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Pauline Murray & The Invisible Girls [クレプスキュール]

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 元ペネトレーションPenetrationの女性ヴォーカル、ポーリン・マーレイが、ファクトリー・レコードのインヴィジブル・ガールズと組んだ唯一の作品。オリジナルのリリースは1980年で、当時の日本盤の邦題は『夢の恋人』というなかなか恥ずかしいタイトルだった(ジャケットにはThe Invisible Girlsの名前は消えており、ポーリン・マーレイのソロ作というプロモーションであった)。83年にリリース元のRSOが消滅して廃盤となり、90年代にほとんど自主制作のような形(ポーリーンが自前で立ち上げたレーベルPolestarから)でリイシューされたがこれもすぐに廃盤となり、ようやく2014年にクレプスキュールから2枚組としてリイシューされた。ポップだけど影があるダーク・ポップで、ポスト・パンクの隠れた名盤。この作品がリリースされた1980年はイアン・カーティスが自ら命を絶った年であり、レコーディングは彼の死の直後に行われた。ポーリン自身もインタビューで述べているが、イアンの死がもたらしたとも思われる不穏な雰囲気も感じられる作品だ。

Pauline Murray & The Invisible Girls - Dream Sequence

Pauline Murray & The Invisible Girls - Mr X (1980)

Pauline Murray and the Invisible Girls Judgement Day

 イギー&ザ・ストゥージズの曲名に由来するペネトレーションの結成は1976年というから、結構早い。1956年生まれのポーリン・マーレーは、このとき18歳。結成してまもなくストラングラーズのサポートや、ビリー・アイドルのジェネレーションX、バズコックスらとの共演で腕を上げていったというので、結構なパンク・バンドである。ヴァージョンからリリースされたファースト・アルバム『ムーヴィング・ターゲッツ(Moving Targets)』(1978)とセカンド『狂喜の群衆(Coming Up For Air)』(1979)は日本盤もリリースされ、雑誌『ミュージック・ライフ』にも大きな広告が出ていたりNHKのFMでも曲が流れていたので、そこそこにプロモートはされていたのだろうと思う。

 セカンド・アルバムのリリース後まもなくペネトレーションは解散し、ポーリンがソロ・デビューに際してプロデュースを依頼したのがファクトリー・レコードのマーティン・ハネット。このためマーティン・ハネットのバンド、インヴィジブル・ガールがバックを努めることになったのだが、このバンドはなかなか面白い。基本メンバーはマーティン・ハネット(ベース)とスティーヴ・ホプキンス(キーボード)の2人で、バンドの初期には10CC~ジェスロ・タル~キャメル~カラーフィールド~アイシクル・ワークスの腕利きドラマー、ポール・バージェスも在籍していた。このアルバムではマーティン・ハネットはプ゚ロデュース業に専念し、ベースは元ペネトレイションのロバート・ブラミア、ドラムはバズコックスのジョン・マー、そしてギターはドゥルッティ・コラムのヴィニ・ライリーである。一部の曲にはデッド・オア・アライヴ~シスターズ・オヴ・マーシー~ミッションのウェイン・ハッセイもギターで参加しており、最終シングル「SearchingFor Heaven 」ではニュー・オーダーのバーナード・サムナーがギターを弾いているという超豪華なメンツだ。クレジットされているデイヴ・ロウボサムDave Rowbothamは元ドゥルティ・コラムのメンバーで、ハッピー・マンデーズの曲「カウボーイ・デイヴ」は彼の死について歌った曲だという。

 ジャケットのデザインは、ピーター・サヴィルとマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』などジャケットをデザインしたトレヴァー・キーTrevor Key 。ほとんどファクトリー・オールスターズ。

 ポーリン・マーレーはこのアルバムについて色々と面白いことを述べている。
・このアルバムのマスターテープは自分たちが持っていたので何度かリリースしようと試み、ベラ・ユニオンのサイモン・レイモンドにも話を持ち込んだものの実現しなかった。ありがたいことにクレプスキュールのジェイムス・ナイスからリイシューの申し出があったがマスターテープはかなりの傷みがあったため、結局自分が持っていたシールドの日本盤LPをマスターに使った。・
・マーティン・ハネットは何ひとつ指示しなかった。ただバックトラックを流して、自分はそれに合わせて歌うだけ。トラックを流して自分が歌う、その繰り返し。これが延々と10回くらい続き、うんざりした。
・ウェイン・ハッセイも同じことを言ってた。彼が何度演奏してもマーティンからは何も指示がなく、たまりかねてコントロール・ルームに行ったら、そこには一人マーティンが寝ていて、リピート設定されたテープが流れていた。

ポーリン・マーレイのインタビュー
https://thequietus.com/articles/16998-pauline-murray-invisible-girls-interview
https://rockshotmagazine.com/interview-pauline-murray-invisible-girl/



Pauline Murray And The Invisible Girls

Pauline Murray And The Invisible Girls

  • アーティスト: Pauline Murray
  • 出版社/メーカー: Les Disques Du Crepuscule
  • 発売日: 2014/10/06
  • メディア: CD



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From Brussels with Love  ~ブリュッセルより愛をこめて [クレプスキュール]

 ポストパンクの名コンピレーションというと、すぐに頭に浮かぶのがチェリー・レッドの『ピローズ&プレイヤーズ』とクレプスキュールの『ブリュッセルより愛をこめて』の2つ。1980年にリリースされた『ブリュッセルより愛をこめて』の40周年記念盤が昨年リリースされた。2枚組でブックレットにLPサイズのボックス仕様という豪華な作りである。

