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FOR BADGEHOLDERS ONLY / LED ZEPPELIN [レッド・ツェッペリン]

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 1977年USツアーにおけるLA6日間公演の3日目(6月23日)は、「FOR BADGEHOLDERS ONLY」というタイトルで知られており初日21日の『LISTEN TO THIS, EDDIE』に劣らない有名音源である。その理由としては、演奏・音質ともにハイクオリティ、そしてザ・フーのドラマーだったキース・ムーンが飛び入りしているという珍しさもあげられよう。この公演には6つの音源があるということだが(そのほか音なしの映像もある)、うち「いい音源」は2つ。まず「ソーズ1」は「DRAGONFLY」レーベルのヴィンテージ・アナログ盤に用いられたソースで、もう一つの「ソース2」は伝説のテーパー、マイク・ミラードによる「ミラード音源」とされる。しかし「ソース1」「ソース2」ともに完全収録ではなく、「ソース1」は1曲目の「The Song Remains The Same」が、また「ソース2」は「The Song Remains The Same」から「The Rover / Sick Again」「Nobody's Fault But Mine」「Over The Hills And Far Away」までがそれぞれ欠落している。ネタ的な話によれば、「ソース1」のテーパーはRECボタンを押し忘れたのが原因であるとか、「ソース2」はマイク・ミラードが交通渋滞に巻き込まれて会場に到着するのが遅れたのが原因だという説がある。「ソース1」「ソース2」ともに1曲目の「The Song Remains The Same」は未収録なのだが、この「The Song Remains The Same」を聴くことができる音源として「ソース3」「ソース4」「ソース5」の3つがあり、このうち最も音質が良いとされているのが「ソース3」である。

 「ソース1」を収録したアイテムとしてLIGHTHOUSE盤、一方「ソース2」の方はBARBOA PRODUCTION盤が手元にある。どちらもよい音源だが、LIGHTHOUSE盤はアナログ起こしのため曲順が実際のステージと異なっていたり、「Black Country Woman」が2回収録されるなどの難点がある(そうしたテキトーさが古き良き味になっているという意見もあるが)。またBARBOA PRODUCTION盤はカットやノイズが多く、SBかと思うほどの高音質だけに精神衛生上よくない。なかでも痛恨の極みなのが、素晴らしい「テン・イヤーズ・"ボーナム"」でのエコーを効かせた"And you knew you would"の詠唱後のギターの最中に突然音が切れてしまうことで、5:24付近でガックリきたのは私だけではあるまい。

 こうした理由から、複数のソースをつなぎあわせてコンプリートを目指すという手法をとっているアイテムがほとんどで、コンプリート盤として手元にあるアイテムは以下の3つ。
  ①The Diagrams Of Led-Zeppelin(TDOLZ)盤 TDOLZ VOL.052
  ②SCORPIO盤  LZ-07009
  ③GRAF ZEPPELIN盤  LZSC-623A~F
 ①のTDOLZ盤は「ソース2」を「ソース3」で補填したもの。②のスコルピオ盤もメインは「ソース2」で、前半の欠落を「ソース3」→「ソース1」で補填したものである。③のGRAF ZEPPELIN盤はCD6枚組という大作で、1~3枚目は「ソース1」、4~6枚目は「ソース2」をメインに編集されているという企画モノ。「ソース1」と「ソース2」を聞き比べるには適したアイテムだが、「ソース2」のミラード音源は最初の4曲が未収のため、欠落部分をスコ盤と同じく「ソース1」と「ソース3」で補填している。このため、1枚目と4枚目のこの部分は同一内容となっている。ボーナスディスクとしてスコ盤には「ソース5」、伯爵盤には「ソース3」「ソース4」(いずれも抜粋)のCD-Rが付属している。

・LIGHTHOUSE盤 メーカーインフォ
   https://www.giginjapan.com/led-zeppelin-for-badge-holders-only-non-label/
 ・GRAF ZEPPELIN盤 メーカーインフォ
   https://www.giginjapan.com/led-zeppelin-for-badge-holders-only-lzsc/

