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929 / LED ZEPPELIN [レッド・ツェッペリン]

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 77年LAフォーラム初日『エディー』がツェッペリン後期のハイライトとすれば、前期のハイライトは71年の初来日公演大阪二日目『929』である。『ブルーベリーヒル』もいいが、日本公演ということでこちらに軍配を上げたい。日本における最終日ということで、ロバートのヴォーカルは終始全開。「移民の歌」でスタートして締めは「ロックン・ロール」、途中の「幻惑されて」「胸一杯の愛を」はどちらも30分以上(2曲で1時間越えるなんて!)、そして珍しい「フレンズ」の演奏など聞き所満載の音源である。

 私がこの日の音源を初めて聴いたのは、中学生の頃に雑誌『音楽専科』の広告を見て通販で買った『Unburied Dead Zeppo's Grave』というアナログ盤だった。『ABSENCE』という2枚組と一緒に買ったのだが、なぜこれらを買ったのかというと値段が一番安い2つを選んだからである(送金は現金書留だったし、送料を含めればかなりの出費を覚悟しなければならなかった)。『Unburied Dead Zeppo's Grave』は「1969年5月24日サンフランシスコのウィンターランド公演」という表記だったが、BBCの「天国への階段」などに混じってこの日の「フレンズ」と「煙が目にしみる」が収録されており、「Japan wonderful place」というロバートの言葉や、誰かの(ジョン・ボーナムである)「○○ too noisy」という言葉などは中学生でも聞き取ることができ、ずいぶんと興奮したものである。

 それからずいぶんと時が流れてCDの時代となり、雑誌『GOLD WAX』の広告や記事を参考に『It's Been A Long Time』、ついで『Smoke Gets In Your Eyes』(いずれもMud Dogs)といったアイテムを耳にし、なるほどこういうステージだったのかと合点がいったことであった。メンバーからはリラックスした雰囲気が感じられ、「ブラック・ドッグ」の後には何のジョークなのか、ロバートは「common complaint in Osaka, rice in hair. You think I’m joking, right?」と、何となく日本を貶すようなことを言っているが(このコメントをタイトルにしたCDもある)、その後すぐに「We spend two weeks in wonderful glorious Japan, which has been incredible. Great hotels, great bars, great people, and without giving you any…it’s not bullshit really because this is our last night in Japan…and we’re gonna have a good time and I think you will too.」と感謝するコメントをしている。この後に「幻惑されて」の演奏が始まるが、なぜかロバートが遮ってやり直しとなる(この「幻惑されて」と「天国への階段」の間でロバートが"Good evening, ...much too quiet, much too slow, too silly, and fast asleep.”と静かな観客を揶揄しているのは、複雑な気持ちになる)。アコースティック・セットではボーナムがバックステージに引っ込んだまま出てこず、ロバートのMCや演奏で引き延ばしたため「カリフォルニア」の演奏は10分間に渡る演奏となった。それでもボンゾは姿を見せないため、ロバートは「Where’s Bonzo? Bonzo, Mr. Bonham, Mr. Bonham. Listen, after three everybody say Mr. Bonham. 1,2,3 Mr Bonham. For fuck’s sake, Mr Bonham, what can you say? Mr Bonham went for bath with Geisha, yeah, right on. I’m afraid Mr., where is he? Where’s Bonham? He refuses to come. Fuck you mate. Where’d he go?」とオーディエンスを扇動してボーナムを煽り始める。このMCが、『芸者』というタイトルの由来になったのかもしれない。

 この日のサウンドボード音源は、2種類のソースが存在する。このうち通称「OG」と呼ばれる音源は、アナログ盤『LIVE IN JAPAN 1971』として最初にリリースされ、完全収録ではないものの独特の音質から評価は高く、Moonchildからは完コピ盤CDが出ている。これまで私が購入してきた929モノは基本この音源がソースで、いわば定番の音源である。この音源の由来については、『ブート・レッド・ゼップⅡ』(48㌻)や『レッド・ツェッペリン・ライヴ・ファイル』(124㌻)などで触れられているように様々な憶測がなされてきたが、雑誌『クロスビート』2013年1月号に当時のディレクターさんの証言が掲載され、やはり関係者がこっそりと録音したものであることが明らかとなった。全長盤としてはMud Dogsの『Smoke Gets In Your Eyes』などがあるが、曲中のカットが多く何よりOG盤よりも音が悪い。これらのカットをオーディエンス音源で補填したのがMoonchildの『ARIGATOU OSAKA』で、Mud Dogs盤よりも音質は良くとても聴きやすいアイテムだ。最近ヤフオクでは、補填後と補填前をセットにして聞き比べが出来るというコンセプトの6枚組も売られているが元ネタはLIGHTHOUSEの6枚で、かなりのマニアでない限り、『ARIGATOU OSAKA』で十分だと思われる。