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 『ブリュッセルから愛をこめて』は様々なヴァージョンがあり、すべてを網羅するのは難しい。おおまかにまとめると「最初はカセットでリリースされて、その後LPは2枚組、CDにはジャケットが違う白盤と黒盤がある」という感じだが、Discogsの一覧を見ると、やはり一筋縄ではいかない。
https://www.discogs.com/ja/master/32946-Various-From-Brussels-With-Love

 新星堂から発売された日本盤LPは番号がTWI-008になっていて(オリジナルはTWI-007)、収録曲も違っている。 CDは白盤が16曲、黒盤は19曲。収録曲が多い黒盤の方がいいかというと、白盤にはいっていて黒盤にはいってない曲もある。私が持っている白盤(TWI-007-2:MADE IN AUSTRIA)は15曲しかクレジットされていないが、16曲収録されている。ラストのジョン・フォックス「A Jingle #5」のクレジットがない(iTunesに読ませると、「Music d'Ameublement 2 [Not credited]」として出てくる)。また1曲目のジョン・フォックスの曲のタイトルが「Musique D'Ameublement」になっているが、これはオリジナルと同じ「A Jingle #1」である。iTunesに読ませると、曲名が違うために別の曲として認識されるが、まったく同一の曲だ。

 今回の40周年記念CD2枚組がこれまでの収録曲をすべて収録した決定版かというと、収録されていない曲もいくつかある。ディスク1は基本的に黒盤がベースになっているので、黒盤に収録されていない曲は収録されていない。ただオリジナル黒盤は19曲、40周年記念盤のディスク1は21曲なので、40周年記念盤にしかはいっていない曲が2曲ある。一つはジョン・フォックスの「A Jingle #2」で、17秒という短いまさにジングル。そしてもう一つは昨年12年ぶりのアルバムをリリースしたア・サーテイン・レイシオの「Felch (Live In NYC)」。ファクトリー・レコードの番号FAC1~4のうち、1/3/4はポスターで2はサンプラー・レコードなので、ファクトリーがリリースした最初のアーティストは、FAC5の番号を持つ「All Night Party」をリリースした、ア・サーテイン・レイシオであった[http://www.factoryrecords.net/catalogue/fac1-50.htm]。黒盤のラストはジョン・フォックスの「A Jingle #2」となっているが、これは白盤ラストの「A Jingle #5」と同一である。

A CERTAIN RATIO - Felch


 白盤にあって黒盤になかった曲は、今回の40周年記念盤には収録されていないので、Dream Makers「Helen's Song」、元アソシエイツのアラン・ランキン「Can You Believe Everything I See?」、Gabrielle Lazure「A Children's Tale」の3曲がオミットされている。Dream Makersの「Helen's Song」だが、女性ヴォーカルはヴァージニア・アシュトレイで、プロデュースはウィム・メルテン、ヴァイオリンでタキシード・ムーンのブレイン・レイニンガー、また語りでフランスのデザイナー、ジャン・ポール・グード(グレイス・ジョーンズの元夫)がクレジットされているという結構豪華なメンツによる曲なので、未収録がおしいところ。

Dream Makers Helen's Song


 もう1曲、収録されなかったのが惜しい曲として、ペイル・ファウンテンズの「We Have All the Time in the World」がある。これはアナログLPには収録されていたが、CDになってカットされた曲で、彼らがヴァージンの前にシングルをリリースしていたOperation Twilight(クレプスキュール系列のレーベル[http://home.kpn.nl/frankbri/hello.htm])に残した曲だと思われる。ヴァイオリンでブレイン・レイニンガーがクレジットされているこの曲(ルイ・アームストロングも歌っている)、1998年に『Longshot for Your Love』が出るまではなかなかレアだった。



We Have All the Time in the World / The Pale Fountains



ブリュッセルより愛をこめて / FROM BRUSSELS WITH LOVE

ブリュッセルより愛をこめて / FROM BRUSSELS WITH LOVE

  • 出版社/メーカー: LTM
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: CD



From Brussels With Love / Various [Analog]

From Brussels With Love / Various [Analog]

  • アーティスト: Various Artists
  • 出版社/メーカー: Crepuscule
  • 発売日: 2020/10/30
  • メディア: LP Record



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The Wild Swans / The Sire Years サイアー時代のワイルド・スワンズ [リヴァプールのアーティスト]

 英国の80年代に強いリイシュー専門(というワケでもない....元ミッションのウェイン・ハッセイと元オール・アバウト・イヴのジュリアンヌ・リーガンの二人によるアルバムとかも出していた)レーベル、Optic Nerve Recordingsが、第1期ワイルド・スワンズ唯一の(そしてZooレーベル最後の)リリース「Revolutionary Spirit」を限定7インチとして再発するという。最初にリリースされたヴァージョンはZooのコンピレーション『Uncaged 1978-1982』にB面の「God Forbid」ともども収録されているが、「Revolutionary Spirit」はモノラル・ミックスになっていた。ステレオ・ミックスは、チェリー・レッドからリリースされた5枚組『Revolutionary Spirit』にも収録されているが、今回リリースされるヴァージョンは、全くのニューミックスだとのこと。日本国内でもHMVやタワー・レコードなどで予約受付が始まっている。

https://opticnerverecordings.com/products/wild-swans-the-revolutionary-spirit-7?variant=40615158644847

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 第1期ワイルド・スワンズ後のケアーとロータス・イーターズがともに解散した後、ポール・シンプソンは再びワイルド・スワンズの名義で活動をスタートする。第2期ワイルド・スワンズはワーナー傘下のサイアー・レコードと契約し、『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』(1988年)・『スペース・フラワー』(1990年)の2枚のアルバムをリリースした。2枚とも優しいギター・ポップ・アルバムで、心が高揚していくような伸びやかなポール・シンプソンのヴォーカルが印象的だ。

