Cardiffians / Devine & Statton カーディフからの手紙 [クレプスキュール]
アリソン・スタットンとイアン・デヴァインによるデュオ、デヴァイン&スタットンのセカンド・アルバム。アリソンのヴォーカルと、イアンのソングライティング&アレンジの巧さがしっかりかみ合った名作。これがデヴァイン&スタットンのラスト・アルバムとなってしまったのは残念。
前作よりもゴージャスなサウンドになっているため、ヤング・マーブル・ジャイアンツ以来のシンプルさを好むファンにはちょっと「賑やかすぎる(騒々しい)」かもしれない。でも私としては、こうしたバンド・スタイルの演奏も良いと思う。クールだけど優しいアリソンのヴォーカルがよく生かされており、中でもオープニングの「ハイダウェイ」は、ピアノとホーンがちょっとノスタルジックで、爽やかな風のような名曲。クリスタル・ゲイルの1977年の大ヒット曲「Don't It Make My Brown Eyes Blue」(瞳のささやき)のカヴァーも良い。再発盤はオリジナルの12曲に加えて、「ハイダウェイ」の別ヴァージョンや「瞳のささやき」の12インチ・ヴァージョンを含む5曲のボーナス・トラックが収録されている(うち2曲はシングルにも収録されなかった未発表トラック)。それまでCDシングルでしか聴くことができなかった「ハイダウェイ」の別ヴァージョンは、クイーカやマリンバなどが加わり、ラテン・フレイバーあふれる心地よい仕上がりになっているが、どちらかというと、ピアノで始まるオリジナルの方が好きかな。
Devine & Statton - Hideaway
Hideaway (Version)
前作でニュー・オーダーの曲をカヴァーした縁か、ピーター・フックがベースで参加している。
Devine & Statton - Enough is enough
アリソンが生まれた港町カーディフCardiffはウェールズの首府(スコットランドのエジンバラと同様)で、俳優のヨアン・グリフィズやライド~オアシスのアンディ・ベルもこの街の出身。原題のCardiffansとは、「カーディフのファン」という意味だろうか(カーディフを本拠とするサッカーチーム、カーディフ・シティFCのファンもCardiffansと呼ぶらしい)。前作のタイトルは『The Prince of Wales』(邦題:遙かなるウェールズ)だったが、アリソンの故郷愛から考えると称号としてのPrince of Walesではく、イングランドに征服される前=ネイティヴのプリンス・オブ・ウェールズのことだろう。
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