Nothing More - The Collected Fotheringay / Fotheringay [サンディ・デニー]
サンディ・デニーがトレヴァー・ルーカスとともに結成したフォザリンゲイ。2015年にリリースされた、CD3枚プラスDVD1枚の計4枚からなるボックス・セットは、全盛期のサンディのヴォーカルがまとめて堪能できる素晴らしい作品である。個人的にはトレヴァー・ルーカスのヴォーカルは必要なかったと思うが、そうしたファンの思いとサンディ自身の思いとのギャップが、バンドを短命に終わらせてしまったのかもしれない。
詳細な解説は、『レコード・コレクターズ』2015年7月号に詳細な解説が掲載されているので、そちらを読むのがよかろう。セットの内容は以下の通り。
ディスク1:唯一のアルバム『フォザリンゲイ』+ボーナストラック6曲
ディスク2:2008年にリリースされたセカンドアルバム『2』+ボーナストラック6曲
ディスク3:70年オランダのライヴ9曲+BBC音源7曲、
ディスク4(DVD):ドイツの「BEAT CLUB」映像4曲
ディスク2の『2』は、もともとジョー・ボイドがプロデュースした音源を元メンバーのジェリー・ドナヒューが完成させた作品。イギリスのインディ・レーベルFledg'ling Recordsからリリースされたものだが、これは亡き二人に対する敬愛が感じられる素晴らしい仕事である。
もともとフォザリンゲイは、トラッド・ナンバー中心になっていったフェアポートに対して、サンディが自分のやりたいことを求めて恋人とともにつくったバンドである。ジェリー・ドナヒューはアメリカ出身で、『2』にはボブ・ディランの「I Don't Believe You」も収録されているが、フェアポートの『リージ&リーフ』にはディラン・ナンバーが収録されなかったことも考え合わせると、彼女の想いがかいま見えるような気がする。それでもやはり、『2』で最も素晴らしいのは、チャイルド・バラッドのトラッド・ナンバー「ジプシー・デイヴィ」だ。1stのCDにも収録されている既発ヴァージョンに加え、ボーナス・トラックとして「Joe Boyd mix」という別ミックスも収録されている(DVDには映像も収録)。ボブ・ディランもこの曲を取り上げているが、最初ディランの曲を聴いたときは、同じ曲だとは気がつかなかった。 『グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー』(92年)に、「 ブラックジャック・デイヴィ」というタイトルで収録されている。
初出となったディスク3のBBC音源はなかなかの高音質で、ディスク4のDVDもクオリティは悪くない。惜しむらくは、2011年に公式リリースされたドイツ(エッセン)でのライヴ音源が収録されなかったことかな。
このボックスのリリースにあわせて、ジェリー・ドナヒューはジェリー・コンウェイ(D)とパット・ドナルドソン(B)のオリジナル・メンバーに、新たに3人のメンバーを加えて6人組でフォザリンゲイを再始動させた。 https://www.fotheringay.com/
新生フォザリンゲイは2016年1月に最初のステージを行い、6月からツアーも開始された。ところが7月29日にジェリー・ドナヒューが脳卒中に倒れてしまい、活動は停止を余儀なくされてしまった。英語版ウィキペディアによると、ジェリーの再起は困難らしい。
https://www.fotheringay.com/single-post/2016/01/04/Fotheringay-2016-Tour-Dates
コメント 0