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 ファースト・アルバム『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』は、ポール・シンプソンとジェレミー・ケリー(ロータス・イーターズ)に加えてベーシストとしてジョゼフ・フィアロンの3名がクレジットされている。ポールのヴォーカルと、独特のエコーがかかったジェレミーのギターの組み合わせはとても優しく、時にセンチメンタル。アルバムのオープニング・ナンバー「Young Manhood」と2曲目の「Bible Dreams」の2曲がシングルとしてカットされた。プロデューサーのポール・ハーディーマンはエンジニア畑の人物で、ペイル・ファウンテンズの『フロム・アクロス・ザ・キッチン・テーブル』(プロデュースはイアン・ブロウディ)やケイト・ブッシュの『ドリーミング』等にクレジットされている。このポール・ハーディーマン、ケイト・ブッシュの「狂気の家」では「Voice ["Eeyore"] 」、ザ・ザの「ジャイアント」では「Vocals [Chant]」とクレジットされるなど、時々レコーディングに参加しているようだが本作ではそれらしいクレジットは見あたらない。プロモーションのため、『Music And Talk From Liverpool』と題されたプロモーション盤が制作された。『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』からの4曲に「Revolutionary Spirit」を加えた5曲入りで、曲間にはジェレミー・ケリーのコメントが入っている。

 Music And Talk From Liverpool
  01. Young Manhood
  02. A Few Words From Jeremy Kelly...
  03. Mythical Beast
  04. A Few More Words..
  05. Northern England
  06. And Some More...
  07. Bible Dreams
  08. Summing It All Up...
  09. Revolutionary Spirit

 続く『スペース・フラワー』は、ケアー時代の僚友イアン・ブロウディのプロデュース。ドラマーとして、元アイシクル・ワークス~ラーズ~オアシスのクリス・シャーロックがクレジットされている。ベースのジョゼフ・フィアロンは前作に引き続きだがジェレミーが抜けて、ギターはアイシクル・ワークスのイアン・マクナブとイアン・ブロウディ。前作に続いてメロディアスなギター・ポップ作品で、イアン・ブロウディによってポップ度が増し、前作よりも明るい作品に仕上がった。

The Wild Swans - Archangels (Music Video)

 サイアー時代の2枚のアルバムは、いずれもアメリカで先行発売されている。メジャーへの移籍とアメリカ市場の重視とも言える動きは、ややもすると「メジャーに魂を売った」等の批判をされることもあるが、ワイルド・スワンズに限ってはそうした批判を目にしたことはない。サイアー時代の2枚のクオリティの高さを物語っているとも思うが、ポール・シンプソン自身は、サイアー時代を振り返って「メジャーの考えはウイルスのようだ。バンドを始めた理由を忘れてしまい、売れる曲を求める考えに陥ってしまう」と語っている。[http://www.noripcord.com/features/wild-swans-interview-paul-simpson]

 サイアー時代の2枚は1999年に日本でCD化され、一時は海外でも高値で取引されていたが、2007年にサイアーから2枚組『Magnitude (The Sire Years)』として再発された。
『ブリンギング・ホーム・ジ・アッシェズ』には4曲、『スペース・フラワー』には7曲のボーナス・トラックが収録されている。CD1のボーナス・トラックは、11と12が「Young Manhood」12インチのB面、13と14が「Bible Dreams」12インチのB面。CD2の12は2001年にリヴァプールのレーベルViperからリリースされた『Unearthed Liverpool Cult Classics Vol.1 』に収録されたヴァージョンで、女性コーラスなども加えられたゴージャスなミックス。17は「Melting Blue Delicious」のプロトタイプで、ドラムがカッコいい。

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Melting Blue Delicious (Bill Drummond Single Version)


Telescope (Demo)


『Magnitude (The Sire Years)』
CD1 【Bringing Home The Ashes】
  11. Holy Holy
  12. The World Of Milk And Blood
  13. 1982
  14. Pure Evil
CD2 【Space Flower】
  06. Tastes Like Tuesday (previously unreleased)
  12. Melting Blue Delicious (Bill Drummond Single Version)
  13. Sugar Engines (Demo)
  14. Chocolate Bubblegum (Demo)
  15. Lantern Man (Demo)
  16. Magic Hotel (Demo)
  17. Telescope (Demo)

 ワイルド・スワンズはフィリピンで人気がある(ノルウェーのフラ・リッポ・リッピもフィリピンで人気があるそうだ)。2006年にはフィリピン・オンリーで『The Platinum Collection』というサイアー時代のコンピレーションがリリースされている。3枚目のアルバム『The Coldest Winter for a Hundred Years』(2011年)がリリースされた時、彼らが英国以外でライヴを行ったのは、フィリピンだけだった。このとき、エコバニのレス・パティンソンがベーシストとして同行している。
https://www.pressreader.com/philippines/sunstar-cebu/20111008/282995396623968

The Wild Swans Live in Cebu, Philippines!


The Wild Swans - Worst Year of My Life (Live in Manila)


PAUL SIMPSON FULL SET NEW WAVE FESTIVAL MANILA




スペース・フラワー

スペース・フラワー

  • アーティスト: ワイルド・スワンズ
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1999/07/14
  • メディア: CD



Space Flower

Space Flower

  • アーティスト: Wild Swans
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird Records
  • 発売日: 2008/03/25
  • メディア: CD



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Procol Harum 青い影 プロコル・ハルム [プログレ系]

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 一面に「ロシア ウクライナ侵攻」という文字が躍る昨日の新聞、国際面の片隅にゲイリー・ブルッカーの訃報が載っていた。誰もが知るミュージシャンというわけでもない彼の訃報が掲載されていたのは、ひとえに「青い影」のなせるわざだろう。



