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Pauline Murray & The Invisible Girls [クレプスキュール]

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 元ペネトレーションPenetrationの女性ヴォーカル、ポーリン・マーレイが、ファクトリー・レコードのインヴィジブル・ガールズと組んだ唯一の作品。オリジナルのリリースは1980年で、当時の日本盤の邦題は『夢の恋人』というなかなか恥ずかしいタイトルだった(ジャケットにはThe Invisible Girlsの名前は消えており、ポーリン・マーレイのソロ作というプロモーションであった)。83年にリリース元のRSOが消滅して廃盤となり、90年代にほとんど自主制作のような形(ポーリーンが自前で立ち上げたレーベルPolestarから)でリイシューされたがこれもすぐに廃盤となり、ようやく2014年にクレプスキュールから2枚組としてリイシューされた。ポップだけど影があるダーク・ポップで、ポスト・パンクの隠れた名盤。この作品がリリースされた1980年はイアン・カーティスが自ら命を絶った年であり、レコーディングは彼の死の直後に行われた。ポーリン自身もインタビューで述べているが、イアンの死がもたらしたとも思われる不穏な雰囲気も感じられる作品だ。

Pauline Murray & The Invisible Girls - Dream Sequence

Pauline Murray & The Invisible Girls - Mr X (1980)

Pauline Murray and the Invisible Girls Judgement Day

 イギー&ザ・ストゥージズの曲名に由来するペネトレーションの結成は1976年というから、結構早い。1956年生まれのポーリン・マーレーは、このとき18歳。結成してまもなくストラングラーズのサポートや、ビリー・アイドルのジェネレーションX、バズコックスらとの共演で腕を上げていったというので、結構なパンク・バンドである。ヴァージョンからリリースされたファースト・アルバム『ムーヴィング・ターゲッツ(Moving Targets)』(1978)とセカンド『狂喜の群衆(Coming Up For Air)』(1979)は日本盤もリリースされ、雑誌『ミュージック・ライフ』にも大きな広告が出ていたりNHKのFMでも曲が流れていたので、そこそこにプロモートはされていたのだろうと思う。

 セカンド・アルバムのリリース後まもなくペネトレーションは解散し、ポーリンがソロ・デビューに際してプロデュースを依頼したのがファクトリー・レコードのマーティン・ハネット。このためマーティン・ハネットのバンド、インヴィジブル・ガールがバックを努めることになったのだが、このバンドはなかなか面白い。基本メンバーはマーティン・ハネット(ベース)とスティーヴ・ホプキンス(キーボード)の2人で、バンドの初期には10CC~ジェスロ・タル~キャメル~カラーフィールド~アイシクル・ワークスの腕利きドラマー、ポール・バージェスも在籍していた。このアルバムではマーティン・ハネットはプ゚ロデュース業に専念し、ベースは元ペネトレイションのロバート・ブラミア、ドラムはバズコックスのジョン・マー、そしてギターはドゥルッティ・コラムのヴィニ・ライリーである。一部の曲にはデッド・オア・アライヴ~シスターズ・オヴ・マーシー~ミッションのウェイン・ハッセイもギターで参加しており、最終シングル「SearchingFor Heaven 」ではニュー・オーダーのバーナード・サムナーがギターを弾いているという超豪華なメンツだ。クレジットされているデイヴ・ロウボサムDave Rowbothamは元ドゥルティ・コラムのメンバーで、ハッピー・マンデーズの曲「カウボーイ・デイヴ」は彼の死について歌った曲だという。

 ジャケットのデザインは、ピーター・サヴィルとマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』などジャケットをデザインしたトレヴァー・キーTrevor Key 。ほとんどファクトリー・オールスターズ。

 ポーリン・マーレーはこのアルバムについて色々と面白いことを述べている。
・このアルバムのマスターテープは自分たちが持っていたので何度かリリースしようと試み、ベラ・ユニオンのサイモン・レイモンドにも話を持ち込んだものの実現しなかった。ありがたいことにクレプスキュールのジェイムス・ナイスからリイシューの申し出があったがマスターテープはかなりの傷みがあったため、結局自分が持っていたシールドの日本盤LPをマスターに使った。・
・マーティン・ハネットは何ひとつ指示しなかった。ただバックトラックを流して、自分はそれに合わせて歌うだけ。トラックを流して自分が歌う、その繰り返し。これが延々と10回くらい続き、うんざりした。
・ウェイン・ハッセイも同じことを言ってた。彼が何度演奏してもマーティンからは何も指示がなく、たまりかねてコントロール・ルームに行ったら、そこには一人マーティンが寝ていて、リピート設定されたテープが流れていた。

ポーリン・マーレイのインタビュー
https://thequietus.com/articles/16998-pauline-murray-invisible-girls-interview
https://rockshotmagazine.com/interview-pauline-murray-invisible-girl/



Pauline Murray And The Invisible Girls

Pauline Murray And The Invisible Girls

  • アーティスト: Pauline Murray
  • 出版社/メーカー: Les Disques Du Crepuscule
  • 発売日: 2014/10/06
  • メディア: CD



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