 この日の演奏として有名なのが「カシミール」での失敗。「カシミール」に先立つ「ホワイト・サマー/ブラック・マウンテン・サイド」はジミー・ペイジが演奏するダンエレクトロ(シタールみたいな音を出すギター)の緩急つけた演奏が素晴らしく、そのまま幻想的なオリエンタルムードで「カシミール」まで突入するのだが、ジョーンズ氏が第3ヴァースの"Ooh, baby, I been flying"の入りを間違えてしまい、ジミーが立て直そうとするが混乱したジョーンズがついてこれなくなってしまった。ロバートが割って入りようやく立て直しに成功するが、このミスはその後80年のチューリヒなどでも起こる。「カシミール」終了後、ロバートのMCの最中に一瞬クラヴィネットの音が聴こえ、続いて「トランプルド・アンダーフット」が演奏されるがこの曲が演奏されたのは約一か月ぶりで、『エディー』の日にも演奏されていない。この日の「テン・イヤーズ・ゴーン」と「アキレス」は名演で、以前『エディー』でも触れたように『エディー』と『バッジホルダーズ』の「テン・イヤーズ・ゴーン」「カシミール」「アキレス」計6曲をCD-Rに落とし、車中でよく聴いたものである(今でも通勤途中によく聴いている)。


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PICTURE BOOK / SIMPLY RED [シンプリー・レッド]

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 01. Come to My Aid
 02. Sad Old Red
 03. Look at You Now
 04. Heaven
 05. Jericho
 06. Money's Too Tight (to Mention)
 07. Holding Back the Years
 08. (Open Up the) Red Box
 09. No Direction
 10. Picture Book


 シンプリー・レッドは、ニュー・オーダーやザ・スミスと同じく英国マンチェスターの出身。リーダーのミック・ハックネル(1960年6月8日生)は、ザ・スミスのモリッシー(1959年5月22日生)とは1歳違い、ニュー・オーダーのバーナード・サムナー(1956年1月4日生)とは4歳違いで、彼らは同世代と言って良いだろう。
 シンプリー・レッドがメジャー・デビューしたころ(1985年)、彼らの曲はFMでよく流れていた。ヴォーカルのミック・ハックネルが可愛い少年だったこともあり、雑誌によく写真も掲載されていたが、最初僕は彼をボーイッシュな女の子かと思っていた。音楽的な雰囲気はスタイル・カウンシルと似てるなと思ったものの、オシャレになりきれない(ケヴィン・クローニンみたいな)下町っぽさと、伝わってくるひたむきさ、ちょっとした陰翳に好感を覚えたものである。このアルバムに収録されている「ホールディング・バック・イヤーズ」は86年に全米シングル・チャートで1位となったが、こんな少年がショービジネスの世界を渡っていけるのだろうか?という危惧も覚えた。しかし予想に反してミック・ハックネルはしたたかで、このアルバム以降は音楽的にもファッション的にも洗練されていった。

 このデビュー・アルバムで興味深いのは、全10曲のうちカヴァーの2曲。「ヘヴン」はトーキング・ヘッズの、ヒット曲「マネーズ・トゥ・タイト」(全米28位)はヴァレンタイン・ブラザースというバンドのカヴァーだが、いずれも大ヒットした曲ではない。自分たちの好みだったのだろうが、こうした曲を取り上げるセンスにも脱帽である。全米1位となった「ホールディング・バック・ザ・イヤーズ」はもちろん名曲であるが、私のイチオシ曲は、アルバム冒頭を飾る「カム・トゥ・マイ・エイド」。勢いあるメロディーに乗った歌心を感じさせる(ちょっと内省的な部分も感じる)ヴォーカル、シンセとホーンの絶妙なブレンド、そして凝った曲展開は、今聴いても心踊る名曲である。

 「ホールディング・バック・ザ・イヤーズ」について、和久井光司氏監修の『英国ロックの深い森1976-1990』におけるシンプリー・レッドの項では「エレヴェイターズのヒット曲」とカヴァーのような書き方だが、正しくは「シンプリー・レッドの前身バンドFrantic Elevators時代にインディーレベールNo Waitingからリリースした曲」でありリメイクである 。コンポーザー・クレジットも、Mick Hucknall&Neil Moss となっている。
[http://frantic.band/]

 2008年にリリースされた「コレクターズ・エディション」、2010年にリリースされた「スペシャル・エディション」に収録されているボーナス・トラックは、すべて編集盤『12インチャーズ』(日本盤はワーナー・パイオニア 28XD-711)に収録されていたヴァージョンである。


Holding Back The Years (Official Video)



Money's Too Tight (To Mention)



Come To My Aid





ピクチャー・ブック【スペシャル・エディション】

ピクチャー・ブック【スペシャル・エディション】

  • アーティスト: シンプリー・レッド
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2016/08/10
  • メディア: CD
Picture Book

Picture Book

  • アーティスト: Simply Red
  • 出版社/メーカー: Atlantic UK
  • 発売日: 1992/03/18
  • メディア: CD


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