 クラシックとロックを融合させた「青い影」は英国ロック史上に残る名曲であり、日本ではデビュー・アルバム(1968年)のタイトルにもなった。日本では車のCMにも使われたこともある。「青い影」というと、デビュー・アルバムのジャケットをイメージできる人も多いと思うが、オリジナルUK盤には「青い影」は収録されていない。イギリス以外の国でリリースされた盤にはファースト・シングル「青い影」やセカンド・シングル「ホンバーグ」などが収録されており、リリース国によって収録曲や曲順にも若干の違いがある。CD化されてからは、「青い影」「ホンバーグ」とも収録されるようになった。

NISSAN シルビアのCM


Procol Harum - Homburg (1968)

 プロコル・ハルムというと、ピアノ&オルガンという編成やオーケストラとの共演など、クラシックの要素が強いプログレ・バンドというイメージがある。しかしファースト・アルバム全体で聴くと意外にR&B色も強い。プロコル・ハルムの母体となったバンド、パラマウントはR&Bだったそうで、アルバムのレコーディングから新たに加わったロビン・トロワー(ギター)とB.J.ウィルソン(ドラム)の2人(2名ともシングル「青い影」のリリース後にメンバーとなったため、「青い影」には参加していない)はパラマウントのメンバーであり、もともとはR&B指向だったのだろう。

 日本盤のライナーのライターは、大貫憲章さん。大貫さんが高校生だった頃、当時中学生だった松任谷由実さんの豪邸で、彼女がピアノで弾くプロコル・ハルムの「マグダレーン」を聴いたというエピソードが出てくる。プロコル・ハルムのファンだったユーミンは、バンドを日本に招いて共演ツアーを行ったこともある。

ユーミン、憧れのプロコル・ハルムと共演 https://okmusic.jp/news/19556








プロコル・ハルム(青い影)+11(K2HD/紙ジャケット仕様)

プロコル・ハルム(青い影)+11(K2HD/紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: プロコル・ハルム
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: CD



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Illusion イリュージョン 幻想の翼 [オリジナル・ルネッサンス~イリュージョン]

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Illusion / Illusion
 1. マドンナ・ブルー
 2. ネヴァー・ビー・ザ・セイム
 3. ルイのテーマ
 4. 波濤を越える翼
 5. クルージング・ノーホエア
 6. 奇跡の男
 7. ザ・レヴォリューショナリー

 イリュージョンとなったオリジナル・ルネッサンスの2枚目のアルバム(1978年)。イリュージョンとしては事実上のラスト・アルバムである(1990年に未発表曲集『エンシャンテッド・カレス』、2001年にルネッサンス・イリュージョンというバンドの名義でニュー・アルバムがリリースされた)。ジム・マッカーティのヤードバーズ時代の僚友、ポール・サミュエル=スミスがプロデューサーで、ポールはバッキング・ヴォーカルとしてもクレジットされている。
 前作『醒めた炎』同様、イリュージョンの魅力である「哀愁・叙情・メロディアス」の3拍子がそろった名作である。ピアノがメイン楽器になっているぶんクラシカルで、それにジェーン・レルフの優しくてちょっと儚いヴォーカルが乗る夢心地の楽曲群だ。「泣きの旋律」を奏でるセンチメンタルなギターと、時折出てくる英国フォーク感覚もこれまた良い。中でも「波濤を越える翼(Wings Accross The Sea)」はファンタジックなジャケットのイメージそのままの曲で、イリュージョン時代を代表する1曲だと思う。ロック寄りの「クルージング・ノーホエア」はシンセが印象的で、よいアクセントになっている。大半の曲はジム・マッカーティ作だが、メロトロンやフェンダーローズの導入など、アレンジ面ではジョン・ホウクンが大きな役割を果たしたと思われる。

ILLUSION Illusion 04 Wings Accross The Sea

Illusion - Cruising Nowhere




幻想の翼(紙ジャケット仕様)

幻想の翼(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: イリュージョン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2005/03/23
  • メディア: CD



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Live Boston '88 / 3 キース・エマーゾン,カール・パーマー,ロバート・ベリー [GTR/ 3(Three)]

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 2015年(キース・エマーソンが自殺する前年)にリリースされた「3(スリー)」の発掘音源。1988年4月15日のボストン公演を収録した2枚組で、Rock Beat Recordsというレーベルからリリースされた。音質もイマイチで、なにやらブートっぽいアイテムであるが、オフィシャル盤である。このライヴ盤がリリースされた頃、キース・エマーソンとロバート・ベリーは、3(後に3.2 スリー・ポイント・トゥー)名義による新作リリースの準備をしていたそうなので、資金の調達等再始動にあわせたリリースだったのだろう。

【Disc 1】
 01. Fanfare For The Common Man
 02. Deste La Vita
 03. Lover To Lover
 04. Three Introductions
 05. Hoedown
 06. You Do Or You Don't
 07. Talkin' Bout
【DIsc 2】
 01. Creole Dance
 02. On My Way Home
 03. Runaway
 04. Standing In The Shadows Of Love
 05. America - Rondo - Drum Solo
 06. Eight Miles High


 「庶民のファンファーレ」で幕を開け、アルバム『3』の曲をメインに(「Chains」~メンバーによる曲ではない~以外はアルバム全曲演奏されている)、キース・エマーソンのプレイでメリハリをつける良いステージである。ELP時代からライヴで演奏してきた曲も披露されているが、すべてカヴァーであり「ELPの曲」を演奏していない点に、彼らのこだわりが感じられる。80年代のキース・エマーソンはまだスゴかった。「ホウダウン」での早弾きや、ザ・ナイス時代からのお馴染み「アメリカ~ロンド」のアグレッシヴなプレイなどを聴くと、つくづくそう思う。「Talkin' Bout」からメドレーで、キースが担当した映画『ベスト・リベンジ』のサントラからの「ドリーム・ランナー」(後に「ザ・ドリーマー」と改題された)が演奏されるが、彼のクラシカルな部分がうまく表現された、よい曲&よい演奏だと思う。多くのアーティストがカヴァーしたモータウン・ナンバー「Standing In The Shadows Of Love」のロック風演奏も、なかなかカッコいい。アルバムにも収録されていた「霧の8マイル」では、この日もバングルスの「エジプシャン」(1986年12月から翌87年1月にかけて全米No.1)のフレーズを演奏している。

