。
 裏ジャケにクレジットされている「Thanks ivo, vince, nigel」のvinceとはデペッシュ・モード~ヤズー~イレイジャーのヴィンス・クラーク。彼はリズム・ボックスのプログラミングを手伝ったらしい。"nigel"は、ジャケットのアートワークを手がけた23envelopeのナイジェル・グリーアソン(Nigel Grierson)のことだろうか。

 デビュー当時の発掘映像をみると、まさしくポスト・パンク~ニュー・ウェーヴ然としており、デビュー当時のスージー&ザ・バンシーズを思い出す。1963年生まれのエリザベスは、このアルバムがリリースされた82年当時19歳。『トレジャー』あたりから聴き始めた人(私もそうだが)がこの映像を視たら、絶句してしまうのではないだろうか。

「Wax And Wane」(Live) 「Alas Dies Laughing」「Wax And Wane」(Live) 「Hazel」(Live)


 
 しかしながら、2016年にイギリスの新聞「ガーディアン」が発表した「コクトー・トゥインズのベスト10曲」で堂々の1位となったのは、このアルバム2曲目の「Wax And Wane」である。確かに、この曲はコクトー・トゥインズのミステリアスなイメージを印象づける曲ではあり、発掘映像が残っているところをみると、当時のステージでもよく演奏されていたようだ。しかし、当時のステージ映像と相まって初めて、バンドのイメージがつかめるような気もする。SMSレコードからリリースされていた日本盤には歌詞がつけられていたが、メンバーによると間違いだらけで「噴飯モノ」レベルだったらしい。ネイティヴにも聴き取れない不思議な歌詞も、摩訶不思議なイメージを強めていた。

https://www.theguardian.com/music/musicblog/2016/feb/24/cocteau-twins-10-of-the-best


 このCDが最初に87年に日本コロムビアからリリースされたとき(30CY-1651)は、6曲のボーナストラックが収録され、 90年にリイシューされたとき(COCY-6120)も同様だった。英国盤CDをはじめ独盤や仏盤もこのフォーマットでリリースされたものの、米キャピトル盤はオリジナルのままでボーナストラックは収録されなかった。2005年にテイチク傘下のインペリアルから日本盤がリイシューされたときもボーナス・トラックは収録されていない。

日本コロムビア 30CY-1651
 09. Dear Heart
 10. Hazel
 11. Hearsay Please
 12. Blind Dumb Deaf
 Extra Tracks
 13. Speak No Evil
 14. Perhaps Some Other Aeon


 このアルバムのリリースから3か月後の同年9月にEP「LULLABIES」、翌年3月には同じく「PEPPERMINT PIG」がリリースされた。この2枚まではベーシストのウィル・ヘッジーが参加しており、バックの演奏はノイジーで『ガーランズ』と方向性は似ている。私の中で「初期のコクトー」といえば、LP1枚プラスEP2枚の計3枚までで、後の時代とは一線を画すと考えている。しかしエリザベスのヴォーカルは徐々に変化してきており、後の作品につながる雰囲気が感じられるようになった。「LULLABIES」のプロデューサーはアイヴォ、エンジニアはJohn Madden、「PEPPERMINT PIG」のプロデューサーはアラン・ランキン(元アソシエイツ)、エンジニアはジョン・フライヤーとクレジットされている。どちらもA面・B面という表記はないものの、裏ジャケにクレジットされている曲順は以下の通り。

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「LULLABIES」
  1.羽毛ーオールー水かき / FEATHERS-OAR-BLADES
  2.アラス・デイエス・ラーフィン / ALAS DIES LAUGHING
  3.イッツ・オール・バット・アン・アーク・ラーク
     / IT'S ALL BUT AN ARK LARK
「PEPPERMINT PIG」
  1.ペパーミント・ピッグ / PEPPERMINT PIG
  2.ラーフ・ラインズ / LAUGH LINES
  3.ヘイゼル / HAZEL

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