OG音源については、WENDY盤のメーカーインフォが詳しい
https://www.giginjapan.com/led-zeppelin-71-929live-in-japan/

LIGHTHOUSE盤6枚組のメーカーインフォ
https://www.giginjapan.com/led-zeppelin-71live-in-japan-non-label/

 一方新しいSBは、Empress Valleyから2018年に『HOW THE EAST WAS WON』としてリリースされた音源。CDシングルが先行リリースされるなど思わせぶりなアイテムで、さらには「芸者」「伝説のライヴ」「王将」など様々なヴァージョンがあり、いずれも高価なアイテムのためなかなか手を出しづらいという困ったアイテムである。2019年末にEmpress Valley が出した安価な(SB13枚組CDが当初は1980円という破格の値段だった)ボックス『レッド・ツェッペリンの歴史』を購入したところ、この新SBが何曲か収録されており、耳にしたときはまさしく驚愕だった。まるで次元が違う音である。ということで、ヤフオクでコピー盤(TDOLZの『LIGHT&SHADE』と同じジャケ写真を使ったアイテム:1980円)を購入した。「ジミーのお屋敷から流出」(御大自身が市場リサーチのため意図的に流した?)という噂が信じられるほどの素晴らしい音だが、あまりに音が良すぎて「移民の歌」のアアア~でロバートが苦しそうな部分まで聴き取れるようなったのはご愛敬。またコンプリート収録ではなく、「Black Dog」「Celebration Day」「That’s the Way」「Going to California」「Tangerine」「Whole Lotta Love」「Organ Solo〜Thank You」が収録されておらず、MCもすべてカットされているという残念仕様でもある。このため、かのWinston Remasterチームが、このSBソースをベースに様々な音源を駆使してコンプリートに仕上げたのが、『KURABARE MOONCHILD』だ。自分たちが作ったリマスター音源をMOONCHILD RECORDにさんざん使われてきたWinston Remasterが、今度は親レーベルのEmpress Valley音源をメインにしてつくったリベンジ的な作品。"Please DO NOT Sell "ということで、名指しされたMoonchild Recordでは非売品~ギフト・アイテムとしている模様。「929を何か1枚だけ」というならば、コレだと思う。

『KUTABARE MOONCHILD』に使用された音源解説
https://www.reddit.com/r/ledzeppelin/comments/clmujf/kutabare_moonchild_winstons_outstanding_remaster/

 素晴らしいSB音源が2つもあるので、オーディエンスは分が悪いが、929のオーディエンスソースには5種あるらしい。最近Empress Valleyがリリースした929音源の『麻薬警察』は3枚組×4セットという構成で、4つのヴァージョンが収録されているが、このうちBullshit Master・Mr T-Tack Master の2つのヴァージョンは、オーディエンスソースが元になっているとのこと。聴いてみたいが、3万5千円という値段は....。購入した人のコメントによると、このボックスの「Hagure Gumo Editは、KUTABARE MOONCHILDと同じものではないか」とのこと。いま手元にある929のオーディス音源は、SCORPIOの『Smoke Gets In Your Eyes』で、これは複数のソースを用いてオーディエンスのコンプリートをめざした企画盤である。開演前の様子は様々なアイテムで使われていて、会場の雰囲気は伝わってくるが、やはりSBの方が聴きやすい。

 打ち込みによる演奏が可能となった現在ならばいざ知らず、すべて生身で演奏しなければならなかった時代に3時間以上ものライヴを行うとは信じられないが、有名な夜の大騒ぎを考え併せれば「一体どんな生活をしていたのか」と首を傾げたくなる。

  最近になって、youtubeには初来日時のお宝映像がアップされている。
http://www.tonreco.com/archives/7436
https://www.youtube.com/watch?v=NSUvCr0U7eY&list=RDNSUvCr0U7eY&start_radio=1&t=0


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