 キースの死後、ロバート・ベリーはこの日の前日にあたる4月14日の公演を収録したライヴと、キースが残したマテリアルを使って『3.2』(スリー・ポイント・ツー)というアルバムをリリースしている。

3 (Keith Emerson, Carl Palmer, Robert Berry) - "Eight Miles High" (Official Music Video)

The Dreamer Keith Emerson




Live Boston '88

Live Boston '88

  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: CD



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John Barleycorn Must Die / Traffic [スティーヴ・ウィンウッド]

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 トラフィック4枚目のアルバム(1970年)。ブラインド・フェイスが空中分解した後、スティーヴはジンジャー・ベイカーズ・エアフォースへの参加をへてソロ・アルバムの制作にはいった。このセッションに元トラフィックのクリス・ウッドとジム・キャパルディが参加し、新生トラフィックとして再スタートを切ることになる。アメリカ的なジャズ風の曲もあるが、白眉はアルバム・タイトルにもなっているトラッド・ナンバー「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」である。フェアポート・コンヴェンションにスティーライ・スパン、ペンタングルという3大バンドをはじめ、様々なミュージシャンが取り上げている超有名なトラッド・ナンバー(ラウド番号は164)で、最近だと企画プロジェクトのThe Imagined Villageで、ポール・ウェラーがマーティン・カーシーと交互にヴォーカルを担当するという夢の共演が実演している。トラフィックのヴァージョンは、抑え気味のスティーヴのヴォーカルとクリスのもの悲しいフルートが印象的。これまではアメリカンなサウンドに少しだけ英国フォークが使われてきたトラフィックだが、このアルバムはアメリカ的なサウンドと英国的なサウンドがほどよく調和した作品に仕上がっている。ボーナス・トラックのライヴ2曲(1970年11月のフィルモア・ウェスト)のうち10分を超えるラストの「グラッド」はリラックスしたインプロヴィゼイションが心地よいジャジーなナンバー。ブラインド・フェイス~ジンジャー・ベイカーズ・エアフォースでの経験がもたらしたプレイ。アルバムのオープニングがスタジオ・ヴァージョンで、2つの「グラッド」を聴くと、スティーヴのキーボードと並んでクリスのサックスがファンキーでカッコよく、このアルバムにおけるクリス・ウッドの果たした役割の大きさを実感する。

Traffic-John Barleycorn ......Must Die


Steve Winwood // Traffic - John Barleycorn (Must Die)


The Imagined Village John Barleycorn





ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ+4

ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ+4

  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: CD



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Ballads バラッド集大成  イワン・マッコール 英国バラッドの影響 [トラッド/ フォーク系]

 フランス語のballadeにもとづくバラードではなく、「バラッド」(ballad)である。とくに英国で、メロディーに乗せて歌われる物語風の詩を指す。文字が読めない民衆が口承によって受け継いできた伝統文化であるため、同じ詩であっても様々なバリエーションが存在する。
 参考:日本バラッド協会  https://www.j-ballad.com/
    やまなか・みつよしのバラッド・トーク  https://www.balladtalk.com/

 バラッドが広く知られるようになったのは、19世紀に進められたフランシス・ジェイムズ・チャイルド(1825~1896)によるバラッド収集がきっかけだ。彼が集めたバラッドは「チャイルド・バラッド」とよばれ、彼の分類にもとづく「チャイルド番号」は、バラッド分類のベースである。フェアポート・コンヴェンションの『リージ&リーフ』に中ジャケにはチャイルド教授の写真と説明文が掲載されており(CD版では文字が小さくなって読み取り困難だが)、これでチャイルドの名前を知ったという日本人も多かったと思われる。20世紀にはいると、チャイルドの研究をもとにフォークソングとしてよみがえらせようとする運動が始まるが、その中心となったのがイワン・マッコールとアルバート・ランカスター・ロイドの2人であった。2人に続いてマーティン・カーシーやバート・ヤンシュらが登場し、バラッドは英国ポピュラー・ミュージックの重要な構成要素になる。元々アメリカ寄りだったスティーヴ・ウィンウッドは、ブラインド・フェイス後の復活トラフィックでバラッド「ジョン・バーレイコーン(マスト・ダイ)」をとりあげ、アルバム・タイトルにした。レッド・ツェッペリンもバラッドの「The Maid Freed from the Gallows」(チャイルド番号95)を「ギャロウズ・ポウル」というタイトルでレコーディングしている(『LED ZEPPELINⅢ』に収録)。サイモン&ガーファンクルで知られる「スカボロー・フェア」も、原曲はバラッドである。

 【チャイルド・バラッドのリスト】
   ・https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_the_Child_Ballads
   ・https://terreceltiche.altervista.org/ballad/a-z-list-child-ballads/

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 英国バラッドを集めたCDは数多いが、チャイルド・バラッドに特化したCDを2つあげておく。まずは基本のイワン・マッコールによる2枚組『バラッド集大成』。オリジナルは、トピックから1956年にリリースされた。サブタイトルの「MURDER・INTRIGUE・LOVE・DISCORD」(殺人・不義・愛・不和)は、バラッドでとりあげられる歌詞内容のテーマをよく表している(英国フォークに関する予備知識がない人がツェッペリンの「ギャロウズ・ポウル」の歌詞を読んだら、その奇妙な内容にとまどうのではないだろうか?)。1曲目「残酷な母親」は殺人のカテゴリーに含まれるバラッド(チャイルド20)だが、その内容はバラッドの特徴をよく表している。
 バラッド「残酷な母親」について(やまなか・みつよしのバラッド・トーク)
https://www.balladtalk.com/41-60/42-41.html
 素朴でちょっと茶目っ気すら感じられるイワン・マッコールの歌には不思議と心が癒され、耳を傾けているうちに意識が英国へ運ばれていくような気分になる。無伴奏によるトラディショナルな歌唱スタイルのため、歌詞がストレートに伝わってこない日本人には少々つらい部分があるのは否めないが、エレクトリック・トラッドとしてよく知られたヴァージョンと聞き比べるのは楽しい。
 私が持っているのは日本盤でライナーがついてるが、書かれている内容は、こうしたCDを買う人にはほとんどわかっていることだと思われる。ちょっと上から目線の文章も、エリック・ウィリアムズを語る人としてはちょっと気になる。故中村とうよう氏の一派は...。

Ewan MacColl – Ballads  『バラッド集大成』
【Disc1】Ballads Of Murder & Intrigue 人殺しと不義のバラッド
  01. The Cruel Mother 残酷な母親(Child No.20, Roud No.9)
  02. Johnnie O'Breadisley ジョニ・オー・プレデースリ(Child No.114, Roud No.69)
  03. Lang Johnnie More ラング・ジョニ・モア(Child No.251, Roud No.3100)
  04. Jock The Leg ジョク・ザ・レッグ(Child No.282, Roud No.3856)
  05. Hughie The Graeme フュ・ザ・ゲライ(Child No.191, Roud No.84)
  06. The Douglas Tragedy ダグラス家の悲劇(Child No.7, Roud No.23)
  07. The Dowie Dens O' Yarrow ザ・ダウイ・デンズ・オー・ヤーロウ(Child No.214, Roud No.13)
  08. Captain Ward And The Rainbow ワード船長と虹(Child No.287, Roud No.224)
  09. Clyde's Water クライドの水(Child No.216, Roud No.91)
  10. The Crafty Farmer ずるい農民(Child No.283, Roud No.2640)
  11. Lord Gregory グレゴリー様(Child No.76, Roud No.49)
  12. Gil Morice ギル・モーリス(Child No.83, Roud No.53)
  13. My Son David 我が息子ディヴィッド(Child No.13, Roud No.200)
  14. The Battle Of Harlaw ハーロウの戦い(Child No.163, Roud No.2861)
  15. The Bonnie Hoose O' Airlie エアリの美しい家(Child No.199, Roud No.794)
【Disc2】Ballads Of Love & Discord 愛と不和のバラッド
  01. The Rantin' Laddie 愉快な少年(Child No.240, Roud No.103)
  02. The Earl Of Aboyne  アボインの伯爵(Child No.235, Roud No.99)
  03. The Cooper O' Fife ザ・クーパ・オー・ファイフ(Child No.277, Roud No.117)
  04. Captain Wedderburn's Courtship ウェダーバーン指揮官の求愛(Child No.46, Roud No.36)
  05. The Jolly Beggar 陽気な物乞い(Child No.279, Roud No.118)
  06. The Beggar Laddie 物乞いの少年(Child No.280, Roud No.119)
  07. Our Goodman 我々の主(Child No.274, Roud No.114)
  08. The Laird O' Drum レアード・オー・ドラム(Child No.236)
  09. The Broomfield Hill ザ・ブルームフィールド・ヒル(Child No.43, Roud No.34)
  10. Get Up And Bar The Door 立ち上がって、ドアを閉めろ(Child No.275, Roud No.115)
  11. Hind Horn  ハインド・ホーン(Child No.17, Roud No.28)
  12. The Trooper And The Maid 騎兵とメイド(Child No.299, Roud No.162)
  13. Amang The Blue Flowers And The Yellow きれいな青い花と黄色い花の中で(Child No.25, Roud No.30)
  14. The Keach In The Creel ザ・キーク・イン・ザ・クリール(Child No.281, Roud No.120)


 バラッドの分類として、もう一つラウド・フォークソング・インデックスがある。これは英国のバラッドのみならず世界中の英語の口承歌を集めたデータベースで、イギリスのヴォーン・ウィリアムズ記念図書館のウェブサイトで利用できる。曲の説明にはチャイルド番号とラウド番号を併記するのが一般的のようだ。
 ・ヴォーン・ウィリアムズ記念図書館のデータベース
   https://www.vwml.org/song-subject-index
・ラウド・フォークソング・インデックスのリスト
 https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_folk_songs_by_Roud_number

 イワン・マッコールはバラッド・リヴァイバルの功労者というだけではなく、優れたコンポーザーでもある(より原音に近い名前の発音としては、同じくスコットランド出身の俳優ユアン・マクレガーEwan McGregorのように、「ユアン」または「ユーアン」だと思われる)。彼が作った曲のうち最も有名なものは「The First Time Ever I Saw Your Face」で、エルヴィス・プレスリーや元ワム!のジョージ・マイケルもカヴァーした。なかでもロバータ・フラックによるカヴァー(邦題は「愛は面影の中に」)は、1972年に全米No.1を獲得し、さらにクリント・イーストウッド監督・主演の映画『恐怖のメロディ』にも使用されて同年の年間チャートでもトップを獲得した。第15回グラミー賞では、最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞の二冠を獲得した名曲である。2015年にリリースされたトリビュート・アルバム『Joy of Living – a Tribute to Ewan Maccoll』では、ブルー・ナイルのポール・ブキャナンがこの曲を歌っており、ブルー・ナイルの『ピース・アット・ラスト』から感じられるトラッドな雰囲気のルーツを再確認できる。

The First Time Ever I Saw Your Face

 イワン・マッコールの娘、カースティ・マッコールもまたシンガーとして有名で、全米トップ10ヒットとなったトレイシー・ウルマンの「夢見るトレイシー」(「They Don't Know 」~PVにはポール・マッカートニーも出演した)はカースティがオリジナルだ。彼女は2000年に41歳の若さで事故死するまで、元夫でプロデューサーとして有名なスティーヴ・リリーホワイトの人脈を通じてローリング・ストーンズやシンプル・マインズ、トーキング・ヘッズなど多くの作品に参加している。なかでも、ジョニー・マーやモリッシーなどとの関係は極めて深く、元スミス組の様々な作品に参加する一方「You Just Haven't Earned It yet Baby!」をカヴァーしている。夭折が惜しまれる才色兼備のアーティストであった。

 もう1枚のチャイルド・バラッドを集めたCDは、2017年にスミソニアン博物館で知られるスミソニアン協会が運営するSmithsonian Folkways[https://folkways.si.edu/]からリリースされた『Classic English And Scottish Ballads From Smithsonian Folkways』で、ロックのルーツ的な曲を聴くことができるコンピレーション。ピート・シーガーとマイク・シーガーの兄弟はアメリカを代表するフォーク・シンガーで、二人の妹のペギー・シーガーはイワン・マッコールと結婚し、二人の間に生まれたのが先述のカースティ・マッコールである。そのほか「フォークの母」ジーン・リッチーやボブ・ディランに大きな影響を与えたポール・クレイトンなど、重要なアーティストが名を連ねている。曲としては、以下の曲が注目どころ。

 ・02. Golden Vanity : ボブ・ディランやピーター、ポール&マリーの「Golden Vanity」
 ・04. Mathie Groves : フェアポート・コンヴェンションの「マティ・グローヴス」
 ・06. Gypsy Davy:ウォーターボーイズの「The Raggle Taggle Gypsy」
 ・11. Andrew Batan : ドノヴァンの「ヘンリー・マーチン」
 ・14. The Two Sisters : ペンタングルの「クルエル・シスター」
 ・15. Gallis Pole:レッド・ツェッペリンの「ギャロウズ・ポウル」
    ※ツェッペリンはこのレッド・ベリー版を手本にしたと思われる。
 ・16. Lord Barnett : ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの「ヘンリー・リー」
    ※PJ ハーヴェイとのデュエット
 ・18. Barbara Allen: サイモン&ガーファンクル(アート・ガーファンクル)の「バーバラ・アレンの伝説」
 ・19. The Great Silkie Of Sule Skerry : バーズとディス・モータル・コイルの「I Come and Stand at Every Door」、トゥリーズの「The Great Silkie」
   ※「I Come and Stand at Every Door」は、トルコの反戦詩人ナジム(ナーズム)・ヒクメットが書いた反戦詩(広島に投下された原爆によって亡くなった少女をテーマにした詩で「死んだ少女」「死んだ女の子」という日本語タイトルでも知られている)にピート・シーガーがこの曲のメロディーを使った曲である。ただし、メロディーの著作権は1954年にこの曲のメロディーを確立したとされるJames Watersに認められている。

 
Classic English And Scottish Ballads From Smithsonian Folkways 
  01. Mike Seeger / Lord Thomas And Fair Ellender (Child No. 73, Roud No.4)
  02. Doug Wallin / Golden Vanity (Child No. 286, Roud No.122)
  03. The Golden Eagle String Band / The Mermaid (Child No. 289, Roud No.124)
  04. Dillard Chandler / Mathie Groves (Child No. 81, Roud No.52)
  05. Iron Mountain String Band / The Hanging Of Georgie (Child No. 209, Roud No.90)
  06. Margaret MacArthur / Gypsy Davy (Child No. 200, Roud No.1)
  07. Ewan MacColl / Thomas The Rhymer (Child No. 37, Roud No.35)
  08. Pete Seeger / Lady Margaret (Child No. 74, Roud No.253)
  09. Jean Ritchie / Lord Randall (Child No. 12 ,Roud No.10)
  10. Paul Clayton / Pretty Polly And False William (Child No. 4 ,Roud No.21)
  11. Warde Ford / Andrew Batan (Child No. 250 ,Roud No.104)
  12. The Blue Ridge Buddies with E.C. and Orna Bal / Three Nights Drunk (Child No. 274 ,Roud No.114)
  13. The New Lost City Ramblers / Lord Bateman (Child No. 53 ,Roud No.4)
  14. Ellen Stekert / The Two Sisters (Child No. 10 ,Roud No.8)
  15. Lead Belly / Gallis Pole (Child No. 95 ,Roud No.144)
  16. Ella Parker / Lord Barnett (Child No. 68 ,Roud No.47)
  17. Artus Moser / The False Knight Upon The Road (Child No. 3 ,Roud No.20)
  18. Dan Tate / Barbara Allen (Child No. 84 ,Roud No.54)
  19. Paul Clayton / The Great Silkie Of Sule Skerry (Child No. 113 ,Roud No.197)
  20. Dorothy Rorick / The House Carpenter (Child No. 243 ,Roud No.14)
  21. Horton Barker / The Farmer's Curst Wife (Child No. 278 ,Roud No.160)

「フォークの母と呼ばれたジーン・リッチーが他界」
https://rockinon.com/news/detail/125350

ピート・シーガーの基礎知識その1~ ピート・シーガーの栄光
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-10011923123.html

Dillard Chandler - Mathie Grove

Fairport Convention - Matty Groves


Lead Belly - "The Gallis Pole"

Robert Plant & Jimmy Page 'Gallows Pole' - Jools Holland Show 1994 BBC






バラッド集大成

バラッド集大成

  • アーティスト: イワン・マッコール
  • 出版社/メーカー: ライス・レコード
  • 発売日: 2010/05/23
  • メディア: CD



V/A

V/A

  • アーティスト: V/A
  • 出版社/メーカー: CLASSIC ENGLISH & SCOT
  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: CD



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Mark Hollis  トーク・トークのリーダー、マーク・ホリス唯一のソロ・アルバム [トーク・トーク]

 トーク・トークが1991年に解散した後、リーダーのマーク・ホリスは長い沈黙に入った。彼は2019年に他界したが、この間リリースした唯一のアルバムがセルフ・タイトルの『Mark Hollis』(1997年)。トーク・トークのラスト・アルバム『ラフィング・ストック』をさらにつきつめたような作品で、冬の夜のような静謐かつ凛とした雰囲気を持った作品である。デヴィッド・シルヴィアンとブルー・ナイルを足して、楽器はすべてアコースティックに置き換えた上で、ギリギリまで引き算していったという感じだ。もはや余人には到達できない領域に達した感があり、この後マーク・ホリスが事実上引退したのもむべなるかな。

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 サポート・ミュージシャンとして13名がクレジットされているが、ギターの二人ドミニク・ミラー(スティングやクリス・ボッティのバック)と ロビー・マッキントッシュ(トーク・トークのほか、ティアーズ・フォー・フィアーズやプリテンダーズ、ポール・マッカートニーのバック)は割とロック寄り。『ラフィング・ストック』には弦楽器のミュージシャンが多数参加していたが、本作では管楽器のプレイヤーが8名クレジットされているのが目をひく。クレジットされているミュージシャンのうち、Mark Feltham(ハーモニカ:ザ・ザやライトニン・シーズ、オアシスなどのアルバムに参加)、Martin Ditcham(パーカッション:EBTGやビューティフル・サウス、ウォーターボーイズなどのアルバムに参加)、 Henry Lowther (トランペット:バズコックスやバリー・アダムソン、ビル・ドラモンド、ブライアン・フェリーなどのアルバムに参加)の3名は『ラフィング・ストック』にも参加していた。



 本作の後、マーク・ホリスが参加した曲が公式には4曲リリースされている。まずはマークが一人でピアノを弾いている曲で、その名も「Piano」。これはDave Allinson & Phil Brownによる.『AV1』(1998年)というアルバムに収録されているが、マークはなぜか「John Cope」という変名でクレジットされている。2001年にひっそりとリリースされたトーク・トークの『Missing Pieces』に収録された。残り3曲はノルウェーのミュージシャン、アンニャ・ガルバレクのアルバム『Smiling & Waving』に収録されており、マークはこのアルバムのうちの3曲「The Gown」「Big Mouth」「The Diver」にプロデューサー、アレンジャーとしてクレジットされている。このうち「The Gown」ではベース、メロディカ、ピアノで演奏にも参加している(この「The Gown」には、マークのソロにも参加していたMartin Ditchamと、元JAPANのスティーヴ・ジャンセンもクレジットされている)。そのほか、彼がトーク・トークを結成する前、1979年にレコーディングしたとされる「CRYING IN THE RAIN」という曲の存在も知られている。

Anja Garbarek-The Gown

Mark Hollis - Crying In The Rain

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The Prince of Wales / DEVINE & STATTON 遙かなるウェールズ [クレプスキュール]

 ヤング・マーブル・ジャイアンツ~ウィークエンドの活動後、しばらく音楽活動から遠ざかっていたアリソン・スタットンがシーンにカムバックしたときのユニットがデヴァイン&スタットン。パートナーはマンチェスター出身のイアン・デヴァインで、イアンはマンチェスターの伝説的バンド、ルーダス(Ludus)の元メンバーである。アリソン・スタットンのプロジェクトの中では、デヴァイン&スタットンがいちばん好き。

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 デヴァイン&スタットンはクレプスキュールに2枚のアルバムを残しているが、いずれも名作だ。ファースト・アルバム『The Prince of Wales 』(1988年、邦題『遙かなるウェールズ』)は、アコギ(時々ベン・ワット風)とベースを中心としたドラムレスのバックにアリソンのちょっと虚無的、それでいて清涼感のある優しいヴォーカルとの組み合わせが醸し出す「適度な脱力感」がなんとも心地よい作品。中でもニュー・オーダーの名曲「ビザール・ラヴ・トライアングル」のカヴァーは、同曲のあまたのカヴァー中でもアリソン&スタットン・ヴァージョンを超えるものはないと思う。ちょっと寂しげなアリソンのヴォーカルが素敵すぎる。タキシード・ムーンのブレイン・レイニンガーのヴァイオリンをフィーチャーした「フレンド・オブ・ザ・ファミリー」などの英国フォーク的な感覚もよい。「ウィ・デザーブ・イット」では、ブレイン・レイニンガーが弾いていると思われるキーボードが夕暮れ時のような寂寥感を感じさせる。2006年の再発盤は、ジャケットが異なり3曲のボーナス・トラックが含まれているが、ボーナス・トラックのうち、ラストの不思議なインスト「We Will Be With You And We Know You Are Together」は、デヴァインが2005年にソロでレコーディングしたトラックとのこと。

Devine & Statton - Bizarre Love Triangle




Prince of Wales

Prince of Wales

  • アーティスト: Devine & Statton
  • 出版社/メーカー: Dutch East
  • 発売日: 1995/05/01
  • メディア: CD



遥かなるウェールズ

遥かなるウェールズ

  • アーティスト: デバイン&スタットン
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1989/06/21
  • メディア: CD



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